2020/01/27 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 『さあ、始まりました。アケローン闘技場興行試合!
今回は特に大盛況となっております!』

夜とはいえ闘技場の席がほぼ全て埋まっているというのは、珍しい事態だ。
その珍しい事態を引き起こした理由は、今試合場に立っている男の仕業。
とはいえ、これは男の人気が伸びたという訳ではない。
或いは、男の人気の無さこそ、この席が埋まった理由であるとも言えるぐらいである。

『今回の試合は、クレス選手の提案により、参加費を二倍にする代わり、クレス選手は剣を没収した状態で戦うという、ボーナスゲーム状態になっております!』

上部の魔導モニタに、男の姿が映される。
見れば、男が何時も腰に付けている二振りが今日はない。
彼が持っているのは、ベルトに付けた媚薬注入器と淫具をしまっているポーチのみである。

『この状況でもしもクレス選手が勝利すれば、クレス選手に特別ボーナス!負ければ、クレス選手に更にペナルティとして罰金を支払っていただく事になっております!』

そう、つまり今回の客席の埋まり様は、男がボコボコにされるのを期待してのものが大である。
中には、この状態で勝てるのかという好奇の理由もあるだろうが、どちらにしても碌なものではない。
そして、碌なものではないといえば、この提案をした理由もまた、ろくなものではなかった。
なにせ、理由が『娼婦に金を使いすぎた』であるのだから。

「(やっぱ、娼婦に入れ込むのはダメだよなー)」

と、見た目笑顔内心後悔の男。
流石に、二ヶ月分の収入をくれてやったのはやり過ぎだったかなと思う。
それなりに理由はあったとはいえ――である。
だが、最早引き下がれる状況ではない。
無情にも、試合の時は近づいていく。

『さあ、それは始めていきましょう。
今日の選手は――』