2017/06/21 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にゼブさんが現れました。
ゼブ > 少年の形をした淫獣は、大勢のヒトの声で目を覚ました。
気がつけば、広い広い闘技場で仰向けになっていた。

「おもいだした」

淫獣はこくりと頷く。
先日、貧民地区で捕まえた女を犯そうとしたら、女がもっと大勢の良い女を犯せる方法を教えるので、見逃して欲しいと提案してきたのだ。
闘技場の戦士になれば負かした相手を好きにできるそうだ。
淫獣は難しい話は嫌いだったので提案をすぐに忘れ、女の穴という穴を犯した。
犯したあとでその話を思い出したのだ。
だからこうして闘技場に立っている。

さっきまで眠っていたのは、おそらく眠り薬でも飲まされたのだろう。
控室で飲まされた甘い水に入っていたのかもしれない。

「ま、いいか」

あとで覚えていたら復讐をすればいい。騙されるのはきらいだ。
今は犯す女が来るまで、ぼーっと大地に寝ていればいい。
大地の神は、いつだって自分の味方なのだ。

ゼブ > 対戦相手は誰も現れなかった。
人間の形をした淫獣は、またうとうとと眠りへと入っていく。
今回は機会に恵まれなかったが、もし本当に女が来るというならば、ここは狩場のようなものだ。
自分であくせく探し回らなくて良い分、楽だ。
そんなことを考えながら、淫獣は眠りについた。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からゼブさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 熱気に満ちる闘技場。――その決勝戦の事だった。対決する奴隷剣士が揃って出場を辞退。場はブーイングが吹き荒れる。集まった血の気の覆い観客達を宥めるため、司会者である半裸に入れ墨の男が大声を張り上げる。

”ここでルール変更とさせてもらおう。この場にお集まりの紳士淑女へ朗報だ。誰か腕に覚えのある無謀な奴はいないか?居たら降りてこい。そして戦え。最後まで残った奴には敗者を自由にする権利と――賞金100万ゴルド!”

半生ほどは遊んで暮らせる額に、城内が沸き立ち。誰が誰がとお互い顔を見合わせる中。1人の遊牧民が観客席と戦場を仕切る僅かな幅の手すりに音もなく片足で立った。自分の腕をまわりに示すため、かじっていた林檎を左腰に下げていた曲刀で抜き打つ。林檎は中央で縦に割れ。場内へ落ちた。その間、左腕以外は全く微動だにしていない。

相手をしてくれる人が現れたらいいな。始まるかも知れない剣戟にワクワクしながら、場を見回し。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にウィルバーさんが現れました。
ウィルバー > 少女より数分遅れて、手すりを飛び越えた。
今日は見物だけして帰る予定であったが、突如降ってわいた100ゴルドの誘惑には抗えず。
しかも、リングに降り立ったのが知った顔と聴くと居ても立ってもいられなかった。

だが、魔術師として名を通している以上、武器を使った戦いではあまり名を知られたくなかったので、その場しのぎの仮面と
警棒を用意しての参加となった。
風のように舞い降りた彼女と違って、手すりに上るのも、そこから降りるのもモタモタモタモタ…。

周囲からの罵声や嘲笑う声にハートが傷つく思いがするも、気を取り直して警棒を右手に取った。
今日は新しい身体の肉弾戦での強さを試す良い機会。

首尾よく勝てば、大金と敗者を自由に出来るらしい。
僕はスーツの皺を伸ばしながら、彼女以外の挑戦者が現れないか、辺りを見渡していた。

タピオカ > ”いいねえ。ハテグで戦うご苦労な連中以外、ここには女のケツをおっかけるヘタレか香水くさいビッチしか居ねえと俺ぁ思っていたよ。さあ、そういうのとは一味違う勇気ある2人へ拍手を!曲刀をぶらさげた真っ黒おチビと、金色仮面(こんじきかめん)紳士を拍手で迎えてやってくれ!――ありがとう、ありがとう。さあて。参加者は2人たぁ決まってねえよ。まだ居るか?俺達を楽しませてくれる奴はよ?”

