2019/12/25 のログ
クレス・ローベルク > 『さあ、ウィステリア商会主催の闘技大会、【藤花之闘宴】もいよいよ本戦へと差し掛かりました。
予選で選ばれた合計五名の中から、賞金を手にする者はただ一人!

第一試合、Aコーナーの選手は――クレス・ローベルク選手ゥ!』

わぁぁぁ、と観客から歓声が上がる。
今日は何時ものアケローン闘技場主催の闘技大会ではなく、一つの商会が開いた闘技大会なのである。
何時もの興行試合とは違い、こちらはスポンサーがついている分、莫大な賞金がかかっている。
故に、参加する者も多いが――実は男は、そのスポンサーから雇われた選手である。

「(今回は、エロ系バンバン使えって言われてるんだよなあ)」」

何時もの試練の媚薬ではなく、一発で効果を発揮するタイプの媚薬を持参してきている。
流石に一撃で戦闘不能にはならないものの、それでも戦闘を阻害する程度には発情するものである。
つまり、男に期待されている役割は、戦闘ではなく色事。
敵を辱めろと、そう言われているのだ。

「(まあ、良いんだけどね。予選はその分、しっかり戦って、実力を観客に見せた訳だし)」

と言いつつ溜息が出る男。
参加者を油断させるために、予選では性的な技は禁じられていた。
選手の方も、"そういう技"は無いと、恐らくそう思っている筈だ。
その油断している所を突くのが、この大会のコンセプトらしい。

「(何というか、趣味が悪いよねえ。嫌いじゃないけど)」

と思ったとたん、アナウンサーが対戦相手の来訪を告げる。

『Bコーナーは――!』

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。