2020/08/04 のログ
グライド > (僅かに眉を跳ね上げたのは、己に大層な二つ名が付けられて居た事だ
確かに、其の表現は否定しないが、所詮は雇われの傭兵に過ぎない
後で一言文句を言って置いて遣ろう、なぞと心に決めつつ
背負った盾を、どすりと闘技場の床面へと突き刺し。)

「おう、こんなトコまで上がってきた位だ、好い腕なんだろうよ。
こっちも、其れなりの報酬が掛かってるからよ、愉しませて貰うぜ。」

(盾を、地面へと突き刺した儘で軽く構える。
試合開始の合図が響き、相手が動き出すのを、此方は微動だにせず待ち――
――相手の突進、其の動きを至近距離まで見定めた後で
盾から腕を離し、相手に盾のみを弾き飛ばさせようとしながら
振り上げた全身鎧の腕にて、其の背中部分に手刀を振り下ろそうと。
盾が弾き飛ばされれば、其の後盾を使う事は叶わなくなる、が

先の試合で、重装備相手に、女がどう戦うかは見ていた
盾を持って戦うには、逆に分が悪くなる可能性すら在ると踏んでの「判断」
とは言え、身軽な相手が、如何反応するかは判らぬが――当たれば、一撃で脳を揺らす事も出来ようか)

「容赦はしねぇぜ、ハクとやら…!」

ハク > 「是非もなしっ!!!」

突撃の動きを見せても相手は動かず盾を地面に突き立て構え。
完全な受けの姿勢を見て更に足元に気を籠め加速し、まずはその盾に対して掌底を打ち付け――

「っ!」

しかし、徹った気が何かを打つ感触がない。
打ち付けた手の衝撃のままに盾が吹き飛べば、その大盾の向こうに隠れていた相手が腕を振り上げていて……

「なむさんっ!?」

振り下ろされる手の一撃、受け止めては足が止まると判断して即座にバク転で間合いを外して回避を行う。
――無論そんな動きをすれば胸元のカーテンはめくれ上がって乳房を晒し、
場合によってはドレスの下、下着をつけていない股間も見られてしまう可能性があるが……
そんな事よりも一撃を受けて昏倒する未来を感じ取ったが故の危機回避で。

「――むう、流石は大将、そう簡単には行かぬでござるなぁ……」

ひらりと着地し胸元に少し触れ、布地をきちんと整えてから果たしてどう攻略するかを一瞬考え。
しかし、制限時間3分のうち既に30秒は消費した。
考える余裕はないと再び男の胸元へ突撃しながら剣を抜き、兜に向けて剣を全力で振り下ろす。

無論男が受ければ剣はたやすく折れる事だろう。
だがその際、破片は兜の隙間に入り込んで目くらましにもなるかもしれない、という期待を籠めての一撃だ。
無論折れればその折れた刃を今度は右手で掴み取る所存で。

グライド > (右腕は――掠めもしなかった
素早さに関しては、間違い無く相手の方が上だろう
僅かに距離を取った女と、吹き飛んで行った己が獲物たる盾とを横目に
僅か渋い顔をしたのは、きっと兜に隠れて居ようが。

女の衣服がめくれ上がれば、当然ながら観客の歓声は最高潮に達する
そうなる事を期待している連中が、恐らくは殆どだろう中で
此方は生憎乍ら、其の裸身に見惚れている余裕は欠片も無かったが。)

「―――そうだ、時間は無いぜ、嬢ちゃん…!」

(――再びの突撃、振り下ろされる剣
既に摩耗し切って居た剣を左腕で受ければ、刀身の中程から折れるだろう
僅かな破片が舞い、鎧にカチカチと音立てて当たるが、生憎視界を塞ぐ事は無い
ただ、其れは僅かに顔を背けたからであり、其の一瞬、僅かに死角が生まれるだろう
ただ、其れが必ずしも、隙、であるかは別だ、が。)

「最初の獲物が悪かったなぁ、勝ち筋は消えちまったか、よ…!」

(右腕を再び振り上げる。
身体の回転と共に、相手の居る凡その位置へと向けて、ハンマーの様に裏拳を叩き付けんとするが
其の間、途切れる視界、女が折れた剣を再びつかむのなら、其れを防げはしないだろう)。

ハク > 「せい、っっ!!」

狙い通りに振り下ろした剣は、やはり想定どおりにあっけなく打ち付けた場所……
鍔から数センチ、といった箇所からメキリとへし折れて2つに分かれる。
その際に生じた破片は狙い通りに兜の隙間へと降り注ぎ、男が顔を背ける動きにつながって。

