2020/05/04 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 『アケローン闘技場興行試合、参加者募集中!』
ダイラスのあちらこちらには、いつもそんなチラシが張られている。
何と言っても、闘技場はダイラスの一大娯楽施設である――試合をやればやるだけ儲かるのだから、闘技場側も必死で人を掻き集める。
そんな訳で、今日も今日とて、闘技場は大盛況であった。
「さあて、今日はどんなのが対戦相手かな――」
軽く剣を振ったりストレッチしたりしつつ、試合場の中央で準備運動する男。
毎度のことながら、男には誰が来るのか知らされていない――所謂、"公平性を保つため"である。
『――試合の準備が整いました!それでは、今日の選手に、入場して頂きます、今日の対戦相手は――』
「(おっと、始まるか)」
試合が、始まる。
■クレス・ローベルク > ――試合が始まる
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にヴォルフさんが現れました。
■ヴォルフ > 闘技場へと続く扉が上がる。
地下へと続く暗闇の中にいる少年を、容赦のない白光が襲う瞬間だった。
それまで、地鳴りのようだった歓声が、一気に鼓膜を打ち震わせる。
眼の前、白い白い砂が広がった。
血を、映えさせるための白い砂…。
少年は、その砂の上へと踏み出すと、常のように数歩足踏みをする。サンダルの底に白い砂を擦り付けるように。
そして、手にしていたグラディウスとバックラーを置くと、掌に白砂を掬い取る…。
その白砂で手を洗うかのように。
少年は手指にも砂を擦り込んだ。
そうして、再び武器を取り少年は、物憂げに満員の観衆を見渡してゆく…。
今宵もまた、血を流せと、狂ったように叫ぶ観衆を物憂げに…。
今宵、どのような相手が立ち塞がるかも、知らされていない。
ただ少年は、その時が来るのを待つだけだ。
自由を勝ち取るための階梯の、一段となるべき相手が現れるのを…。