2019/03/13 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場 興行試合」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 観客のざわめきの中心に、男は立っていた。
祭りの様な熱気に当てられ、観客達は「早く始めろ」「今日はどんな奴が来るんだ!?」などと叫ぶものも居るが、しかし男は至って平静。
営業用の笑みを浮かべて、いつもどおりの『剣闘士・クレス・ローベルク』として立っている。
が。

「……勘弁してほしいなあ」

口の中だけで呟く愚痴。
昨日の試合が思いの外ハードで、本来今日は出るつもりはなかったのだ。
しかし、当日、様々なアクシデントにより剣闘士が一人足らなくなり、急遽自分が出ることになったのだ。
アクシデントの内容は教えてもらえなかったが、理由は何にせよ、雇われの身である彼に拒否権などなく。

「あー、できれば今日は適度に弱くて、適当に格好良く戦って勝てる相手と出くわさないかなー」

口の中だけで呟いたそれは剣闘士の夢というか、理想ではあるが。
そんな相手は、まずこんな試合にエントリーなどしない。
ありうるとすればよっぽどの無能か、奴隷か、何らかの事情持ちだけだろう。
現実って辛いなーとがっくり肩を落とす男を置き去りにして、今日も実況者の声が響く。

『さあ、それでは今日の剣闘士クレスのお相手は――こちらです!』

そして、闘技場の扉が開く――

クレス・ローベルク > 「(それにしても、この試合の始まり方も結構なんていうか、ワンパターンだよなあ)」

別にワンパターンなのが悪いわけではない。
しかし、気付いてしまうと、何かしら別のを模索してしまうのはエンターテイナーのサガか。
ともあれ、そんな事を考えている間に扉は開ききった。
男も意識を切り替えて、そちらを見やる。

「さて、今日の仕事相手は……と」