半裸の司会者が挑戦者達を見ればニヤリと嬉しそうにいかめしい顔を歪め、観客や来訪者を煽り立てる文句を並べ。荒々しい港湾都市なりの歓迎の意を示した。客席から拍手が地面を揺らすほど2人へ降って湧く。同時に、まだまだ参加者募集中とばかりに場内へと片腕をぐるぐる回した。

「ええと……あの人って……。でも、違うよね……。」

参加者が来てくれた事で、ショウ開始は決まった。音もなく場内の砂へとん、と両足を揃えて飛びながら。少し身体を不慣れそうに動かす金色の仮面さんの様子を見て呟いた。仮面に隠れているため、彼の正体は確信が持てず。見知った人ではないと判断する。

場で向かって、他の挑戦者の姿を一時待とう。
じ、と金色を仮面へと視線を向ける。距離は今のところ25mぐらい。

ウィルバー > …女のケツをおっかけるヘタレと言う言葉はかなり来るな。
何せ本当の事だからな。

今も女のケツをおっかける為にこんな所までやってきたのだから。

そして、いざ自分がその場に立つとわかるのだが。 闘技場特有の荒々しい歓声は試合に出る身となった今はかなりのプレッシャーを感じる。
僕はやはり、こういう場に立つのは向いてないかもしれない。

その点、向こうにいる彼女は度胸もある。 
どうやら、こちらの正体が少し気になったようだ。 
察しも良さそうだ。 

…あの娘を叩きのめして、組み敷くのが楽しみになってきた。
他の挑戦者が仮に現れたら、そいつらもおいしく頂くとしよう。
男は…僕がやる所でも見ていてもらおうか。

僕は彼女の身体に打ち付けるのが待ち遠しく、棒を何もない空間相手に振りまわしていた。
風を切る音がする。 どこでもいい、早く殴りたい。

タピオカ > ”いねえのか?そうかい。それじゃあ黙って豚鼻サンドイッチ食いながらエールでも飲むか、横に居る売女の乳でも吸いながら座ってよく見とけ!それじゃあ始めよう、真っ黒チビと金色仮面。異種格闘技戦だ。賞金100万ゴルドがどっちの手に渡るのか、こいつぁ見ものだぜ……。レディ、セット!ショータイム!”

相変わらずの調子で続ければ、場内に挑戦者無しと思ったらしい。両者の中央に立ってぐるりと一周、港湾都市の観客達を眺め。両手の人差し指を伸ばし、両腕を天へ向けて。その両腕を一気に引き下ろす。同時にけたたましいラッパ隊20人が一斉にそれを吹き鳴らす。ぷぉぉぉぉぉお。低くも不気味な開始の合図が場内に鳴り響いた。

「……。」

ぶんぶん、と警棒を振り回す彼。架空の自分の身体にそれを打ち付けてるよな仕草にも見えた。やすやす、そうさせる気はしない。一度納刀した後、一気に距離を詰めて走り出し。
右手が届く範囲になれば、その握りこぶしで彼の鳩尾を抉るパンチを繰り出す。

ウィルバー > 司会の出す声もだが、ファンファーレまで流れると、心拍数が上がっていく。
降りてきたことを内心後悔し始めた所で、黒いフードが消えたかのような動きを。

違った。 消えたのではなく、とてつもなく素早いスピードでこちらに迫っていたのだ。
てっきり手にした曲刀で速攻を決めに来るものだと思っていた僕は、曲刀の方にばかり意識が集中していた。

「ぐふぅ…!」

次の瞬間、胴体にある急所に繰り出される強烈なパンチ。
僕は痛みで背がまるくなっていた。
やはり、こういうことは場数が物を言う。

だが、こちらは彼女よりも丈夫な身体と怪力がある。
左手を伸ばし、降ってわいたチャンスを利用すべく、彼女の右腕を掴もうとする。
そして、同時に右手の棍棒は頭上に大きく振りかぶってから、彼女の左肩を潰す勢いで振り下ろした。

タピオカ > 司会も荒ければ観客も荒い。やれー、いけー、と無責任に送られる声援と一緒に時々エールも降ってくる。半裸の入れ墨男は司会の役を済ませれば脇へさっと身を寄せ。剣闘士達や野獣達が出入りする門の近くで何やらひそひそと、白い仕立てばかり良い、どこか金に下卑た身なりの主催者と密談を交わしていた。

「……へへっ」

右手で見舞ったパンチが素通しのダメージを彼の体内に送る。拳そのものは軽いが、勢いは乗っていた。手応えに、口端を浮かせて笑む。――しかし、きっとこの軽率な行動が後の結果を生んだ。金色の仮面の紳士には怪力という主戦力が控えている事とは知らなかった。瞬きする間もなく迫ってくる棍棒、意外な素早さと力強さに笑顔を失い。それに加えて――

