2020/05/15 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」に黒須さんが現れました。
黒須 > 【待ち合わせ中】
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
黒須 > 「…なんだ?」

(自分の一撃をこれから喰らうと言うのにも関わらず、最後に何かを言おうとする相手を不審に思う。
その後、体勢を直して掴まれれば、自分の体に異変を感じた。)

「んっ!こいつは…魔力を断ち切りやがったか…!」

(体に流れる魔力の流れは長い事感じていればわかるものだった。
しかし、今はそれが微塵とも感じなかった。
魔力を断ち切られるのを感じた後、そのまま投げられる。
空気の感覚でわかった。
このままいけば場外だと。
実力で決まらない勝負、最強の名は今はもう”元”と言うものであった。
しかし…)

「…ざけんな…。」

(ギリっと歯を鳴らしながら噛み締める。
魔力を遮断する眼が止まれば、そんまま手を伸ばす。
その手は、先ほどの吸収魔力ではない、別の物だった。
右手の白いオーラが強い光を放つと、空中で投げ飛ばされていた黒須の姿はなかった。
彼はクレスの真後ろに居たのだ。)

「…随分と嘗めた作戦だな…?
めんどくせぇから、さっさと終わろお思ったが…こいつは別件だ…。」

(その場でしゃがんでいた状態から立ち上がる。
元々、2mと長身な体格だが、今の姿はそれ以上にある様に見える。
その姿は人間ではなく、毛に覆われた狼の獣人、魔族の「ワーウルフ」のようだった。)

「テメェはさらにめんどくせぇことをしやがった…。
俺を…キレさせた…。」

(鋭い目つきをしながらクレスを睨み、ギチギチと獣らしい歯を鳴らして威嚇するような空気を作り上げた。)

クレス・ローベルク > 「よっし、投げた、勝っ……」

た、と言葉を発する前に、男はその表情を凍らせた。
右手の白い光。それが、何であるかは解らなかった。
だが、それがまだ黒須が見せていない何かだという時点で、既に勝利の確信は苦戦への予兆に変わっていた。

「いや、君の魔術だって大概って言うか、相当剣闘士殺しなんですけど……あ、うん。
君には関係ないよね、うん」

肌を刺す様な怒気を感じる。
だが、男はそれに気圧されない。
恐怖が無い訳ではない。
だが、男にとってそれは何時もの事だし、何より剣闘士、クレスのウリ文句は、

「人間人外、区別なく、ってね」

とはいえ、相手を知らぬ内に突っかかる必要もない。
片足を軸にし、くるりと身を回して剣を一閃。
これは、攻撃の為ではなく、追撃を躱す為のものだ。
そして、その勢いのままに、

「よっと!」

一歩、ステップで後ろに下がる。
まずは相手を観察し、弱点を探る。然る後反撃。
男が人外相手に行う、ルーチンとも言える戦略だった。

黒須 > 「御託はどうでもいい…覚悟はできているな…?」

(黒須にとって嫌な事。
めんどくさい事はもちろん嫌であり、その他は大したことがない限り、キレることはなかった。
しかし、自分の中にある、”あいつ”と言う奴。
その人間が関係することに関しては、彼は容赦がなかった。)

「っ…!」

(一振りの剣の軌道を読み取り、両腕を揃えてガードする。
大きくそして毛深い腕が斬撃を吸収し、ダメージを防いだ。)

「逃げるつもりか…?」

(腕の間から見える鋭い眼光を見せると、ガードしていた腕を崩して、クレスの首を掴もうとする。
項まで軽々しく指が回るほどの大きな手で掴み、そのまま、自分の方に引っ張ると、固い頭を使って強く頭突きをしようとした。
ヘタに当たれば脳震盪を起こしてしまいそうな勢いの強烈な頭突きを)

クレス・ローベルク > 「いっ……!」

下がったとほぼ同時、腕が伸ばされる。
殆ど、抵抗もできないままに、男は掴まれ、

「ぐ、ぇっっ!」

蛙がひしゃげた様な声とともに、思い切り頭と頭を叩きつけられた。
視界が、意識が、ぐるんと揺れる。
混濁の意識の中、思うことは、

「(ま、ずいっ……!攻撃が、来る……っ!)」

だが、ガードはままならない。
かろうじて立ってはいるが、防御とか、回避とか、そんな事を実行できる状態ではない。
目の焦点が定まらぬ男に、一撃を食らわせるのは容易いことだろう。

