2020/08/03 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にハクさんが現れました。
ハク > 「ふう……これで、終いにござる」

どさりと倒れた男戦士を見て剣を鞘に収める。
その瞬間に鳴り響く試合終了の笛の音と、悲観交々の観客たちの声。
それを耳にしながら、狐耳を震わせつつ尾を揺らし、再び闘技場中央の待機ポジションに戻っていく。
その間にも西側の門から救護の人員がやってきて、男戦士をタンカに乗せると再び西の門に消えていった。

『ミレー族ハク選手、ついに4勝!目標の5勝まであと1勝だ!!
 しかしハンディキャップの負担はじわじわと彼女を苦しめているようにも見えます!!
 彼女は無事、5勝完遂して無事に東門から帰る事ができるのか!?
 次の選手入場まであと5分です!皆様お待ちください!!』

闘技場に響く運営の声の通り、ハクの装備は大分くたびれてしまっている。
普段使いの刀や、防刃防弾性能に優れているフィットスーツは『ミレー族参加の条件』として封印されている。
代わりに与えられたのは刃が潰された模造直剣と、チャイナドレスと言われる詰め襟の異国情緒を感じさせるワンピース。
あとは魔術を封じるための中型魔獣用の魔力封印首輪のみ、という姿だ。
正確にはあと指先が滑りやすくなり掴みづらくなってしまうサテン地のロンググローブと足元を保護するためのサイハイソックス程度。

そのチャイナドレスも裾は脛まで届くほどであるが、左右の腰上までつけられたスリットのせいで風を孕みやすく足に絡みつきやすい。
そのせいで1回戦の時は普段の足運びをするとドレスが足に絡みついてあわや転倒しかける、という事にもなった。
後ろの方にも『ミレー族の尾を邪魔しないため』という名目で穴が空いており、尾が邪魔になることはないが……
その穴は非常に大きく作られているため、尾どころか尻の割れ目が簡単に見る事ができるほど。
上の方もノースリーブであることはともかく、乳房部分の布地は切り抜かれていて
穴の上に取り付けられたカーテン状の布で乳房を隠しているため、大きく動けば露出してしまう事も避けられない。

そして最も大きなハンディキャップの内容は『途中補給不可』。
5戦連戦の間、インターバルの最中は闘技場中央で待機せねばならず、その間に水分補給や武具の手入れなども行う事はできない。
ちらりと左手に持った剣を軽くゆらし、耐久度を考え。

(――打ち合えて、あと3合が限界でござろうな)

もともと粗鉄で作られている1本100ゴルド程度の武器としては本来使えないものだ。
1戦目の盗賊風の男はそれこそ陵辱目当てだったようなので武器を打ち合わせる事なく股間を蹴りぬき撃退できた。
2戦目の魔法使いの男はハンディキャップとして『戦闘開始を闘技場の端から』というものであり、
詠唱中断されない事を狙ったようだが……
幸いにも走るだけなら足元は通常通りに使えたために最速で接近して柄打ちで撃破。
3戦目は犬型の魔獣。ハンディキャップは『フェロモン塗布』。興奮しきった獣を倒すのに苦労するハメになり、
ロンググローブはいくらか破け腕に多少の傷ができてしまった。
4戦目の戦士の男。ハンディキャップは『完全装備』。
鎧兜をしっかり身につけた相手は剣撃を当てれば逆に剣が折れてしまいかねないため、できるだけ剣を温存したかったが……
男の技量も高く、攻撃を受け流すために何度か剣を斧槍に打ち合わせるハメになり、耐久度を大きく減じてしまっている。

(次の相手で最後。剣が折れたら負け、というルール等はなかったのが安心でござるな。
 最後となれば最悪剣を折って疑似二刀で戦うというのもできるでござろう。
 まぁ、ハンディキャップに何を与えられるか次第、でござるが)

