2019/12/09 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 『おう、賭けに負けて凹んでる所悪いな。急に剣闘士の内の一人が体調を』

以下略。
そんな感じで、休日でありながら、男は試合場に立つことになった。
名目的には、『サプライズイベント』という事で、男と、対戦相手の試合が組まれる事になった。
急に試合の相手が捕まるんだろうかと少し疑問ではあるが、まあ闘技試合は金を稼ぎたい者にとっては一番手っ取り早い手段だ。
或いは、闘技場側に、『無理にでも捕まえられる対戦相手のアテ』があるのかもしれないが。

「(まぁ、どちらにせよ、俺は俺の仕事を……だな)」

『それでは、今日の対戦相手をご紹介しましょう――』

アナウンサーが勿体付けた抑揚で、今日の相手を紹介する。
試合が、始まる。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にラファルさんが現れました。
ラファル > 「ボ ク だ!」

 サプライズが過ぎるだろうか、ダイラスに本店を持つ大富豪。
 トゥルネソル商会、その三女であるラファル・トゥルネソル、この町であれば当然のごとく有名人である。
 そんな幼女がどうやってここに来たのか、知るのは誰もいない。
 でも、間違いなく、闘技場の舞台に立っているのだ。

 にひー、と嬉しそうに笑いを零しながら幼女は立っていた。
 いつもの、半裸で、気軽雰囲気で。

「今日こそ、闘技場デビューだー!」

 そんな風に言いながら、金色の竜眼は、目の前の相手をとらえるのだ。
 幼女の気軽い雰囲気とは裏腹に、獲物をじっと見つめる、見定める瞳、で。

クレス・ローベルク > 『トゥルネソル家三女!年齢十歳!幼過ぎる戦士、ラファル・トゥルネソル――!』

おおおおお!?と興奮と戸惑いの歓声を挙げる声。
それはそうだろう、トゥルネソルといえば、ダイラスでは名前の通った商会の名だ。
フライパンからマジックアイテムまで、何でも揃うと評判の店だ。
勿論、その子女の名とて、噂にならない訳もない。
当然、男もその名前は知っている。勿論、会ったことは無いが。

「あはは、まあ折角の闘技場デビューだ。
俺も見苦しくない様に、精一杯お相手を務めさせて頂くよ」

と、苦笑して剣を抜き、5m程間隔が空いている白線に立つ。
しかしまだ、試合開始の合図は鳴らない。
というのも、この剣闘士が女性を相手にするときは、必ず行うハンデがあるのだ。

「俺が女性と戦う際、最初の一撃は必ず女性からって事にしてるんだ。ほら、レディ・ファーストって事で。
そんな訳で、一撃どうぞ、それを以て、試合開始としよう」

両手で武器を中段に構え、男は彼女の攻撃を待つ。
勿論、これはハンデなのだが、それ以上にこれは実力を測る為の儀式の様なものでもある。
油断せず、一挙一動を見極める様に、じっ、と観察する。

ラファル > 「わーい!おいちゃんありがと☆」

 ぴょこんぴょこんとジャンプして悦びを全身に出す幼女は、間違いなくダイラスの商家の娘、然し疑問符が出てしまうだろう。
 長女のリスは、マグメールに居るのだが、普通の少女と言った感じの娘、次女の竜胆はお嬢様然としている。
 三女の服装は―――、半裸と言って良いだろう、普通に考えてお嬢様の着るような服装ではないのである。

「………ふーん?じゃあ、ボク、色々縛るよー。
 師匠と覚えた、に……体術だけにするねっ!」

 にへっ、と笑う少女。
 と言うか、ドラゴンとしてのすべてを出すなら、これは闘技会ではなくなるのだ。
 なので、武器も、能力も、魔法も、全て使わずに行くことにする。
 それでも、ストライダーとしての能力は、有るのだが。

「じゃあ、行くよ?」

 するり、と言う表現が正しいだろう。
 音もなく、5mを蛇のように接近して、彼の向こう脛を蹴りっとけるのだ。
 弁慶の泣き所を的確に蹴っ飛ばす悪戯娘。