2016/11/08 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にグールドさんが現れました。
■グールド > 白と赤の色水は敗戦者から搾取するようにと。獣の甘く臭い匂いを凝縮した狭くて暗い闘技場後面の空間で、人間の肌から肌へと香りが移るそれを指で絡めとるのが己に課された今日の役職と聞いている。
戦士の逞しい裸体が燭台の小さすぎる灯火に上下するのを目下に、柔らかく汗ばんだ手で上着と靴を交互に脱がされるが額に小粒の汗をかく顔はちょっとやそっとで揺るがない、ただ生々しい精気で満ちた熱い空気に焦りが生じ。手元が狂ってさらに爪を立てて上書きする、高揚か。
「―――は。… うん」
首を傾げて、思い描いた形状はこうだったかと唸り。戦いの勝者敗者どちらかの背に偏って伸し掛かることはない。片足が地面に着いているが、バランスは非常に悪いもの。
■グールド > 疲労を濃厚に肉厚の双岩が息を潜めているが、原色を重ねた肌が実際の距離を無視して眼前に迫ってくるスリルがある。当然に下腹部は熱を持つばかりだが、全身を武器に飛沫をあげた闘士に到底敵わない程度であり。
背中に巨大な棲物の目玉を好きなように描くと両肩の肉が盛り上がって揺れたので。
「生物を使うのは、だから好い。」
褒めちぎったつもりが。口の端で笑う吐息を立てたのを見咎めて後ろ手で脹脛を掴まれ悪戯に揺さぶられて折角描いた背キャンバスの絵具を、自分の前身で台無しにしたのをぬるい水油の感触で知って取り。両手を支えに剥がしにかかり、見下ろしてなんとも言えず足は地面に着くのみ。月桂樹を戴く主との詳細にしない約束を思い、身を走り抜けた嘆きに小指が小さく触れて声が一段と低まり。
「夜明けまでに、間に合わないと――。」
■グールド > 籠りすぎた熱気に圧されて、気配があったのに己の身に降りかかるとは思わなかった。狭苦しく部屋を支配する二つの肉岩が身を翻して、体液が熱く迸られた。これで描けということらしい。
指の先端も乾かぬうちに、昔話の鬼じみた太鼓腹に掴みかかって掌を打ち付けたが、さらに先手を取られてくるくると体表の上で転がされ。回り回る土天井や質素な木材に敷毛布などが肉と一緒に目に映る。筋肉が自身らで描いたほうが出来の良いものが完成するかもしれない。
つるつるの蛇が天井穴から降りてきてやわらかく己の胴体を絞め上げたところで宙に降ろされた。
自身らの様々な体液を暑苦しくなすりつけ合いながら外へ出て行った戦士のキュートな尻肉笑窪を、土壁に重い背を預け呆然と見送って。やがて朝日を皮切りに、己はそれよりさらに外へと自分の持ち場所へ帰宅するのみ。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からグールドさんが去りました。