2018/11/25 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にヒナさんが現れました。
クレス・ローベルク > 肉欲と期待が籠もった眼、こちらの肉棒を見つめてくる少女。
そのシチュエーションの淫靡さと、あのラファリエッタが、という驚きとギャップが、たまらない興奮を男に与える。
だが、次に彼女が起こした行動は、男にとって予想外のものだった。

「……っあ、いきなり……!?」

普通、初めて奉仕する女、それも少女は、いきなり肉棒を口に咥えたりはしない。
手で触る、観察する、etc……どんなに頑張っても"舐める"ぐらいが精々だ。
見た目の悍ましさ以前に、不衛生な場所であるそこを、いきなり咥えるなんて。
しかも、

「……あ、ヒナ、それ、いいっ……ヒナの口の中、気持ちいいよ……!」

深く咥えて、ねっとりと舐め上げるそれは、男好みの責めでもあった。
ゆっくりと、しかし確実に、男の中に快楽が蓄積していき、男の顔を緩ませていく。

ヒナ > じゅぷじゅぷと音を立て殊更卑猥に、クレスの反応を愉しむように上目遣いで口婬を続ける彼女、鈴口を舌で刺激し空いている手でさわさわと玉を刺激するその様は未だに処女である等微塵も感じさせない熟達した娼婦のそれであるかのようだった。

「ほれはよはったれふ。いじめへふれたひかえひはしまふから♪」

咥えたままでそんなことを言う彼女は相手に勝てるかもと淡い希望を持たせ有り金を搾り取る天才ギャンブラーだということを再確認させるに十分な姿だろう。そして暫くの後。

「けほっ、まだ出しちゃダメですよ?出すなら、こっちに。」

反応を伺い限界点を見極め肉棒から口を話した彼女は殆ど呼吸すらしていなかったのだろう、少し咳き込みクレスの前に仰向けになった。そして何者も受け入れたことの無いぴっちりと締まった自身の割れ目をくぱぁと広げて見せた。

「準備は出来てると思いますけど、やっぱり少し怖いので優しくシて下さいね?」

クレス・ローベルク > 最初の内は、快楽を楽しむ余裕があったクレスだが、徐々にその表情が歪む――というか、せつなそうな物へと変化していく。
玉を撫でられる事で引き出される射精欲を、先を苛める舌で更に嬲られるそれは、完全にこちらを翻弄しに来ていて。

「うぁ、やめて、我慢するの辛いってえ……!」

男とて、大人としての、そして男としての意地がある。
射精する事が前提でやらせているならまだしも、本番前の前戯で射精するなど、プライドが許さない。
しかし、そんな事は斟酌無く……或いは、それすらもこの聡明な少女の掌の上なのか。的確な責めで、男を悦楽に導く。

「出る、出る、出……あぁ……!?」

正に今、という所で責めが止まり、切なそうな、消沈した目をしてしまう。だが、それは、少女が差し出す肉の花を前にして、さらなる欲望の色に彩られる事になる。

あやうく、涎さえ出てしまいそうになるのを飲み込みながら、彼女の割れ目に充てがう男。

「此処まで人の性欲を煽っといて、今更それは生殺しすぎないかい……?まぁ、努力はするとだけ言っとく。
それじゃあ……行くよ?」

最初に、処女膜を貫かぬ様、膣口の所まで肉棒を埋める。
そして、少女の表情を確認しつつ、

「膜の痛みに関しては、一気にぶち抜いた方がかえって痛くないから勢い付けるけど、その後は止めるから。痛いと思ったら、言ってくれれば暫く休憩するからね。それじゃあ……せーのっ!」

ぶちゅり、と予告どおり一気に彼女の純潔を奪う。
その先にある、狭すぎる穴に先端だけねじ込むが、その後はぴたりと止める。

ヒナ > 「生殺しはギャンブラーの基本中の基本ですよ?まだ勝てる、まだ取り返せると思うから私みたいなのが食いっぱぐれ無いんですよ。」

悪戯に微笑む彼女は自身の頭部に起こっている魔力の発現に気付く程度には正気に戻っていたが折角なのでそのまま残しておく事にした。彼が、クレスが【可愛い】と言ってくれた事を覚えていたから。