「っ、んうっ……!?」

背中に鋭い痛みが走った。見れば、会場脇で司会者の男がにやにやとした顔つき。男は吹き矢を背中に向けて射ったらしい。毒が塗られたそれが突き刺さったとたん、身体から力が抜けて。金色仮面の攻撃をかわす余裕もなく、そのまま左の肩口へと苛烈な一撃を食らい。呻いて、膝を折り。身体が崩れ落ちそうになる。

ウィルバー > 観客の居る場所からは、小さな矢が飛んだことなど見えるわけもなかった。
僕の一撃が少女を無力化させたように見えたらしい。

頭の上からは、エールの他に「犯せ! 犯せ!」と言った品のないコールが飛んでくる。
さて、どうするべきか。 

このまま崩れ落ちそうな娘を組み伏して、賞金と公開レイプショーへと縺れ込むのが一番楽ではある。
恐らく、主催者たちはそういった状況を期待しているのだろう。

だが、彼女の間近に居る僕には彼女の背に矢が刺さる所も、その結果彼女が僕の攻撃をまともに食らってしまった所も一部始終見えていた。
彼女を犯すにしても、自分の力でやりたかった。 このような形での勝利は酷く腹立たしい。

僕は仮面の隙間から、かつてないほどに金色の瞳を輝かせた。
闘技場に居る者が観客から司会まで含めて全て夢うつつの表情となる。
会場全体に魔力をかけ、彼ら彼女らが望む光景を見せてやった。

その上で、棒を足元に放り捨てるとその場に崩れ落ちそうになっている少女の身体を両手で受け止めることにした。

「大丈夫かい?」
耳元で問いかける。 この少女には声で正体が割れるかもしれない。
まあ、それはそれで仕方がないことだが。

タピオカ > 主催者側の見立ては、敏い彼には察する事も容易だろう。それはある意味、叶う事になる。金色の仮面の隙間からほとばしる強大な魔力は闘技場全体を包み、司会や主催者が望んだ光景を映し出していた。遊牧民の肩が動かなくなり、それをかばう間もなく金色の仮面が攻撃を加える。身体を弾ませてそれをまともにうけた遊牧民が地面に倒れ伏し。会場が一斉に口笛と拍手を爆発させる。あとは、お膳立てのショータイム。

――以上が、夢うつつの表情となった闘技場全体が見ている幻である。この楽な筋書きを選んで現実とする楽な道を選ばないあたりが、なんだか彼らしい。

「ウィルバー……!?……うん、大丈夫。……少し、痺れただけ……。ウィルバーこそ、痛くない?知らないまま殴っちゃって、ごめん……」

聞き覚えのある優しげな声は、何かと自分の世話を焼いてくれる吸血鬼の紳士の声だ。この騒然とした中でも聞き間違えるはずはない。驚きに双眸を見開き、何度も睫毛を弾ませて彼を見上げ。相手の両手に収まりながら、さっきの先手を謝り。済まなさそうに身を縮こまらせ。

ウィルバー > 「いやあ、見事にばれちゃったね。 と、ちょっと痛むけど我慢してね。」
彼女の背に手を回し、忌々しい矢を抜いて投げ捨てる。 

即席で用意した仮装はあっと言う間に娘に看破されてしまった。

「ごめんね、僕の方こそ思い切り殴ったりしてさ。 タピオカを好きにできるって聴いたら我慢できなくなってさ。
本当は自分の力だけで勝ってモノにしたかったんだけどね。」
済まないのはこちらこそだ。 申し訳なさそうに小さくなっている少女の身体を両手で抱きしめ、二人で床の故に腰掛けた。
僕は思い切り殴ってしまった少女の頭を摩ってあげることしか出来ない。
こんな時、回復魔法を使えない身の上であることが恨めしい。

タピオカ > いつも耳に優しい口調が、この手厳しい港湾都市で聞ける事になるとは思っていなかった。相手の言葉にこくんと頷いて、背中を穿つ矢を抜いてもらう。主催者や司会、観客の夢を金色の仮面が叶える流れは、今や逆に。彼が作った夢の中を、闘技場全体が泳いでいる。なにやら喚いている群衆をよそに、揃って床の上に腰掛け。頭を撫でてもらえたら、すっかり安心しきった表情で目尻を子供のように緩ませ。気持ちよさそうに瞳を閉じ。両手で相手の腕を、自分の身体へと寄せたがり。

