2017/04/08 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にフォークさんが現れました。
フォーク > 闘技場の英雄ザ・バーバリアンが数ヶ月ぶりに帰ってきた!!!

この報せはあっという間に王都に響き渡った。
血と性に飢えた民衆はこぞって闘技場に訪れる。
彼らは皆、一つの疑問を抱いていた。

(はたしてザ・バーバリアンは以前と同じ強さを保っているのか?)

しかし民衆の不安は一蹴される。

試合前のデモンストレーションでザ・バーバリアンは熊と戦い、一撃のもとに沈めたのである!!

「皆の衆、このザ・バーバリアンの実力に陰りは見えたかな?
 安心してくれたまえ。俺様は金剛不壊のザ・バーバリアンよ。
 この数ヶ月の休暇もより強くなるための糧と思っていただこう!!」

そしてザ・バーバリアンことフォーク・ルースは左右の人差し指を天に衝き上げる。
観客は一斉に湧いた。
これがザ・バーバリアンの決めポーズなのだ。

フォーク > 「ではここで俺様が休暇の間に何をしていたか、高い観戦料を払ってくださった観客の皆様にだけお教えしよう」

ザ・バーバリアンが話した内容は、「ありそう」と「ありえない」の区別が非常に難しい冒険譚だった。
武者修行の旅に出た彼が数多の困難に強さと勇気と智慧で打ち勝つというものだ。
彼の饒舌な語り口と表現力が観客の心を強く突き動かす。
話の佳境になると、ザ・バーバリアンは一つの宝石を取り出した。

「これがその怪物の尻尾から出てきた宝石だ。戦利品として持ち帰ったぞ!」

これは先日、フォーク・ルースが獄中より持ち帰ったものである。本物の盗品だ。
だが、すでにそれは数年前に宝石店より盗まれた宝石ではなく、ザ・バーバリアンの伝説を彩る小道具の一つへと変貌した。
よほどの審美眼を持つものでないかぎり、それが本物の宝石とは気が付かないだろう。

フォーク・ルースはザ・バーバリアンを利用して宝石の身元を隠したのだ。ジュエル・ロンダリングだ。

フォーク > ひとしきり冒険譚を語り終えたザ・バーバリアンは、登場した対戦相手を接戦の上で倒した。
勿論、対戦相手とはある程度の話し合いはされている。
闘技場のファイターは皆、精強で屈強だ。本気でやりあえば再起不能、下手すれば死者すら出かねない。
なので多少の思いやりと忖度は必要なのだ。

「今日の対戦相手は俺様のカムバックに相応しい相手だった!
 観客の皆々様!これからも俺様の活躍を観に、闘技場に足を運んでくれ!!」

そして歓声の中、ザ・バーバリアンは闘技場を後にした。

――闘技場選手控室でのこと。

「……やっぱり久方ぶりのバトルは体が痛いなあ」

薬草が塗られた湿布を肩に貼りながら、泣きべそをかくフォーク・ルースの姿がそこにあった。
やはり数ヶ月の獄中生活は体が鈍るのである。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からフォークさんが去りました。