「うっ、くぅぅ。ここまでぐちゃぐちゃに濡れててもやっぱり少し痛いですね。まぁ、腕吹っ飛ばされたりお腹に大穴開けられる痛みよりは全然マシですが。」

ぶつん。そんな感触と共に痛みが走り乙女の証である血の雫がつーっと流れ落ちていく。
痛みに苦笑しながら何やら物騒なことを口走る彼女は十数秒を置いて続けた。

「はい、もう大丈夫ですよ。お預けした分、いっぱい気持ち良くなってくださいね。」

ほんの僅かな時間で彼女を苛んでいた喪失の痛みを克服し自身の腹、おおよそクレスの肉棒が挿入っている辺りをさすさすといとおしそうに撫でた。

クレス・ローベルク > 処女を貫くのは幾度も経験があれど、やはりこうして親しくなった女性の純潔を奪うのは、ただ犯すのとは違う感覚を与える。
征服した、という感慨よりも、特別になった、というのに近い物を感じるし、それとは別に責任感の様な物も感じる。
しかし、少女の感想は全く違うようで、

「そりゃそれに比べれば大体の痛みは"マシ"だろうけどね……」

と苦笑する。
射精欲と先端から流れてくる快楽はあるが、寧ろそれを我慢するために気をそらしている。
何せ、痛みの強さは千差万別。対して痛みを覚えない者も居れば、一旦抜いてと訴える者も居るのだ。
だが、少女にはその心配は無用だった。

「さ、流石魔法少女……で良いのかなこれ?じゃ、じゃあ動くけど……無理はしないでよ?
……或いは、無理をさせてしまうかもしれないけど」

そう言うと、まずは様子を見るようにゆっくりと動き始める。
膣の締め付けや襞の感触、それに動かしているときの少女の動きを、まずはゆっくりと観察する。
とはいえ、精神が強い娘だ。もしかしたら、寧ろもどかしくさえあるかもしれないが。

「(まあ、取り越し苦労は大人の甲斐性だ、うん)」

ヒナ > 「うぁ、ずりずりってゆっくり動いてると。貴方の形がよくわかります。逞しくって、優しくて。剣闘士なんてもっと無作法な乱暴者が当たり前かと思いましたが。貴方は特別なんですかね。」

交わる相手を常に気遣う様な抽挿に僅かずつ、だが確かに快楽を見出だしていく少女。少し礼儀知らずと知りつつ自分の率直な感想を伝えクレスの頭をぽんぽんと撫でる。まるで慈愛を振り撒く聖母のような柔和な表情で。

「すいません、気遣って貰ってる上に【魔法少女】なんてとびきり因果なことしてる私に言われたら面白くないですよね。忘れてください。貴方の【優しさ】ちゃんと伝わってますよ。でも、貴方の【激しさ】も、教えてください。」

再び身体を起こすが先程押し倒した時のような独善的な行動とはまるで違う。ゆったりと自身の身体をクレスに重ね力を抜いて、すべてをクレスに委ねた。

「淡白な反応だったかも知れないですけど。私ちゃんと始めてなんで、しっかりリード、お願いしますね?」

クレス・ローベルク > 「ぐ、ぅ……流石にきっついね……。でも、気持ちよさそうで良かった。確かに変わり者とは言われるけどね……でも、どっちかっていうと、君に優しくしているのは、君が自分から、此処に来てくれたから、かな」

頭を撫でられると、恥ずかしそうに、しかし嬉しそうにはにかむ。
そして、今度は自分も、ヒナの頭を撫でてやり、

「いや、良いよ。君みたいな、"正しい子"は嫌いじゃない。
だからこそ……全部を奪いたくもなるんだけど」

こちらに全てを預けるヒナの背中をそっと抱いてやる。
そして、ちゅ、と唇に優しくキスをすると、

「大丈夫。ちゃんと気持ちよくしてあげるよ。だから――俺の全部、受け止めてね」

そう言うと、最初に、彼女の身体から肉棒をギリギリまで引き抜く。
そして、それを滑らせる様に彼女の奥まで一気に貫く。
遠慮や心配を、一気に振り抜くような一撃。
そして、その結果として、

