2018/11/13 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にヒナさんが現れました。
ヒナ > 待ち合わせ中です。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ヒナ > 「さて、その常態で突っ込んできたとして、貴方が無事で居られる可能性は随分低いと思うのです。」

一度13人にまで増えた分身は徐々に消え最後に二人だけが残った。数の減った分、内包される魔力量は随分と濃くはなっているが。


「さて、どう足掻いてくれるのでしょうか?」
「さて、どう足掻いてくれるのでしょうか?」

同じ顔同じ声同じ動作で同じ台詞を口にする二人のラファリエッタ。
敢えて何処にも動かずに爆発を利用して急接近するクレスを迎撃する構えを見せた。半身になりファイティングポーズを取る二人の兎はその強靭な脚力によりカウンター宜しく蹴り落とす気らしい。

クレス・ローベルク > 「(あ、やべ)」

数は減ったが、一人が二人に増えた時点で、相手の戦力が倍化した様な物だ。というか、そもそも、分身などしていなくても、この状態で後頭部から蹴り落とされたら、その時点で死ぬ。
そして、小細工しようにも、そもそも高速で吹っ飛んでるのだ。出来ることなど精々……

「頭を庇うしか無いよねえ!?」

そもそも、壁に突っ込む構えだったのだ。
ならば、やるべきことは、ただ一つ。安全第一で、頭の上で腕をクロスして、脚を受け止めるしか無い――

「(ってのを、さも計算通りって面で、なんとかするのが、このクレス・ローベルクの戦い方なんだけどね……!)」

頭を庇う、のはあっている。
しかし、その真の目的は、振り下ろされた靴底の刃が腕に届く前に、その脚を――正確には足首を掴むことだ。
そうすると、幾ら彼女が軽いとは言え、人間二人分の体重で、己の速度にブレーキがかかる事になる。
それで止まらないとしても、逆にこれだけの勢いで引きずられれば、彼女だってただでは済むまい。

「(分身の方には何か仕掛けを打ってるのかも知れないけど……これにかけるしかない……!)」

確か、爆発とかするのだったか。ならば、分身と殆ど距離が離れていない今は爆発させることはできまいと、そう信じて、彼は世にも奇妙な形の、真剣白刃取りの構えを取った。

ヒナ > おっと、彼は私のことを詳しくは知らないんでしたか。この形態では既にブーツの刃は消えているのですが、となると逆にこのままでは足を掴まれかねません。それはそれで厄介です。

「そう心配せずとも私は約束は違えませんよ。決して貴方は死にません、怪我までは流石に保証できませんが。」

そう言った彼女のは正面の左右から挟み込む形で蹴りを放つ。一見同じフォームで放たれた二つの蹴りの性質は正反対の物だ。相手の勢いを殺し受け止める力と真逆の方向へ弾き返す力。その二つが絶妙のタイミングで同時に炸裂しクレスは一切の衝撃を受けること無く今時分が飛んできた方向へと数歩分弾き返され地面を転がるだろう。

クレス・ローベルク > 「……!別の、蹴り……!?」

気付いたときにはもう遅い。
顔面を蹴り飛ばされ、男は数歩分、吹っ飛ばされる。
否、それは数歩分だけではない。蹴られて頭から吹っ飛ばされた男は、そのまま、後転して、檻の付近にまで距離を取る。
しかし、そのダメージは決して浅くない。
現に、顔面に蹴りを食らったせいで、歯が何本かへし折れて地面に散らばってしまっている。

「は、が、クソ、イケメン面とまで自惚れるつもりはないが、結構整ってたんだぞ……っとお」

立ち上がろうとした瞬間、ふらついて、また座り込んでしまう。
現実には、頭の方だって蹴られているのだ。ある意味では当然と言えるが。

「くそ、好い加減、脚に来てたか……!」

そのまましゃがみこんでしまう。
隙だらけにも見えるが。さて。

ヒナ > 「おっと?これは不味いですね。」

十分な手加減はした筈だった。だが普段相手にしている人外の化物と生身の人間とのギャップ分の手傷を負わせてしまった。命に係わるような怪我ではないことは承知しているし平時ならば気にしないのだが状況が状況だ、多くの観客がいる衆人監視のなかで非道な行動と見られればすぐさまラファリエッタの名は地に落ちる。そう認識した彼女の行動は早かった。