「っよ、し、っくぅ……っっ!?」

剣を振り下ろしたと同時に伸ばした右手でへし折れた刃を掴む。
無論刃のない模造剣なので怪我することもないが、これで短剣・小太刀の二刀のように扱えると踏み――
その瞬間、男の動きから流れるように生み出された裏拳をなんとか手でガードしながら受けて、そのまま吹き飛ばされてしまう。

「ぐ、っが、っはっっ……」

なんとかガードはできたものの、地面に叩きつけられ二転三転。
ごろごろと転がり、やがてそのまま大の字に倒れてしまう。
しかしそれで戦闘が終わりというわけではなく、少し頭を振りながら――
少し慌ててめくれ上がって露出していた股間を隠し、立ち上がって。
幸いにも両手に持っていたモノは手放していない。

「っふぅ……魔術アリなら、もう少々楽にござる、がっっ!」

再度、突撃。
というかこの手しか今は行える戦い方がない。
左手に握った柄と鍔のみの残骸をジャブのように打ち込みながら、右手の刃片で男の関節を狙い振り下ろし。

グライド > 「――――っは…いーい切れ味だったら、ぞっとするぜ。」

(――相手の剣がなまくらである事を判って居ての、戦法だ
鎧の頑丈さを利用しての、強引な圧力は、体格で劣る相手にとっては其れだけで脅威だろう
其の素早さを、可能な限り消す様な動きで、体力を削り取りながら
其れでも、今だ諦める気配の無い様子には、好い根性だと口端を吊り上げ。)

「――――あの剣にこだわんなら、方法は鎧通ししかねぇってか
つーか…、……ンななまくらで、良くもまぁ此処まで来たもんだぜ…」

(――此れが十全同士の戦いであったなら、こうは行かないだろう
図らずも、分かり易い短期決戦の様相を呈しては居るが、互いの本来の姿とは言えぬ
――まぁ、未だ格好を気に出来る程度の余裕は有るらしいが

右手で直に握られた刃が、相手が狙う一撃の全てだと察すれば、今度は己からも仕掛けよう
距離を詰め、突き出された柄での牽制を払いのける様に捌けば
今度は、刃での一撃が、振り下ろされる瞬間を見定め、目を凝らして。

――其の一撃の瞬間、己から更に踏み込み、距離を零にしては
娘の其の体躯を、両腕で捕え、抱え上げて――)

「――――――ぬ、ぅぅん……!」

(刃の行く先を気に留めず、その刃が、鎧の隙間を例え捕えども構わずに
其の身体を、床へと背中から叩き付けんとする、か
頭から落とさぬのは、此れが闘技場であり、殺す意思が無いから。
軽量の相手ならば、重量級の者ほどにダメージは無いだろう、が――)。

ハク > 疲労と不慣れな武器、不慣れな格好。
魔術も封じられて、という大きな誓約はここに来て現れた相手のせいで重くのしかかってくる。

「は、ぁっっ!」

こちらの突撃にあわせ距離をつめてきた相手に左手の残骸を振り回すも、相手の篭手には痛痒も感じさせる事なく払わられる。
続いてその指先や肘の裏側など、的確に右手の刃の先端を突き立てようとするが――
十全の整備が行われている鎧の隙間をついてもダメージを与える事ができず、そのまま捕まえられてしまい。

「んぅ!?く、っぁ」

何とかその兜の隙間に潰れた刃を潜り込ませようとしたも、それより早く持ち上げられ、そして――

「っぐぅっっっ!!」

そのまま叩きつけられる。
地面に勢いよく叩きつけられる事で肺から空気が音をたてて漏れ、びく、びくん、と体を震わせてしまい。
流石にそのダメージは繕う余裕もないか、めくれ上がった乳房のカーテンも股間のドレスも隠す余裕もなく、
地面で十数秒悶、体の回復を図るしかない――

グライド > (本来相手が何の獲物を扱うのか、なぞも己は知らぬ
だが、少なくとも慣れた武器で無い事は、前の試合を観戦して直ぐに判った
離脱と突撃を繰り返す一辺倒で在れば、例え素早さに長け様とも対処の仕様は有る
此れが、事前に試合を見せられて居なければ、また多少変わっただろうが――

地面へと、強かに打ち付けられ、大の字となって動かなくなる娘に
やれやれ、と一息ついて、其の姿を見下ろそう
十数秒の間、無防備に好きを晒す事が、どれだけ致命的な事かは、此処に居る誰しもが判って居る
未だ、そうなってまでも、其の両手に握り締められ、離れずに在る剣の残骸を
蹴り飛ばして遠くへ離し、抵抗の余地を奪い去って仕舞えば

――試合の残り時間を、確認する様に係員の方へと、ちらりと視線を送った後。)

