2020/07/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 『さあ、始まりました。アケローン闘技場、夜の部!
先に行われた昼の部において、勝利した選手同士の対戦となります!』

響く喝采。今日一日行われた大会の、最終戦がこれから行われるというのだから、無理もない。
他の試合もさることながら、最終戦は特に人気が高い。
というのも、此処まで来れる選手というのは二種類しか居ないからだ。
つまり、勝ち抜けるだけの実力を持つか――或いは、一番人気の出る決勝試合、そこで犯される事が集客になるような、"魅力"のある選手か。

『それでは、最終戦の対戦カードを紹介しましょう!』

アナウンサーの声が試合場に響く。
既に、今までの試合を見ていた者は決勝の相手も解っているが、この試合だけを見に来る客も当然居る。
だから、彼らへの紹介の意味も兼ねて、アナウンサーが煽る様に、

『東方!剣闘士にして当闘技場の女性殺し[レディキラー]、クレス・ローベルク!』

「おう女相手にだけイキってんじゃねえぞ!」「負けろー!」と好き勝手な野次が飛ぶ。
それらに取り合わず、男は手を振って客に応える。
弄られ役、悪役、嫌われ役。
そういう役回りを好んでやってる以上、野次は歓声の次に尊いのである。
ともあれ、

『西方――』

今日の対戦相手の名が、これから読み上げられる。
今日の試合の、内容を規定する相手が。