2016/09/05 のログ
レン・レイト > 最近九頭竜の集落に落ち着いた少年。
まだ人間不信は治らずにいたが少年なりに努力していて。
商隊の護衛任務に動向を願い出てみれば、ダイラスにたどり着いて。
以前に一度参加した事のある闘技場を見れば、最近随分と戦闘からは離れてしまった事を思い、夜に商隊をこっそり抜け出し、秘密裏に参加を募集した少年。

「ほとんど怒られた事ないけど…流石にバレたら怒られるかな」

控え室で自分を救ってくれた姉を思いながら口こぼす。
だが、少年には必要な事だった。
救われ、新たな目標を抱いた少年。
今までの憎悪と恐怖を相手にぶつけるだけの、破壊するだけの武とは別の物を見つけなければならないから。

自分の対戦の番が来るのを控え室で静かに待っていた。

デリア > 深手は負っていないものの、裸で地面を転げ回りもすれば擦り傷などはいくつもできてしまう。それも、この姿で戦う故の宿命、今ではもう慣れてしまったが、今回の闘技場への参加でそれなりに報酬は期待できるはず。少し休んだら治癒術士のいるエステにでも出向いてみようか。そんなことを考えながら控え室へと戻ってきた彼女。

「……子供…?」

視界に入ったのはまだまだ幼さの残る少年。見た限り、華奢で小柄な少年は兵士どころか戦闘の経験があるようにすら見えない。この街の人間は女だけではなく子供にすら殺し合いをさせて娯楽にしているのかと、苛立ちすら覚える。もし、次が少年の番だとしても、予想外の番狂わせで自分が魔物を倒してしまったこともあり、次の準備には時間がかかるだろう。

「すまない、そこ、いいかな?」

と、少年のことを気にかけ。さも少年の近くにあった水の入った樽から水を取ろうと、少年の前で声をかけ。

レン・レイト > 以前のファイトが気に入られたのか、登録は驚く程スムーズだった。

トロールの血でも引いているのかと思わせるような、醜悪な巨漢。
初めは一方的に殴られ、いたぶられていた少年。
首を絞められながら持ち上げられ、巨漢が客に向けてパフォーマンスをした瞬間、その指を食いちぎり。
巨漢が驚き少年を放し、痛みに呻きだしてからは一方的だった。
急所と言う急所を徹底的に攻め上げる少年。
途中、戦意喪失した相手を更に半殺しにして見せた少年。
執拗に、執拗に。憎しみと、相手への恐れから、相手が壊れるまで納得しないかのように。

ある種少年も番狂わせを見せた訳で、今日の観客の中にも、その少年の残虐ファイトを期待する者もいるのだろう。

ただ、少年は今までの少年ではなくなった。

「…あ、はい。どうぞっ………!!」

故に以前と違いからむように悪態をつくことなく丁寧に応対すれば、驚きもする。
否、以前でも目の前に裸同然の女性が現れれば驚きもするだろう。

「な、なななななんですか…!?」

半裸の男なら幾らでもいるだろうが、予想だにしない光景にとっさに手で眼を隠しながら動転する少年。

デリア > 今回が闘技場初参加の彼女、故に少年がこの闘技場で勝利したことはおろか、その端正な外見に似合わない残虐な勝ち方をしたことも知らない。故に、家柄の良さそうな少年の姿に、思わず心配をしてしまったわけで。

「邪険にしたわけじゃないんだ、気を悪くしたならすまないな」

樽の横に用意された木製のコップで水をすくい、そのコップの中に入った水を一気に煽る。飲み終わったコップの底から少年へと視線を移せば、可愛らしく歳相応に慌てふためく少年の姿。その姿に思わずクスッと笑みを溢してしまい。