「……ぁ!」

頭の芯まで痺れる様な快楽が、一気に来る。
しかし、その痺れが逆に、彼の堪えを決壊させる。
遠慮のない、力強いピストンが、激しく戸を叩くように彼女の奥まで何度も貫く。
背中に回した手も強く少女を抱くようにして。
全身を通して、少女を感じようとする。

「ヒナ、好き、好きぃ……!」

ヒナ > 「変わり者、ですか。それじゃあお似合いな変わり者同士ですね。まぁ、全部差し出せるほど私の懐は広くないので奪えるだけ奪って下さい。その分貴方の事を受け入れられますから。」

キスを返し頭を撫でられる。クレスの手が犬耳に当たれば少しくすぐったそうに身じろぎしながら。

「ふあぁっ!いきなりぃ。奥までっ。」

クレスの肉棒が一気に膣を抉り最奥を叩けば電流を浴びせられたかの様にビクンと跳ね、再現なく与えられ続ける快楽に沈みながらも、クレスの想いを受け止めるために意識を繋ぎ止めたまま昂っていく。

「んうぅ。だ、大丈夫っですよ...。私もぉ、あっあっ♥ちゃん、とぉ。クレスのこと、好きですっ。っあぁぁ。」

抱かれながら、抱き締められながら。
クレスの決壊した感情を全て受け止めるべく体に回された手を握り、もう片方の手で子供をあやす母親のように頭を撫で続ける。
彼女が【終わらせた命】の分だけ、【奪った人生】の分だけ、人に優しくあろうと、人を癒していこうと、密かな決意を胸に抱き。
一心不乱に腰を振るクレスの【好き】を全て受け入れようと。
例えこの関係が今夜限りの刹那的な物になろうと、今この時に注がれる愛は、囁かれる愛は本物なのだから。

「私は此処に居ますよ。ちゃんと伝わってますよ。ちゃんと気持ちいいですよ。あっ///どうしよっ♥なにかっ凄いのが、のぼってきてぇ。ごめんなさい、あまりぃ。長く...っぁあぁああ。もちそうにないでっ。すぅ♥」

全身を痙攣させ、雌の本能に従いクレスの種をその身で受けようと吸い付く膣内が、全てを飲み干そうと降りてきた子宮が、クレスを更に責め立てていく。

クレス・ローベルク > 「う、ぐっ……!ヒナ、頭撫でるの、好き……!」

元々、親子関係に問題があるのもあって、男は母性的な所作や責めに弱い部分があった。勿論、ヒナはそれを知らないのだろうが、それでもその、性感ではない部分をくすぐる愛撫は、男の飾らない本心を引き出す。

「っぁ、凄い、初めてなのに、俺のを全部吸ってくる……っ、大丈夫、俺ももう我慢出来ないから……受け止めてっ……!」

最後に、降りてきた子宮口に直接注ぐように。或いは、ヒナのに少しでも密着しようとするかのように。力強い一振りを、ヒナの奥まで押し付けて、そのまま射精する。

「……ッッッッッッ!」

子宮に射精したものを、端から吸い出されていく感覚。
寒気にも似たそれを、ヒナを抱き寄せてその体温を感じることでこらえる。
それが、暫く続いた後、男は微笑んで、

「一緒にイケて、良かった……気持ちよかったよ、ヒナ」

ヒナ > 「はいっ!来てぇ。全部全部っ♥私にっ!ヒナに下さいぃぃぃ。あぁっイクッ、イッちゃうぅ。」

クレスの限界が近いことを知り抑えようと堪えていた絶頂を解き放とうと快楽を貪っていく。

「あっ、あぁぁぁああぁぁぁ♥」

最奥に突き刺すように押し込まれた肉棒からまるで爆発するかの様に吐き出された精の奔流を絶頂と共に受け入れる。身体は折れるんじゃないかと言うほどに反り返り、ピンと伸びた脚がぴくぴくと震えるその様子は暫く続いた。