相手の選ぶハンディキャップは基本制限なし。ただし『戦闘を行えなくなる』ようなハンディキャップは禁止されているため、
戦えないようなペナルティはないと考えてはいるものの……
多少の不安を表情には出さず、新しい対戦相手の入場を待ってステージ中央に立ち続ける事になる。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にグライドさんが現れました。
グライド > (闘技場の催しに参加するのは、別段此れが初めてでは無い
だが、大抵は自分が挑戦する側であり、力試しと言う意味合いを持っての事だ
そんな自分に、普段とは違う依頼が舞い込んだのは、参加の予定が無かった時分だ
ハンディキャップ戦を行うが故に、「もしもの為の」大将へ座ってくれ、と言う物
明らかに、挑戦者に対して勝たせる気が無い様な物言いに、僅か片眉を跳ね上げた物の
自分の前に用意されて居る、4つの関門に用意された面子を見て、其れなりに力も、そして強さも在る故に
自分の所まで辿り着く連中なぞ、恐らく出てこないだろう、と言う体で、気軽に引き受けたのだ

―――だが、実際は如何だ。
現れた挑戦者は、当然苦戦こそしただろう、だが、其れでも4人目を倒して見せた。
4人目に据えられた男は、己も知る闘技者の一人であり、決して弱い男では無い
完全装備で向かったのも、卑怯と見る向きもあるだろうが、油断が無い事の表れとも言える

――念の為、普段の装備を携えていた事は、幸いと言えた。)

「―――――……やぁれやれ、こう言うのには、何時出くわすか判らねぇもんだな。」

(最後の関門たる己を待つ客の歓声が、怒号の様に響く中で、少しばかり肩を竦めて笑えば
ゆっくりと椅子から立ち上がり、闘技場へと、僅かばかり早めに姿を現す
全身鎧、そして、唯一の巨大な盾を背に担ぎ、アリーナへと昇れば、其の向かいに立つ女へと
兜に隠された隙間から、じっと様子を見遣り。)

「―――――ハンディを宣言するぜ。」

(――響かせたのは、剣撃ばかりが周囲を包む戦場ですらも通る、怒号の様な声。)

「試合時間は、3分だ。」

(それは、引き分けをも己が勝利と出来る、一見性格の悪いハンデだろう
故に、観客はまるで、悪役が現れたかの如くに口笛を吹き、歓声を沸かす

だが――いずれにしても、長期戦になぞなるまい。
此処までの疲労と傷、そして毒の具合を鑑みれば――相手にとって、決して悪い条件とも限らぬ筈だ)。

ハク > 『皆さんお待たせいたしました!
 今回のハンディキャップ戦5戦目、相手はなんとぉ……
 豪放磊落、意気軒昂!我らが闘技場の圧倒的な巨壁!!
 グライドの登場だぁー!!』

如何にして次の戦いを乗り越えるか、そう考えていたハクの耳に聞こえたのは次なる挑戦者の声。
西の門が開けばそこから出てきたのは――

(相性最悪……)

フルプレートに大盾を軽々ともった、筋骨隆々な男性の影。
よりによってこのように武器耐久度が低い状態で戦いたくはない相手に
苦虫を噛み締めたような表情を浮かべそうになってしまいながら、はぁ、とため息をついて隠し。

「ふむ、ハンディは――3分、でござるか」

疲労も溜まっており、体に熱も帯びてきている。
武器も考えれば是非もなし、という条件であるが――
逆にいえば、3分以内に相手を倒せなければ自分の敗北、ということになる。
勝利の暁には20万ゴルドもの大金を得る事ができるものの……
敗北時には奴隷市場都市バフート行き、という今回の報酬内容を頭に浮かべて、
最悪の想定をしながらも足を軽く踏み出し剣を抜く構えを取る。

「それがし、ハクと申す。
 グライド殿は――どうやら、人気闘士のようで。
 胸を借りるつもりでいかせてもらうにござる。」

みればハクとグライドのオッズが掲げられている。
その内容は29対8。
もちろんハクのほうが29倍だ。それだけ、グライドという男に対する信頼度が高いのだろう。
相手がそれでも8倍なのは、この4戦を危うげなく――そう見えるように――攻略してきた賜物だろうか。

「――まぁ尤も。胸を借りるどころか後で肩を貸して差し上げるにござるよ!」

軽口を叩きつつ、戦闘開始の合図が降りれば即座にグライドに向けて猛進を行う。
まず狙うは盾の内側、極端なインファイトにて内気功による見様見真似『鎧徹し』の拳撃――!