2017/09/09 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にエルフリーデさんが現れました。
■エルフリーデ > その日、闘技場での催しは一入賑わいを見せる。
景品にされていたのは、金ではなく奴隷の少女だったからだろう。
まだ青さが残る年頃で、手付かずの真っさらな新品。
どう踏みにじるのも、愛でるのも自由という状態のそれを求めて、男達が群れ無し、刃を交える。
そんな中、一人だけ女の身で交じりながらも、連勝を続けていく。
「近づけばどうにかなると思いまして?」
魔法銃の弾丸をところどころに受けながらも迫る男は、こちらに向けてロングソードを振り下ろす。
袈裟斬りに振り抜かれたそれを、半身逸らすようにして後ろに下がって避けると、刃に振り回されて身体の動きが制御できなくなる一瞬を狙う。
細い足が鞭のようにしなる回し蹴りが、男の顎のあたりを捕らえ、ごりっと鈍い音を彼にだけ響かせながら振り抜かれた。
一瞬だけ、スカートの下が覗けたかもしれないが、そのまま地面へ叩き落され、あっという間に意識を暗転させていく。
失神し、痙攣する男の前で疲れたように肩を揺らすと、これでいいか?と言わんばかりに、離れたところにいるレフリーへ視線を送る。
勝負アリの声と共に、ブーイングが聞こえれば呆れた溜息を零しつつ壇上を降りた。
「全く……この国の男は女を見世物か玩具ぐらいにしか思っていないのかしら」
集落に舞い込んだ依頼は、一人娘が誘拐されたのでそれを探して欲しいというもの。
本来は自分が担当すべき仕事ではないが、その娘が悪党に闘技場へ賞品として売りつけられ、金にされてしまったのだ。
金で買い取ろうにも、もう客を集めたと聞かぬ主催者側、こうなれば、そちらのルールで取り返す他ない。
こうして、その場に居た中での腕利きである自分が舞台に上がり、こうして連勝を続けていた。
控室の椅子に腰を下ろし、一緒に来た組合員の少女から渡される水筒を手に取ると、冷たい水で喉を潤す。
「ありがとう、助かりますわ」
柔らかに微笑みながら水筒を返し、しばしの休憩。
次の相手の準備が整えば、次の戦いの始まりである。