「ふふっ。私も、初めての相手がクレスで良かったです。気持ちよかったですよ。」

クレスが好きだと漏らしたのを聞き逃さなかったヒナは親が子供を褒めるように、よしよしと頭を撫で言った。

「もうすぐ夜が明けますね。着替えるから、ちょっとだけあっち向いててください。」

今しがたまで行為に及んでいたと言うのに、今更少し恥ずかしくなったのか、ヒナは頬を赤く染めてそんなことを言った。

クレス・ローベルク > 「ふー……ふぅぅ……」

暫くの間余韻に浸っていたが、やがてずるりと肉棒を引きずり出す。
まだ硬さは残っていたが、あんまりのんびりしていると、いい加減、人が来てしまう。
何時か、またこうして交わる機会はあるだろうか、と寂寥の様な物を感じていたが、そこに先ほどと同じ、"性感ではない愛撫"が来た。

「……確かに好きって言ったけどさあ……」

こうして平静な時に撫でられると、やっぱり気恥ずかしい。
お蔭で寂しさは何となく満たされたので、嫌とも言えないのが、また複雑でもあり。
とはいえ、あっちを向いてくれと言われると、

「え、ああ、うん?別に構わないけど……」

出したばっかで下着とか着替えるつもりだろうか、等と首を傾げつつ言うことは聞く。
そういえば明かりのついてない闘技場って初めて来るなーと、ヒナを視界に入れない範囲で物珍しげに周りを見つつ。

ヒナ > 「また、そのうち会うこともありますよ。まぁ、そこが戦地でないことは祈っておきます。んー。パンツは履けませんねこれじゃ。」

衣擦れの音、律儀に畳んで置いてあるギャンブラーヒナの正装である改造メイド服を身に付けながら堂々と言い放ったノーパン宣言、彼女はきっと今日この格好でギャンブルに励むのだろう。クレスの精で太股を濡らしながら。

「もう良いですよ。それと、ちょっと意地悪な事、聞いても良いですか?」

振り向けば幼齢にして絶対無敵の天才ギャンブラーが、少し考えた後に話し始めるだろう。

クレス・ローベルク > 「それもそうか。俺も一度ちゃんと抱いた女の子を改めて乱暴にするのは……いや、それはそれで……って、まさかのノーパン!?いや、確かにヒナに限ってそうそう犯されたりはしないだろうけど!」

危うく振り向いてツッコミそうになったのを必死に自制。
暫くしていいよと言われれば、はいはいと振り向く。
何やら思案顔でこちらを見ている彼女を見て、こちらも「何かあったんだろうか」と首を傾げつつ、

「勿論良いとも。ただし、あんまり虐めすぎると、大の大人が大声でダダをこねながら泣く姿を見る事になるかもしれないので、それを覚悟の上というのならね……!」

質問の内容はわからないが、多分彼女が"意地悪な事"というのなら、余程言いにくいことだろうから、取り敢えず茶化して話しやすくしておく。
何ともズレた気遣いの大人であった。

ヒナ > 「履いてない方がかえって相手が釣れるかなーと。ヒナに勝てたら一発ヤらせてあげますよーって。稼ぐときに稼いでおかないと魔法少女の間に貧困属性なんて付けたく無いですから。」

笑う彼女だが同時に強かさも感じるだろう。処女で無くなったし身体さえも賭けのテーブルに乗せ色々な意味で肥え太ったバカ貴族やギャンブルジャンキーからかっさらう魂胆なのだろう。

「あー。彼女さんと比べて私の抱き心地はどうだったのかなーって、私最近クレスが街の外で剣術指南みたいなことやってるの見掛けたんで気になって調べたことがあるんですよ。剣闘士の稼ぎは独り身には十分だけど誰かを幸せにするには足りない。だからきっと本気で愛し合ってる人がいてその人の為に稼いでるんだろうなって。」

先程抱いていた相手に他の女の話をされる。確かに意地悪な、ある意味醜悪な質問でもあるだろう。だが彼女は聞いた。それはある意味彼女の次の行動にも関わることだからだ。

クレス・ローベルク > 「自分の豪運ありきとはいえ凄いことするね……!?」

流石、と言うべきか。
心臓に毛が生えた、と言うなら、多分彼女の心臓は毛というより針が生えている。
そして、少女が"意地悪な質問"をすると、男は暫く黙った後、

「……いやまあ、マジで抱き心地を聞いてるんであれば、膣の締め付けとか襞の絡み具合とか、後身体を触ったときの感触とか、そういうマジで生々しい話を真面目な顔でする事になるんだけど、多分そういう話ではないよね」