「――――――残り時間を数えろぉ!」

(響かせる、叫び。
刻々と、定められた3分に近づいて行く残り時間を、初めは係員が示し
そして、合わせて観客が、総出で声を響かせ、娘の敗北、其のカウントダウンを行うだろう

そうして、己は屈み込み、倒れ伏す娘の抱え上げれば、敢えて止めを与える事も無く
羽交い絞めにしたまま、其の身を観衆の視線に晒す事で、闘技者としての役目を果たし――

――時間切れによる、娘の敗北が宣告されるのを待つだろう。
娘が敗北する事により、どの様な末路を辿る予定かは既に知らされて居る
其れでも、一度この場に据えられた以上、同情で負ける訳には行かぬのが傭兵と言う物だ

―――――だが、観客が、盛大に騒ぎ立てる其の中で
果たして娘の耳にだけは、かろうじて届いたやも知れぬ
兜の中から届く声音が、何か、呟いたのを。)

「―――――――……売り飛ばすにゃあ、勿体ないってもんだ。
よう、嬢ちゃん。 ―――先の事は、選ばせて遣る。」

ハク > 体がうまく動かせず、震えている所で男の蹴りが手に与えられ、握りしめていた残骸も飛ばされる。
そして続く叫び声に耳を震わせ……
男の叫びに合わせ、残り時間30秒のカウントダウンが始まってしまった。
早く、早く起き上がらないと――と思って体を動かすも、その動きは遅々として。
何とか上半身を起こしきれた所で、男に羽交い締めされてしまい。
そうなればようやく体がまともに動かせそうになってきても、男の膂力により抑え込まれて身動きもとれない状態であることを自覚してしまった。

「――無念にござる……」

剣の残骸を使わず、苦手であろうと見様見真似の鎧徹しを主力に使えば。
合戦組打ちのように投げ・締め・極めの技術をもっと磨いていれば。
そういう気持ちはあれど、やがてカウントダウンが1桁になれば抵抗のちからも抜けていってしまい。

「残念でござるが、バフート行きは確定でござる。
 まぁ、対戦相手は優先購入権が与えられるとかなんとか。
 ――おぬしがそれがしを哀れに思うのであれば、買い取ってくれればまぁ、感謝するにござるよ」

はぁ、とため息を付きながらカウントゼロと試合終了の笛を聞いて、敗北が確定してしまった事による悲観交々の観客の声が響きはじめた。

グライド > (――賭けの対象として、娘に掛けて居た連中は、無念の声を上げるのだろう
だが、通常の一対一の試合ならばともかく、大将へと据えられてて仕舞った以上
求められたのは、挑戦者を絶対に止める、と言う役割だ
其れを無視して娘を見逃せば、闘技者としてだけでは無い
己が傭兵としての信用にすら、傷が付く事になって行く物だ

其の為に、娘には生憎だが、本気で「潰させて」貰った
無念だと呟く其の声を、兜の下で聞き取って居たか
だが、謝罪の言葉を掛ける事は、最後まで無く。)

「――――――掛けられる金次第、ってトコは在るがな。
奴隷だのに興味も必要もねぇんだが、嬢ちゃんにはちょいと興味が湧いた
後で送られんのがバフートじゃなけりゃ、そう言う事だと思いな。

嗚呼、だが――言って置くがそうなっても、哀れみじゃねぇ。」

(そんな感傷的な理由だけで、いちいち金なぞ出さん、と。
ひとつ、そう告げたなら、羽交い絞めにしていた腕から力を緩め
娘の身体を、ひょい、と肩へ担ぎ上げてから、舞台を控室に向けて降りて行こう
見世物が終われば、後の事は知らぬ。 打倒に稼いだ主催の男が、良くやったなぞと声を掛けて来るが
何時も通りだ、なぞと適当に応えては、早々に娘を医務室へ放り込みに行く筈だ
バフート送りになるとしても、直ぐに、と言う訳ではあるまい
娘が治療を受けている間に、きっと、男は何時の間にか、何処かへと消えて居る筈だ

そうして――再び、男が娘の前へと姿を現す頃には、其の手には首輪が握られて居る
其れが示す意味は、きっと、娘自身が良く、判る筈だ)。

ハク > これから行く事になるバフートの事を考えると気が重い。
しかし無様に泣き叫ぶようなマネをしたくもない、という矜持が胸にあるためおとなしく敗北を受け入れている。
勝敗が決したとなれば、もうここにいることはないか、と思って男に手を離してもらおうとする、が――

「ひゃお」

そのまま持ち上げられ、男と一言二言会話をしながらそのまま東の門へと連れ去られる事になる。

――その後、闘技場の医師に診察されることになるが――
再び男が診察室にやってきた頃には少女の姿はなく、使用済みの注射器だけが残されて居ることになるだろう。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からハクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からグライドさんが去りました。