2019/05/08 のログ
■ミケ > 「くっ!!」
ありのままの事実に悔しく体がカッと熱くなるが、激高しても、何一つ理はない、しゃがみ込む様に振り払う短槍。
相手の防具が弾け、やはり柔らかい体にはいくら短槍を振っても、勢いもつけきれず、ずぶずぶと沈みこんでいく。
魔法でも使えれば別なのだろうが…
使えない物をどうこう言うことも出来ない。
謝られ、運が無かったといわれる。
「それでも!」
手が鞭によって打ち据えられるがこれまで手放す事は出来ない。
それは少年の矜持、そして武器が落ちれば、心も落ちる。
「ぐぅっ!!でも!まだ!諦めない!」
せめても一糸報いたい。
突いても駄目、払うにしても短槍を普通に握り、振った分では体を切り落とすことも出来ない。
若さと意地。
あまりにも青々しい少年が相手にはどう映るか…。
短槍の根元を握り、相手に背を向けるほど体を引き絞り、相手が鞭を持つ手をせめても切り落とそうとする。
勢いは先ほどよりもマシ、空気を切りながら襲い掛かる短槍の刃の部分。
であるが、少年にとっての反撃はそこまでになるだろう。
無茶な態勢を取り繰り出した攻撃が終われば、次につなげることも出来ずに相手の前にはただ、隙だらけの少年が目の前にいるだけであった。
■ビスコ > ピシャァァン! 地面ではなく生き物の肉が鞭に打ち据えられる、小気味の良い破裂音が闘技場に響く。
手を狙った鞭の一撃はしっかりとミケを捉えた……が、武器落としには至らない。
やはり無理な姿勢がたたって威力が出なかったか、それとも……。
「………諦めませんか。若いですね、坊や」
なおも槍を握りしめ、先端の刃に注力してこちらを切断にかかってくる。
突いたら一貫の終わりである、盾と同じようにビスコの水飴の体に呑まれ、引き抜けまい。なによりダメージにならない。
ゆえに切り払い。それが最善手………否、ミケに残された唯一の勝ちに繋がる手。
だけど。
「……魔術も使えませんか。初級の火炎魔術でも冷凍魔術でもビスコには致命傷になりますのに」
淡々と、ひたすら感情のこもらない言葉を紡ぎながら、ダンスを踊るようにミケの切り払いをかわしていく。
『槍の切っ先が』『ビスコの手足を』正確に捉えない限り痛手にならないのだ。
相手の狙い目が限定されていれば、躱し続けるのはあまりに容易なこと。
カラン、コロン、と木でできた厚底靴が軽快に鳴り、ミケの荒い吐息や雄叫びと混ざってメロディになる。
……そうして20秒ほど殺陣を演じた後。
「そろそろ終わりにしましょう。観客の皆様も陵辱の時を待っています」
言うと、ビスコの伏し目がちだった瞼がカッと見開く。刹那、今まで鈍重だったビスコの手さばきが加速する。
ミケの振るった槍を腕全体で捉える。槍と平行に当たるようにし、刃先から竿まで半分以上が水飴に埋もれるように。
そうして少年の最後の武器を絡め取ると、渾身の力で彼の胴体を蹴り飛ばした!
「武器をすべて手放したら戦意喪失とみなされます」
闘技場のルールを復唱する。
75kgの身体と長い脚、そして頑丈な厚底靴から繰り出されたキックを耐えしのげるか?
そしてそれでもなお槍を手放さずにいられるか?
■ミケ > 打ち据えられる右手。
手の皮膚は破れなかったが蚯蚓腫れが浮き上がる。
「っぐぅ できないことだらけなのは分かってるけど 僕にはまだ先がある!」
っくと息を呑み魔法の適性があれば、訓練を使用。そう思いながらも振りぬく槍。
弄ばれている。誘われている。
が、それでもと、少年は懸命にやりを振るうが、絡めとられた槍、銅に繰り出される蹴り。
その蹴りを避けることも出来ずに受ける覚悟を決め腹筋に光らを入れる。
相手の厚底の靴はしなやかで柔らかい腹にぐにゅりとめり込み少年の体は吹き飛ばされる。
ズザァァァ!!!
受け身を取りながらも少年は地面を滑り、しなやかな裸体を大の字にさらし、薄い胸は荒く上下に膨らみ、しぼんでいく。
「はっ…はっ… まいり…ました…。」
武器も持たず相手に向けるのは敗者としての責務。
全てで及ばなかった…そして、ここに出て観客たちのヤジで知ったのは敗者の身は勝者に委ねられる。
■ビスコ > 〈勝者、ビスコぉぉぉーーーーーー!!〉
実況者の声が張り上がり、次いで観衆からも歓声と野次が入り混じって沸き立つ。
ビスコは、腹を抑えて這いつくばるミケに向けて、軽く一礼。
「ナイスファイトにございました、ミケ坊や。先程申しましたとおり、今回の坊やは運が悪かったのです。
今度ビスコとお手合わせするときは、ぜひ剣を担いで来てくださいませ。
魔法も華々しいので、闘技場でのお客様ウケが良いと聞きます。オススメですよ。さて」
さて。そう一つ間を置くと、ビスコは戦意喪失したミケに向かって、再び鞭を構え直す。
「闘士契約第3条より、『敗者は勝者に対して敗北から一定時間の間、あらゆる命令を無条件に受け入れなければならない。』
かかる契約に基づき、ビスコはミケ坊やを衆目下において陵辱したいと思います。
ミケ坊やも覚悟の上で闘いに臨んだものと思います。まさかこの契約内容を知らされてないということはありえないでしょう」
ビスコは知っている。ミケはこの敗者陵辱の契約を聞かされていないことを。
知った上で、わざと大声で言い放ちながら、鞭を振り上げ……すさまじい音で鳴らす。ミケのすぐ目の前で砂が爆ぜる。
「というわけで、坊や。まずはズボンを脱いでください。5秒以内に」
秒数をカウントするように、さらに2発・3発と鞭が鳴る。観客の熱気が、さらに沸き立っていく。
……この後、どんな陵辱劇がミケを待っていたのか。すべては観客と2人のみぞ知る。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からミケさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からビスコさんが去りました。