あー、知られちゃってたかー、と頭を掻きつつ。
君と、彼女、双方にとって後ろめたい話題だからあんまり触れたくなかったんだけどーと、頭を抑えて暫く考えた後、

「……まあ、何だろうね。好き、とか、気持ちいいって言ったりしたのは、間違いなく本当なんだよね。流石にあそこでリップサービス出来るほど、俺も器用じゃないしさ」

ただ、

「逆に言えば、その時、俺の恋人……その子の事は、頭から零れ落ちちゃってるんだよね。勿論、その娘の事は幸せにしたいのは本当。でも、ヒナの事が好きになってる……ってこれ浮気男の論法じゃねえか!まさしくそうなんだけど!」

うっわー、我ながらマジで格好悪いーとがっくり頭を垂れて。
しかし、それでも、と彼は言う。

「俺は彼女が好きだし、エッチするのが好きだ。
俺は、君が好きだし、エッチするのが好きだ。
そのどっちにも、嘘はつけない。これから先の君との関係をどうするとか、そういう具体的な話は今するのは難しいけど、気持ちの話をするなら、そういう事に、なる」

これは嫌われるかなー、嫌われたら嫌だなあ、と思ったが。
しかし、これが男が今出せる、精一杯の返事だった。

ヒナ > 「ぷっ、あははは。」

気まずそうな態度のクレスを見て吹き出したヒナは頭を下げ謝罪しながら言った。

「誠実なんですね。クレスに思われてるその人にちょっと妬いちゃいますね。まぁ、私はこれからは兎も角今も昔も色恋とは無縁に生きてきたんで純粋な事が言えるクレスがちょっと羨ましいですね。あ、期待させてたら申し訳無いですが私がクレスに言う【好き】は恋愛感情とはちょっと違うんで寝とったりはしないですよ。安心して下さい。」

真面目な相手には真面目に返す。変に誤魔化したりうやむやにしないクレスの返しはとても好感的に見えた。

「べつに後ろめたい事なんて無いですから落ち込まなくて良いんですよ?熾天銃声ラファリエッタを下した男なんですから胸張っててください。英雄色を好む、なんて古い言葉もあるんですから。まぁ。取り合えずそうなると私のするべき事は1つですね。覚えてますか?私が抱かれる前に【ひとつ目】のファイトマネーって言ったこと。」

そう言って彼女は少し真面目な表情になった。賭けの席での不敵で飄々とした博徒の表情に。

クレス・ローベルク > 「笑われたっ!?何故に!?」

平手打ちか、さもなくば溜息かと思っていた。
だから、笑われたのはショックと言うより衝撃であった。

「え、あ、その"好き"じゃないのか!?それは残念なような、安心したような……。まあ、俺も正直、どの"好き"かっていうのはかなり不確定な所はあるんだけど……」

そもそも、"人を本気で好きになること"自体、男にとってはつい最近の事で。
だから、"何が好き"なのかは解っていても、"どのような好き"なのかは明瞭ではないところがある。
……ちなみに、じゃあどの好きなのか、と彼女に問い返したい気持ちがないではないが。それを質問すると自分にも同じ質問が返って来そうなので、やめておくことにした。

「あれを下したとは、正直認めがたい部分もあるんだけど……。
って、そういえば言ってたね。正直、一つ目で大分満足感あるんだけど……」

今の今まで全く忘れていたが。
一つ目があるということは、二つ目があるという事。
一体なんだろうと思いつつ、次を促す。

ヒナ > 「まぁ、あれの勝ち負けはお任せしますよ。私はあの場に立たざるを得なかった時点で天和食らったようなもんですから。これを貴方にプレゼントします。ギャンブラーヒナとしてクレスに贈るファイトマネー、のようなものです。」