「ウィルバー。僕は根なし草だから、あちこちふらふら出かけちゃうけど。戻っておいで、っていわれたらすぐに戻るよ。もとから僕のことは、好きにしてもいいんだよ。僕は危ない事が好きだけど、ウィルバーまで危ない目に合わせる気はないから。――ええと、でも。ありがと、来てくれて。それから、助けてくれて、ありがと」

抱きしめられたら、彼の匂いがする。マグメールを出てほんの数日なのに、自分からすれば奇妙に懐かしくて。すん、と小鼻を揺らして相手の中で憩いながら。うまく力が入らないまま、相手にむかってそう囁きかけては。とりとめもないまま囁きかけては微笑み。

ウィルバー > 会場全体に術をかけるのは、なかなかの力技であるが、力を持った人間達の血を吸い、
吸血鬼としての高みに上りつつある僕にはそう難しくはなかった。
その中には当然、彼女の甘い血も混じっている。
翌日位までは会場全体が夢うつつであるだろう。 そして、賞金もきっちりと支払ったことになっている。
なので、後は賞金を二人で山分けにして持ち帰るとしよう。

「いやあ、タピオカならそう言ってくれると信じてるよ? でもね、僕もたまには腕試しをしてみたくなってさ。
タピオカは実際強いし、良いパンチだったよ。 勉強になったね。」
殴られた部位に視線を向ける。 外傷こそないが、暫く痛みは残るだろう。 力ではなく、技の精度が高いのだろう。
そして、彼女を縛るつもりは毛頭ない。 出会えば愛を語らうし、必要とあれば手助けもするが、お互いやりたいことをするのが一番だ。

「お礼を言われるようなことはしてないよ。 邪魔が入らなかったら、タピオカをあのまま犯すつもりだったし。」
弱った相手に抱くのはどうかと思ってはいるが、腕の中に少女の身体があると、どうにも興奮する。
僕は優しい顔を見せてくれる彼女の顔を黙って見つめたあと、いきなり唇を重ねようとした。

「ごめん、やっぱ無理だわ。」
キスが出来ようとできまいと、未だ毒と打撲で弱っている彼女を床へと寝かせようとするだろう。
弱弱しい彼女の姿は、いつも元気な彼女とはギャップがあってひどく魅力的であった。

タピオカ > 彼の吸血鬼としての力は、薄ら暗い公然八百長を払拭するぐらい強かった。自分の血にはその魔力を力添えができているのなら幸いだ。主催は奴隷の棄権による莫大な違約金が手に入る。司会と会場は金色の紳士による魔術で満足し。誰も損をしない解決方法を彼はやってのけたのだった。そして、いきなり大金が舞いこんでしまいそうだ。まずはそのお金で自分も働きに行っている彼の屋敷で、彼と豪華なお茶会がしたい。

「ご主人様を殴ったメイドなんて、きっと始めてじゃないかな……。ウィルバー。痛かったでしょう?いたいのいたいの、とんでけー」
腕前を褒められたら、少し嬉しそうな、けれどたいそう恥ずかしそうに。頬が赤らむ。せめても謝罪のかわりに、震える手をゆっくりと相手の腹筋に添えて。ゆっくりゆっくりと触れるか触れないほどに優しく撫でては、ぽいっと痛覚を取り除くように闘技場の地面に捨て。――それから。自分を風まかせに自由に泳がせてくれる、そんな彼の理解には感謝を改めるように。頬を相手の胸元に寄せたがった。

「ええ……、そうだったの?それは、そのっ……ふぁ!」
相手の薄い唇が紡ぐ、あのまま犯す、という言葉にはかあっ、と頬の紅色を深くしてしまう。それはなんだか、胸の鼓動が弾むような気分になって。しどろもどろ、震える口元をふさぐ、相手の唇。おおきく目を開いて、その熱におぼれてしまう。

「んっ……ぁ……あむ……ウィルバー……みんなの前なのに……」
夢を見ているとはいっても、皆の前という事実。麻痺した身体が羞恥に熱を帯びるが。そう言いながら、相手の唇から離れるつもりはなくて。息を喘がせて、力なく床に横たわり。まるで麻痺毒ではなく彼の媚毒に浸されたように、潤んだ瞳が彼の金色の月の瞳を望み。