「あまり気乗りはしませんが仕方無いですね。」

分身体消した彼女はその俊足でクレスに肉薄する。無限に生成される手榴弾を辺り一面に放り投げながら。

ステージ上が爆煙に包まれ暫くの間は観客や実況の誰もが中の様子を伺い知る事は出来ないだろう。
その間にラファリエッタの手がクレスの肩に置かれる。

「浄化【ルナレクイエム】面倒ですが治療しておきますよ。別に貴方に恨みがあるわけではないので必要異常に傷付ける趣味はありません。」

怪我を肉体の異常と認識させ浄化魔法による正常化で治癒を施す。そしてまだ消えぬ爆煙の中で彼女はこう告げる。

「実力差を分かって貰えたなら降参していただけると助かるのです。まだやると言うなら付き合うです。どうしますか?」

明らかに相手を低く見積り迂闊にも相手のテリトリー内に無防備な常態で居続けるラファリエッタ。彼女は気付いていない。衆人の目が届かない今ならどんな行動を取っても咎められないというのは相手も同じだと言うことを。今対峙しているのは手練手管を用いて貪欲に勝ちを狙う歴戦の勇士だと言うことを。

クレス・ローベルク > 「……!」
一瞬、突っ込んできた彼女に、ぴくりと反射的に腕が反応しようと痙攣する。が、男はそれを意志の力で抑え込む。
様子がおかしい。今、爆弾を爆発させるコンバットアドバンテージは、彼女の方には存在しない。
そして、彼女が男の手を触れると、傷が治った。

「成程。確かにそりゃ正義の味方らしい信念だ。いや、有難う。確かにこの顔面だと仕事に差し支えるからね。これは素直に感謝だ。所でラファリエッタ。これは全く関係のない話なんだけど、ホーチャンって言葉を知ってるかな」

と、降伏を勧める彼女を無視するように、そんな話を。
しかも、彼は全く気付いていないが、天才ギャンブラーに対して、ギャンブルの話を振るという、ある意味では全く意味不明の行動を。

「麻雀っていう、ギャンブルの用語なんだけどね。こちらが捨てた牌を、ロン、つまり、利用される事を指すんだ。いや、麻雀って面白いルールだよね。プレイヤーが捨てた手札が、そのまま相手の手札になるって」

と言って、彼は後ろ手で、自分の体で隠れていた何かを掴み、それをラファリエッタに構えた。
それは、彼女が捨てた、ショットガン。

「ちなみに、ホーチャンって言うのは、漢字では銃を放すって書くんだ。
君が放したその銃こそ、俺にとっての当たり牌だったって訳で――
それじゃあ――栄和[ロン]」

そう言うと、彼女に向けて、引き金を引いた。

ヒナ > 「おやおや?それはどうもご丁寧に。では私も1つ小話を。」

落ち着いた抑揚で言葉を返す、その声音には焦りも痛苦も一切含まれていなかった。

「私が何故魔法少女と呼ばれているかご存知ですか?変身するから?33点ですね。魔法を使えるから?合わせても66点です。ところで、それ撃ってみてどうでしたか?」

この辺りで気付くだろう、銃声は聞こえたか?その手に射撃時の反動は返ってきたか?

「残念ながら私の銃は弾丸が存在しないんですよ。撃ち出されるのは全て私の魔力を弾丸状に圧縮したもの。つまり私の【魔法】です。3つ合わせて100点満点。おめでとうございます。」

ぱちぱちと手を打ち鳴らしギャンブラーである彼女の悪戯な笑顔が垣間見えるだろう。そしてクレスの首筋にチクリとした痛みが響く。

「これの方がまだ有用だったんじゃないです?」

ラファリエッタの手には空になった注射器。それが何を意味するかは言うまでも無いだろう。

「盗っちゃいました、これで一本ずつ、イーブンですね?」

そして爆煙が晴れるだろう。

クレス・ローベルク > 「えっ」

かちかちと音が出るだけの玩具になってしまった銃を見て、あっちゃあと頭を抱える。

「あ、うん、そうね。って痛え!あの野郎、俺の注射器を……!何か凄く外してしまった感じと相まって、精神と肉体でWでいてえよ!いや、俺の注射器そこまで痛みはないんだけど!」