手渡したのは公式書面を現す装飾の施されている羊皮紙。
その中にはお堅い文章で二つの事柄が記載されているだろう。

1つは、ギャンブラーヒナがアケローン闘技場の出資者として名乗りを上げるという内容、

もう1つは、剣闘士クレス・ローベルクを蔑ろにした時は即刻出資者から降りる。という内容。

「流石ギャンブルの席で八百長して接待するなんて事は出来ないですが。このくらいの事なら。これで貴方が剣闘士として食いっぱぐれる事は無いでしょうし。仕事も幾らか増えると思いますよ?貴方の雇い主にでも渡してください。」

熾天銃声ラファリエッタとして操を捧げた。
ギャンブラーヒナとして闘技場の出資を買って出た。
クレスが気付くかは別として、彼女は何者でも無い【ヒナ】個人としての3つ目を用意しているのだがクレスの反応を楽しんでいる節のある彼女は少し間を開けて様子を見ていた。

クレス・ローベルク > 「まあ、無理に固辞するつもりはないけど。
ってこれは書類?ま、まさか!入籍の書……冗談、冗談だよ。
それにしても、マジで公式で通用する書式じゃんこれ。えーと、どれどれ?」

男も一応元貴族。
堅い文章であれど、読み進めるには然程時間がかからず、

「……こりゃまた、とんでもないファイトマネーがあったもんだね。
しかし、ふぅむ……」

金は必要。それは確かだ。
自分だけでなく、"彼女"のためにも。
闘技場側からしても、自分一人を飼っておく事で、多額の出資を受けられるのなら、決して損はない。元々、腕の立つ剣闘士は少ないのだ。
ならば、スポンサーである彼女が、この出資で得が出来るかは、

「俺の頑張り次第でもある、か――」

勿論、彼女は別に、利益を出すためにこの書類を書いたわけでも無かろうし、自分の力一つなど大した物ではないが。
しかし、それぐらいの意気込みを以て受け取る事が、礼儀だろう。

「うん、有難う。何というか、貰いっぱなしで逆に申し訳なくなってくるけど……」

そう言って、大切そうに書類を懐にしまい込むクレス。
どうやら、全く、全然、ヒナの三番目の贈り物には気付いていないようで。

ヒナ > 「まぁ、私は闘技場賭けに勝って気の大きくなったド素人をカモにして楽にお仕事出来ますから十分元は取れますよ。クレスの出る試合にはこっそり賭けてるかも知れないので頑張って買ってくださいね?」

クレスの心配をよそに彼女はウインクして見せる。彼女が幾ら巻き上げてもこれと言った使い道が無い金はこれで世に回るだろう。ともすれば小国の一つや二つは一息で潰せるようなとんでもない額の金が。

「妙な所は鋭いのに肝心な所はにぶちんですねぇ。はい、これが3つ目、ヒナ個人として贈る...。んー、プレゼント。ですかね。」

ファイトマネーと言う言葉は使わなかった。否、使いたくなかった。
これは彼女にとっては意味のある贈り物だから。
そう言って手渡したのはギャンブラーヒナが使う薄い蒼のサイコロ、のレプリカ。

「私と個人的な縁を結んだ人に渡している物です。まぁ、と言っても私がラファリエッタと知っている人はクレス以外だと旧友が一人居るだけなんですけどね。その賽には魔術でギャンブラーヒナの豪運の欠片とラファリエッタの羊の回復力が織り込んであります。ちょっとした御守りにでもしてください。あと、なるべくで良いんですがそれを持ってる相手とは敵対してほしくないですね。ギャンブラーヒナ、あるいは熾天銃声ラファリエッタと縁がある人なので。」

そう言った彼女はおもむろに魔法銃を抜き自らを撃ち抜き変身する。

「結ばれたこの縁を祝い、汝クレス・ローベルクの生涯が幸多き物にならんことを。」

通常形態の彼女は双銃を抜き自分とクレスに向け空砲を一発ずつ撃ち変身を解いた。

「はい、これで私が今出来る全てです。ま、クレスが真に悪に染まったと聞いたら。容赦なくその命いただきますので。恥じることの無い陽の当たる人生を歩んで下さいね?」

と、冗談っぽく笑うのだった。

クレス・ローベルク > 「あ、成程そういう利益構造なのね……。うわあ、それは負けられないなあ。ともあれ、そういう事なら安心してもらっておくよ」

ちなみに、この書類を軽い気持ちで上司に渡った次の日に、青い顔をした闘技場のオーナーから『き、君ィ!この書類何処で貰ってきたのだね!?』と詰め寄られる事になるのだが、それはまた別のお話。

