2020/09/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 今日の試合は、何時もと違う。
         ・・・・・・・
男がそう聞かされ、準備を施されて、無理矢理試合場に引っ立てられたのは試合直前だった。

『や、やめろお前ら!出場したくない!俺はこんな戦い……うべっ!』

試合のピンチのときですら、滅多に見せないほどに憔悴した顔。
黒衣に引っ張り立てられ、試合場の中央に投げ捨てられる――その姿は、試合場中央の魔導機械巨大モニターに映し出される。
その腰に本来装備されている、媚薬注入器が、今日に限っては一本もない。
つまり、これは――

『本日のバトルは、真剣勝負!
何時もは媚薬とかよくわからない大人の玩具とか使うクレス選手も、今日は武器と、純粋な戦具のみを持っての出場です!』

真剣勝負と言っても、流石に剣一本、という訳ではない。小細工に使えそうな武器は殆ど許可されている。
だが、発情効果などを持つ装備は使用禁止、という事。
それでも、男にとっては普段使っている戦術が使えない、厳しい戦いになるだろうことは明白で。

『さあ、それでは、今日の対戦相手をお呼びしましょう。今日の対戦相手は――この方!』

クレス・ローベルク > 「(嫌だなー、やりたくないなー……)」

対戦相手が来るまでの間、男が思うのはそれだけだった。
別に、媚薬に頼っていたつもりはない。
寧ろ、普段よりも戦いやすいぐらいだ――媚薬注入器の重量を捨てられている上に、ウェストポーチには淫具などではない、戦闘用の道具が入れられているのだから。
だが、そうは言っても――である。

「(真面目に戦うってのは、基本的に避けたいんだよな……何かこう、似合わないっていうか、気持ちが悪いっていうか……)」

ある意味では、全闘技者を愚弄する様な考えだが。
しかし、男にとってはこれ異常無い本音だった。

クレス・ローベルク > ――試合が始まる
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。