2019/03/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 大観衆がぐるりと上から見下げる試合場。
その中心で、青い闘牛士服の男が一人立っている。
既に五分程度待っているが、未だ試合相手は出てこない。

『アケローン闘技場、興行試合!今日の闘技場側の選手は、中堅剣闘士クレス・ローベルク選手!試合相手に関しては、現在マッチング中ですのでもう少しお待ちを――』

「……時間がかかってるなあ」

こういう時は大抵、対戦相手が特殊だったりするものだ。
飛び抜けて外見が良いとか、或いは魔族とか。その内容までは解らないが。
尤も、単に手違いで遅くなっていることもあるので、あまりこのジンクスは当てにはならない。
――前に試合開始が遅れた時、奴隷を監視するスタッフが奴隷とよろしくやっていたという衝撃の事実が発覚したこともあったし。

「ま、此処は期待も不安もせず待っていよう。
何であれ、戦う以外に選択肢はないんだし」

そう言って、男は対戦者が来る向かいのドアを眺めて待っている。

クレス・ローベルク > 「……遅い、な?」

あれから更に暫く経ったが、一向に扉が開く気配はない。
アナウンスの方もやや狼狽気味に、

『えー、あれ?返事来ないな……もう少し、もう少しお待ち下さい!』

などとやっているが。
とはいえ、これは困った。
客の不満がそろそろ募りだす頃合いだし、男としても試合がなければ金が稼げない。

「おいおい、頼む、頼むよ……」

何があったかは知らないが、試合させてくれと、心から祈った。

クレス・ローベルク > 何処と無く、痛みすら感じる沈黙が続いた。
それは、観客の怒りや、男の気まずさを含んだ、湿った重みのある沈黙であった。
しかし、それを吹き飛ばすように、

『――ご来場の皆様!』

とアナウンスが明るい声で叫んだ。

『現在、色々あって対戦者が不在となってしまいました!
そこで、皆様の中で、腕に覚えのある方、是非、今回の試合に出場して頂けませんでしょうか?勿論、賞金の方は通常より多く設定させていただきます!』

割とやけくそ気味だが、しかし他に選択肢がないのだろう。
恐らく、この提案自体はアナウンサーの独断だろうが、しかし名乗り出たなら賞金は支払われるはずだ。

「とはいえ、これで来るかなあ……」