「にぶちんて。でも、そうか。ギャンブラーヒナも、結局は社会的な立場でしかないもんね。でも、……これは、サイコロ?」

今までの"ファイトマネー"と一転して、大分素朴な贈り物。
確か、ギャンブラーとしてのヒナが使っていたものだったのは知っているが。
しかし、その説明を聞くと、得心したように。

「了解した。信用の証って奴か。うん、素直に嬉しいよ……。まあ、敵対しない、とまでは言わないけど、出来るだけこれを持っている人が有利になるよう、立ち回ると約束する」

そう言って、それを懐に仕舞う。
そして、彼女が空砲を撃ち、こちらに冗談っぽく笑うと、こちらはやや引きつった笑みを浮かべる。
――まあ、何せ、褒められた事ばかりしている訳でもないので。

「う、うん!大丈夫、俺、犯罪行為はしてないから!……後で殺されるの怖いから、今白状すると、奴隷狩りとか、合法的外道はしてるけど、それは有り?」

台無しであった。

ヒナ > 「奴隷、個人的にはあまり奴隷制度好きじゃないんですよねー。国事態が推奨してるので私がどうこうする事も出来ないですし。私もテロ紛いの事をやってたミレー族を捕縛して奴隷商に叩き売った事もありますし。まぁ、狩った奴隷にあまり酷い仕打ちをしなければ特に何も言いませんよ。からかったりはするかも知れませんがね。」

と笑った後に。

「ラファリエッタとしての私に会うことはそうそう無いと思いますが、ギャンブラーヒナはこのダイラスの街では常に居場所が割れてる様なものなので気軽に遊びに来てくださいね?彼女さんとヤり過ぎて嫌われるってレベルで溜まってるときは抱いても良いですよ?ゆるい友人としてこれからは宜しくお願いしますね。」

そう言って手を差し出し、順序が可笑しくはあるが最後の最後で握手を求めた。

クレス・ローベルク > 「ああ、解った。良い落とし所だと思うよ。どの道、あんまり酷い事すると嫌な気持ちになるし、ほどほどにやってきたしね。……肝が冷えたなあ、もう」

後でバレるよりはマシと考えていたが、お蔭で肝が冷えた。
今からバトルするには体力を消耗しすぎていたし。

「了解した。俺は、仕事の日であれば闘技場の受付の人に、試合後に会いたいって言えば会えるから。遊びの誘いでも頼み事でも、勿論エロいことでも。何でも言ってくれ。こう見えて友人は、大事にする方だからさ」

そう言って、手を握り返す。

ヒナ > 「さて、そろそろ退散しましょうか?最後にちょっとだけ刺激的な方法で。」

自分の額に銃を当て続けて二射。
瞬く間に兎耳の魔法少女に変わった彼女はクレスを抱えると白み始めた空に向かって地を蹴った。二人の体は撃ち出された弾丸の様な速度で闘技場から飛び去っていく。

「またいずれ何処かで。」

適当な街中でクレスを降ろした彼女はそう言葉を残してまだ人気の無い街へと消えていった。

今日もまた何処かで彼女は博徒として稼ぎ、魔法少女として巨悪に立ち向かうのだろう。そんな予感を残して。

クレス・ローベルク > 「ああ、そうだね。そろそろ俺も寝ないとだし……え?」

流石に急の変身には反応できなかった。
正真正銘、"瞬く間"に抱え上げられた男は、訳も分からずラファリエッタに抱えられ、飛んでいく。

「ちょっと待ってお姫様抱っこは立場が逆ぅぅっぅぅ!?」

等という悲鳴とともに、彼と少女は空を飛んでいく。

ぽかーんとしている内に再開を予感させる置き台詞と共に街に降ろされた男は、最後に一言。

「魔法少女の友達って……大変なんだな……」

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からヒナさんが去りました。