黒須 > (頭突きが決まった時、黒須は平気であった。
怒りによるアドレナリンによって、痛みは中和されており、同じダメージを食らうようなことにはならなかった。)

「おら、歯ぁ食いしばれよ…。」

(その後、すぐさま拳を握る。
指を一本ずつ曲げていき、握り拳を作るとそのままクレスに標準を合わせ)

「オラァ!!」

(大きくドスの聞いた声を響かせ上がら思いっきり殴ろうとした。
筋力と握力が重なった強力な殴りをクレスの顔面に向けて思いっきり放とうとした。
一発決まったところで収まらず、そのまま立て続けに何度も攻撃を加えようとした。
自分の手の肌が剥がれる程、血液塗れになるぐらいに何度も行おうとした。)

クレス・ローベルク > 最初の一撃は痛烈だった。
そして、そこから暴虐が始まった。
幾度も幾度も、まるで嵐の様な殴打が、男を襲う。

「(あー、こりゃ死ぬな)」

洒落にならない痛みと衝撃だが、それでも男はぼんやりと思った。
何がそんなに気に入らないのか男には解らないが、我を失った彼の力で何度も何度も殴られれば脳挫傷なり頚椎損傷なりで死ぬ。
そもそも、何でそんなに怒ってるのか解らないが、まあ対戦相手の都合など自分も斟酌した記憶はほぼない。
そういう意味では成程、男の死は自業自得とも言えた。

「(ま、このまま殴られ続ければ、だけど)」

「なっ!」

黒須が、拳を振り下ろすその瞬間。
男は、最後の力を絞り出し、カウンター気味に彼の目に向けて指を突きささんとする。
これは、黒須の魔術に対する、場外以外のもう一つの解答だ。

「(魔術の都合上、一度攻撃を受けない限り、反射はできない。
なら、一撃の攻撃そのもので、相手を行動不能まで持っていければいい!)」

これは、黒須が冷静な状況ならできなかった事だ。
元々、相手は素手で戦ってきたのだ。目突きなどという原始的な技をみすみす喰らう訳がない。
だが、今ならどうか。相手は怒りに我を失っている今なら。

「(通る……!)」

黒須 > (鉄臭く、冷たく血液が顔に飛び散るのを感じる。
目の前の騎士と言うのか、その男をひたすらに殴り飛ばしていたからだ。
拳の黒い毛に血が染みつき、すぐさま固くなる感触を覚えていた。)

(しばらく殴り続けたことを後、相手の動きを瞬時に見切った。
指が自分の目に突っ込んでくる。
その軌道は間違いなく自分の目であることに変わりはなかった。
だからこそ、黒須はそれに対応した。)

「くぁあ!!」

(やってくる指を見れば口を大きく開いた。
イヌらしい大きく長い口内。
牙が生えそろったその口にクレスの腕が入り込むと、そのまま有無を言わずに口を閉じた。)

(鋭い牙が一瞬にして肉を引き裂き、じんわりと血をにじましては、ギリギリと繊維を刻んでいく。
すさまじい顎の力を使い、クレスの腕を離さずに咥え続ける。)

クレス・ローベルク > 「……まさか、これにも反応してくるとはね」

棘のついた万力で締め付ける様な痛み。
だが、男にとって痛みとは、一種の身体のバロメーターに過ぎない。
それに、そもそも――この勝機を前に痛がるなどと勿体ない真似が、できるわけもなかった。

「美味いかいワンコ君。しっかり味わって食えよ。
何せ、俺のグッズは結構高いんだ。
腕の肉だって、相応に高値で売れるはずだからね……!」

次の瞬間。
男は、腕をぐいと引くと同時、その顎を思い切り蹴り上げる。
自分の腕をわざわざ食いちぎらせんとする愚行にも見えるが、これには違う狙いがある。

「(頭蓋骨が硬いって事は、逆に言えば振動が伝わりやすいって事でもある)」

腕を引いて顎を前に誘導したのは蹴りやすくする為だけではなく、人体構造上、そうした方が振動が伝わりやすいからだ。
尤も、それでも顎に力が加わることに変わりはないので、つまり腕が無残に引きちぎられる事に変わりはないが。

