2019/12/03 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 何時も通りの観衆と、何時も通りの試合場。
だが、その中で、男は少しばかり、溜息をつきたい気持ちになっていた。
その理由は、男の背後にあった。

それは、観客席の天辺まで届くほど持ち上げられた地面。
その上に置かれた檻と、その中にいる少女だ。
粗末な服を着せられたその少女は、その檻の高さと、周囲の観客達の視線に怯え、声も出せないでいる。

『さぁ、始まりました、アケローン闘技場スペシャルマッチ!
今回、対戦相手とこの剣闘士クレスローベルクが争奪致しますは賞金に非ず!
この少女で御座います!』

アナウンサーが叫ぶその言葉に、観客の一部が顔を見合わせる。
そう、今回の試合は、観客達には対戦カードが一切知らされていない。
そして、男もまた知らない。だが、男には知らされていることがある。それこそが、溜息の原因だったのだ。

『この少女は、今回対戦する相手に所縁のある少女であるとの事。
しかし、彼女は既に我々アケローン闘技場の所有奴隷。
その所有権を賭けた戦いが、今から行われようとしているのです!』

それを聞いた観客達の興味が、頭上の少女に集まる。
つまりは、そういう事だ。
相手が誰かは知らないが、とにかくこの少女の関係者。
それも、わざわざ試合を以て取り戻そうというのだから、相当な執着か、或いは正義感の持ち主という事になるのだろう。
勿論、絶対に勝利できるという、確信に近い自信なのかもしれないが。

「(何にせよ、厄介だよなあ)」

『さて、つまり今回の試合は、この少女の王子様……或いは王女様、ですかね?バーサス、悪徳剣闘士クレス・ローベルクとの試合という事になります。
それでは、早速、そのヒーローをお呼び致しましょう!』

アナウンスと同時、闘技場の扉が開かれる。
試合が、始まろうとしていた

クレス・ローベルク > 「(さて、どんなのが来るかな)」

少女が誰だか知らないが、女性であれば良いなあと思う。
勿論、場合によっては父親とか、主人とか、そういう関係性の者が現れる可能性もあるが。
夢を見るだけなら自由だろう。

「(出来ればそこそこ楽で、そこそこ盛り上がって、楽しい相手が良いなあ……)」

クレス・ローベルク > ――試合が始まる
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。