2019/07/29 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 夜の闇が、闘技場の各所に設置されている魔導白照明の刺すような明かりで照らされている。
試合上に投げかけられる光の中、佇む男の傍には、その明かりの数だけ影が伸びている。
男が、観客に向かって一礼をすると、その動きに合わせて、ダン!ダン!と銃を撃つような炸裂音と共に、夜の空が一瞬金に染まる。
花火の音、だ。

『さぁ、始まりました、アケローン闘技場興行試合!
闘技場側選手は、クレス・ローベルク選手!』

突然の花火の音に驚いていた観客たちが、慌てる様に歓声を送る。
それをにこやかに受け止めていた男だったが、内心では少し不満気味であった。

「(演出過多だよなあ、これ)」

最近、花火を打ち上げる機械を導入したので、その試射を兼ねているらしいが。
自分としては、もう少し落ち着いて戦いたいというか、闘技場の試合とはそこまで華やかなものではない気がする。
ただでさえ、闘技場の機械仕掛けは腐らせ気味なんだから、新しい物を買うなよなと思う。

『さて、対するは――』

しかし、そんな思いには構わずに、アナウンスは対戦相手を指名する。
今日は、どんな対戦相手が出てくるのかと思い、男は剣を握る。

クレス・ローベルク > 「(さて、誰が来るかな)」

夜の相手は基本的に、質の高い選手が来る。
この場合の質が高いとは、強いという事ではない。
強さを含めて、出場した時、見栄えがする、いい印象を与えるという意味だ。

「(最近は傾向が読めないからなー)」

銃使い、邪神、魔法使い、魔族、純戦士。
記憶にある限りの対戦相手を引っ張り出してみても、全く繋がりが見えない。
勿論、エンターテイメントとは驚きで、驚きとは予測不能なこと。
だから、それ自体はむしろ良いことなのだが……

「(戦う身としては、気が気でないよなあ)」

嘆息しつつ、男は試合相手を待つ。