「(あっちが耐えきれば出血多量で俺がKO。耐えきれなかったらギリギリ俺の勝ち。
どうせ殴り合いじゃ負けるんだ。オッズとしては上々だろ……!)」

黒須 > (闘技場に響く噛み千切る音。
肉を裂き、血を流しているその様子が、フィールドの真ん中で行われていたのだった。
そのまま、喰い込んでいるために、相手が腕を引っ張れば自分も釣られて頭を引っ張られる。
その後、下顎に強烈な蹴り上げが来る。
当たればそのまま、口を離し、真上を見るように仰け反る。
そのまま、ゆっくりと後ろに倒れていく。)

「…無駄だ」

(低い声と灰色の大きな目がクレスを見る。
その言葉の跡、黒須はブリッジを行うように後ろに倒れる。
地面についた腕に力を入れ、穴をあけて地を掴むと、そのまま下半身を振り上げようとした。
巨体から繰り出す両足と強靭な体感による蹴り上げは同様にクレスの顎を打ち砕くような距離感でやってくる。)

クレス・ローベルク > 「(腕を……離した!)」

引きちぎられた痛みはあれど、それは堪えきれるもの。
だが、血が流れ始めている。
如何に感覚を遮断しようが、血が流れれば失神は免れない。
恐らく、闘技場のスタッフも、こちらの敗北が確定すると同時に治療する手はずを整えている筈だ。

「だけど!」

飛んできた蹴り上げを、男は食いちぎられていない左腕ではし、と掴む。
そして、そのまま脚を抱きつく様にホールドし、自らも倒れ込む。
所謂、脚十字固めの姿勢だ。
だが、脚を折っただけでは、気絶には持っていけない。

「(その為の――!)」

倒れ込む寸前、男がホルスターから取り出したのは【試練の媚薬】。
この薬は、媚薬でありながら、一回の投与では発情効果は発揮しない。
その代わりに発揮されるのは――感覚の鋭敏化。
それは快楽だけではない。痛みもまた、同じ。
男は、それを投与した後、脚の骨を折るつもりだ。
ダメージによる気絶ではなく、過剰な痛みによる、気絶狙い。

「普通、こんな嫌がらせじみた用途で使うもんじゃないんだけどね……!」

だが、薬の効果はダメージではないが故に反射できず、痛みも厳密にはダメージではなく、感覚器の機能に過ぎない。
故に、効く。後は、それに耐えきれるか、耐えきれないか。それだけである。

黒須 > (自分の蹴り上げを腕で掴み、そのまま同時に倒れ込むと、そのまま、下半身を振り回しが立ち上がろうとした。
しかし、すでにクレスが十字固めにしたためにそれはできず、膝が来s無感触が伝わってくる。
その後、ホルスターから取り出したものを見た後、匂いを嗅ぎつけた。
媚薬の匂いであった。
使ったことないが、抱いてきた女の中で興奮するために使用した相手もいたために、すぐさまわかった。)

「てめぇ…」

(煮えたぎるような声をしながら足を振り上げた。
クレス同様に上げると、そのまま勢いよく地面にたたきつける。
振りほどくようにしながら叩き付け、投与を免れようとした。)

「妙な事してんじゃねぇえ!!」

(響き渡るほどに大きな声を出して、めんどくさいが故のキレた様子を露わにした。)

クレス・ローベルク > 「ええい、反射魔術とか使ってる奴が、妙な事とか言うんじゃあないよ……!」

自分だって妙な事をせず正々堂々勝てるならそうしている。
だが、腕力でも魔術戦でも負けてる以上、小細工で相手の能力の隙を狙うしか無いのだ。

「(頑張れ……!頑張るんだ俺……!
ファイト一発せめて見せ場作らないと剣闘士としての汚名が残る……!)」

先程殴られたのと合わせて顔面はボロボロ、更に頭に脚を全力で叩きつけられているので、そろそろ好い加減ギブアップをしないと死んでしまうまであるのだが。
それでも、勝ち目が無くなるまでは、ギブアップはしない。
全力で振り回される脚にしがみつき、脚に注射器を突きつけ、

「悪いが、こっちにも意地って奴があるんでね……!」

強引に投与し、脚を折ろうと。