2019/03/23 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 観客の歓声が響いたのは、男が未だ年若い少年奴隷の剣を弾き飛ばしたからだ。
剣はくるくると回転して闘技場の土の床に突き刺さり、男の剣は少年に反応すら許さず、首元に向けて振るわれた。
男が首皮一枚の所で止めていなければ、少年の首は宙を舞っていただろう。
『これにて、クレス選手二連勝!期待の新人も敢え無くこの剣闘士の前に散ったァ!』
「……ふぅ」
先程の戦いは、大分危なかった。
今回の企画は、『闘技場のプロは何連勝できるのか?』というちょっとした変わり種の企画だ。
試合後に疲労回復魔法で回復しつつ、ランダムに選ばれた闘技場の一般参加者・奴隷・剣闘士と戦い、勝てば勝った分だけの賞金が貰えるのだ。
男は企画前のインタビューで、「少なくとも三連勝はしてみせますよ」とビックマウスを叩いていたが、
「キッツ……」
黒衣を着たスタッフから回復魔法を掛けてもらいつつ、男は呟く。
どうも、今日は運が悪いらしく、先程から割と強い相手が出てくる。
肉体的には魔法で回復できているが、勝ち負けの境界をギリギリで駆け抜けるのは、精神が辛い。
「まさか、わざと三連勝阻止しようとしてんじゃなかろーな……」
そんな事を思うが、しかしイベントの進行は止まらない。
疲労回復魔法が終わったと同時に、実況のアナウンスがかかる。
『さあ、それでは次の対戦相手は――こちらっ!』
■クレス・ローベルク > 「(さて、次は誰が来るか……)」
本当に三連勝を阻止しようというのなら、運営側もとっておきを出してくるだろう。
元より、抽選風景を公開していないのだから、ランダムと言っても幾らでも恣意的に人選できる。
逆に本当にランダムなら、そろそろ弱いのが来ても良い気がするが……
「(どっちにしろ、そう簡単には負けてやらん……!)」
上の意向に従うのは吝かではないが、それなら直接言って来いというものだ。
指示がない以上、男はガチで戦う。
それが、剣闘士としての最低限のプライドだ。
「(さあ、誰であろうと相手になってやる……!)」