2019/09/10 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 試合の色、というものがある。
例えば、お互いの実力が伯仲しているなら、戦闘を中心とした試合となるだろうし、あまりにもかけ離れているなら、陵辱や、或いは弱いものじめの様な試合になるだろう。
そして、これは運営の判断によって、ある程度操作が可能だ――対戦カードの組み方や、ハンディ、そういう物によって、両者のバランスは違ってくるからだ。
そして、今日の試合は――

「"どちらが勝つのかわからない試合を組むから、調整してきてね"か――」

上司から言われた言葉を思い出し、溜息を飲む男。
普段だって、割とどちらが勝つのかわからない――というか、本来こちらが負けるべき試合を強引に勝ちに持っていっているようなもの。
確かに、負けは少ないほうだと自負しているが、それはあくまで幸運に過ぎない。

「まあ、だからこの辺で負けが来ておかしくはないけれど……だからといって、それをあっちで強引に作らなくてもいいじゃん……」

まあ、そうは言っても仕方ない。
苦戦必至と解っていれば、覚悟も決意もできるもの。
頭を上げて、今日の対戦相手を待つことにする。

『さあ、始まりました、クレス・ローベルク剣闘士VS一般選手の試合!
今日の選手は――コイツだぁ!』

クレス・ローベルク > 「(さて、どんなのが来るかな……)」

今回は特に怖い。
運営は戦闘については素人だ――だから、うっかり『闘技場?ああ戦えば良いんだよねじゃあ殺せば勝てるわー』みたいなのを用意されかねない。
勿論、戦える自信はあるが――それを観客に解りやすいように『演出』できる自信は全く無い。
前の魔王戦だって、彼女(彼)が使う魔法そのものが派手だったから良いものの、男自身が観客になにか出来たかと言うと微妙である。

「(だからお願いします運営サマ!この際なんだって良いけどせめて『殺戮禁止』のルールだけは理解させといて……!
出来ればこれはショーである事を教えておいてくれればよし!)」

いや、ほんとお願いだから。
命の危機がないと聞いて就職した闘技場で、実家や戦場よりも絶望的な戦いに身を投じたくない。
命の危機さえなければ、勝とうが負けようがショーとして成立できるだけのあがきはするから。