2018/08/20 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 今日も今日とて、クレス・ローベルクは闘技場の中央で、挑戦者を待っていた。
「さーて、今日は誰が来るか……」
シェンヤンでの修行で、大分力はつけているとは思う。
だが、それを振るう機会が今まで中々無かったのも事実だ。
なので、できれば此処で強敵を見つけたい。そう思いつつ
「さあ、俺は誰の挑戦でも受けるよ。何時でもどうぞ」
と観客兼挑戦者候補に呼びかけてみるのだった。
■クレス・ローベルク > 「……来ないな」
あれから暫く経って、それでもやっぱり新しい挑戦者は来ない。
段々と周囲が静かになっていくのを感じる。場が白け始めている兆候だ。
とはいえ。クレス・ローベルクはエンターテイナーである。
そう何度も、白けた場に行き合ったら、流石に対策を考える。
「仕方ない……本当はあまりやりたくなかったが……」
そう言うと、クレスは指をパチンと鳴らす。
すると、観客席から、何かがクレスに対して放り込まれる。
それは、一本のギターだった。
「さあて、それじゃあ……始めますか!」
そう言うと、ギターを掻き鳴らし、音を奏でる。
テンポが速く激しいシェンヤン風の曲。最初は戸惑った観客も、まあこれはこれでと歓声を挙げる。
「――さあ、飛ばしていこうか!」
最近、自分が何なのか解らなくもなる今日このごろだが、客の歓声には代えられない。
クレス・ローベルクは今日も観客の為に、誠心誠意お仕事中なのだった。
■クレス・ローベルク > 「――っ!」
最後の一小節までかき鳴らし、男はやりきった表情でギターを掲げた。それと同時に周囲から拍手が沸き起こる。
肩で息をする男は、それに対して周囲に手をあげて応える。
「いや、しかし挑戦者来ないな」
どう頑張って一曲五分が限度であるからして、実は曲はそこまで時間が稼げない。客が喜ぶのは良いが、時間つぶしとしては効率悪いなーと思うクレスだった。
■クレス・ローベルク > しかし、それはともかく今のクレスはグラディエーターにしてアーティスト、つまりアーディエーターであるからして、それでやめる訳にはいかない。
「それでは次の曲に移ろう。次は、どちらかというと貴族のパーティなんかで流れる、スローテンポの曲だ。本当はバイオリンとかでやるもんなんだけど、今回はそのギターバージョンだ」
ちょっと眠くなるかもしれないけど、挑戦者が来たら大きな音を出して起こしてあげるから、勘弁してねと笑い、
「それじゃあ行くよ。クレス・ローベルクで『小川を歩く乙女』」
言うと同時、先程とは打って変わって繊細に音を紡ぎ出す。
静かで美しく、しかし切ない音色が、闘技場を満たす。
■クレス・ローベルク > 一見して静かで、闘技場には相応しくない曲。
しかし、本人にとっては切実な事情で、この曲を演奏している。それはつまり、
「(普通に疲れるんだよずっとアップテンポな曲だと……!)」
こんなワンマンライブやっといて今更何をと言われるかもしれないが、クレス・ローベルクは剣闘士である。当然、挑戦者が現れればどんなコンディションであれ勝負を受けなければならない訳で。
つまりこれは休憩である。演奏ではなく、戦うための。
「(とはいえ、次はまた激しい曲をやらないと駄目だろうなー。客層的に静かな曲より激しい曲って人が多いだろうし)」
■クレス・ローベルク > やがて、曲が終わる。実は時間稼ぎのために、ちょくちょく曲を長くしてたりするのだが、それでも終わってしまうときは終わってしまうものだ。
「おっと流石にちょっと盛り下がっちゃったかな?まあ、心配しない心配しない。これはあくまでジャンプのためにしゃがんだだけ。これから一気に飛び上がるからね」
そう言うと、ギターをチューンし、次の曲の準備をする。
「次の曲は戦場でも歌われる軍歌だ。今回は僕も歌うから、皆も一緒に歌ってね。それでは皆さん一緒に。『タナールを超えて』」
勇ましい旋律が、闘技場を占める。
そして、前奏が終われば、クレスの勇ましい歌声が響く。
「あの小さな砦 何時か超えて 我らが剣よ 魔族に届け」
■クレス・ローベルク > クレスに続いて、闘技場の中で曲を知ってるものが歌い出す。
「例え千人 万人 この先に尽きようとも」
更にそれを聞いた者達も、それを真似るように
「我らは退かず この短く遠き距離を行く」
やがてそれはほぼ全員の合唱となる。
『タナールよ あの小さな砦よ 何時か背にする 道標よ』
■クレス・ローベルク > 『微笑み給え 何時かのときまで』
そして、曲が終わる。
「はい、皆有難う。流石にちょっと疲れたな……っと、実況席サンキュー」
投げ入れられた水入りの水筒をキャッチしごくごくと呑む。
半分ぐらいを飲み干すと一息つき、
「それじゃあ、後半戦行ってみようか!挑戦者は相も変わらず募集中だからよろしくねー!」
そう言って、再び演奏を再開した
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。