はぁ、と溜息をついて、立ち上がる。
手には、全く意味のなくなったショットガン。

「いや、本当格好悪いな俺……。でもしょうがないか。こんな重いの持っててもしょうがないし。これは観客のプレゼントにしちゃおっと」

そう言うと、その銃を、思いっきり斜め上前方へ――つまり、闘技場の客席の方へとぶん投げた。それと同時に、クレスはその方向に向かって、全力ダッシュをかける。

あの少女は、恐らくその銃を、自慢の脚力で受け止めるだろう。
だが、空中にある銃を受け止めるということは、つまり落下するということ。
空でも飛べない限り、その落下点は当然、男と銃の直線上の何処かという事。それだけ限定されてしまえば、

「後は着地の隙を狩るだけだ……!」

ヒナ > 「さっき観客に絶対向けるなって言ったの貴方じゃ無いですか。あれ魔力で身体強化してる私だって少し重いんですよ?当たりどころ悪ければ普通に死ねるんですから。」

やれやれと呟き兎状態を解除する、同時に空中に投げられたショットガンは消滅しクレスの目論見は徒労に終わるだろう。

「換装完了、ラファリエッタcodeフォートレスシープ。小細工抜きで叩き潰します。」

三度自身の頭を撃ち抜く少女。クレスが振り替えれば今度は全身を黄色に染め羊角を生やした少女が立っていることだろう。
目立つ武器は持っていないが変わりにその両手には見るからに危険そうな大型の籠手が装着されていた。

おかしいですね、この状態だと体力魔力の回復がある筈なのにそれが感じられません、それどころかいつもならまだまだ底が割れないはずの魔力が枯渇気味です。気付かない内に何かされましたか?このままでは逆転の目も出てしまいますし一気に決めましょうか?

本人に自覚はないが変化は最初に媚薬を打たれた時から始まっていた。体内に血液のように魔力を循環させるタイプの彼女は媚薬の一度目の効果、血流の促進と感覚の鋭敏化とともに無意識に起こっていた魔力の過剰循環による魔力放出によって普段の数倍の速度で魔力を失っていた、それこそフォートレスシープの固有能力である体力魔力の回復が起こらないほど深刻な魔力枯渇、最早彼女は自己の衣装を再生する事も、他の形態に再変身することも出来なくなっているだろう。

無自覚に陥ってしまった窮地は彼女の平常心を脅かし、その焦りは緊張によって微かに震える手足からクレスに悟られてしまうだろう。尤も、この状態から更に追い込まれるようなことが無ければ彼女の優勢はまだ健在であろうが。

クレス・ローベルク > 「君が撃たなきゃ問題ないし、そもそもそれぐらいは見越して投げてるよ!一応人の居ない通路の方にってえー!?」

まさか、出し入れまで自由な品物だったとは。
それはつまり、アレが物理的な弾丸を用いていても、撃った瞬間に消えていたということ。
コイツに弱点はないのかと思い振り返ると

「わあ、明らかに『オレ、オマエ、ブッコロス』的な大篭手。
もう少しお淑やかな武器にしない?
ほら、レイピアとか可愛い感じじゃん?」

しかし最早逃げ場はない。
先程の煙幕が最大のチャンスであったのにそれを完全にフイにしてしまったのだ。
最早、此処から先はただの虐殺――

「……おや?」

先ほどとは違う意味で、様子がおかしい。
というか、様子が矛盾している。
普通、此処で震えるべきはこちらだ。
彼女が例え殺すつもりはないにせよ、負けてしまうのは事実なのだから。
にも関わらず、彼女の身体は震えている。

「……」

落ち着いて、魔力の流れを見る。
皮肉にも、試練の媚薬の効果でこちらの知覚も鋭敏になっていた。
だから、彼女の周囲の魔力が、異常に濃くなっている事、そしてそれに反して、彼女自身の魔力が底をつきかけているのが解る。

「(謂わば、今の彼女は無自覚の暴走状態……。本来扱える適量以上の魔力を身体から放出している。それを本能的に理解しているからこそ、震えている……?)」

そして、今は機動性重視のスタイルではない。
とすれば、やる事は簡単だった。
即ち、

「しょうがない。あんなゴリラ形態になられては勝ち目がない。
此処はラファリエッタに習って遠距離攻撃で攻撃だ!そらっ!」

そう言うと、とてつもなく卑猥な男根の形のディルドを、相手に向かって投げる。挑発の為だ。そして、投げると同時に、自分はあからさまに彼女に背中を見せて逃げ出す。

「(まずは、平常心を完全に奪う……!)」