「この闘技場では珍しくないのだろう?女を裸で戦わせて見世物にすることもあれば、子供だって」

と、近くの椅子を引き寄せ。腰を下ろしながら穏やかな表情で話をきりだし。

「もっとも、私はそういう一族の身でね。この格好もそのせいだよ」

と、見世物にされたわけではないことを説明し。少しは落ち着いたかと少年の様子を伺うように視線を向け。

レン・レイト > 「あ、いえ。…対戦相手なら邪険にしてくれたぐらいの方がやり易くて結構ですけどね」

自分のような子供をは大抵下に見られる。しかし、それ故に隙をつき易い。
以前の相手もそうだった。

「いや、そうらしいですけど、その……!?」

倒して相手を剥いたりするとは聞いたが、まさか控え室で裸の女性に会うとは思わなかっただ。
そういった耐性は無い少年が覚悟も無く彼女に遭遇すれば慌てるのも無理は無い。

「そ、それはその…失礼をしました。が…何分慣れてないので、どうか失礼をお許しを…!」

相手がそういった部族だと説明すれば、彼女が武人で、その姿はその正装なのだろう。
それなのに慌てふためき、未だに慣れず両の手の隙間からちらちらとのぞき見るようにしてしまっている事を深く詫びる。

デリア > 華奢な外見とは裏腹に、なかなか狡猾な性格をしているのだろうか、隙を突くとの言葉に思わず目を丸くする。多少驚きはしたものの、それも一つの戦い方、少年の容姿ならそれこそ、そういう戦い方もあるのだろう。

「そう身構えないでくれ、私の番はもう終わった。君と戦うことは無い」

まるで自分を敵視しているような少年の言動に、敵意は無いし、それ以前に少年と戦うことも無いことを伝え。どこか、小さな子犬が可愛らしく威嚇をしているようにも思えてしまい。

「失礼でもない、むしろその反応が普通なのだろう。それに、私はあまり周りを気にしないからな」

と、少年の反応を咎めることも無く。

「普通にしてくれて構わない、見たければ好きなだけ見ればいい」

と、色気のある女の体というよりは鍛え抜かれた戦士の体ゆえに、恥じることも無く堂々と穏やかに笑みを浮かべ。リラックスさせようと、椅子から立ち上がり強張ったままの少年の頭を軽くポンポンと叩くように撫で。

レン・レイト > 「ごめんなさい。…すこしぴりぴりしていました」

多少慣れて来たとはいえ、今までの彼に取って他者は敵。
それもこのような場所であれば、どうしても身構えてしまう。
それではいけないと、紳士的な相手の対応にならうように、こちらも謝罪するだろう。

「普通にしろと言われても…」

どうしても直視してしまうのは恥ずかしい。それでもついついちらりと見てしまう。
堂々として鍛えられた彼女の身体は実に美しかった。
しかし、頭をなでられれば、控え室故に今だ顔を隠していなかった少年。
一瞬びくりと、まるで恐怖するかのように驚くが、すぐに、心地良さそうに眼を細め、顔が緩んだ。

姉に救われる以前は、このように他者に優しくされた事が無く…いまだ耐性が無い。
故に、年相応以上に幼い顔をみせてしまうだろう。

デリア > 「これから戦いをしようとしているんだ、無理も無い」

ピリピリしていたという少年の頭を再び撫で。闘技場の経験者といえど、その様子にやはりまだ幼さを感じてしまい。

「だが、気が立っていると戦いで精細を欠きやすい、心を落ち着かせ、集中することで、相手の動きが読めることもある」

気が立っている様子の少年に対し、戦いの最中における気の持ち様を諭すデリア。しかし、その言葉は正しいのかもしれないが、その姿のせいでとても言葉にように少年を落ち着かせようとしても逆効果になってしまうのではと、あいにく彼女はきがつかなかった。

「そうだな……。短い間になるかもしれないが、共に来ないか?稽古をつけてやろう。その様子では、戦いに自信が無いのだろう」

と、少年に触れ、言葉を交わしたことで感じたことを鋭く指摘。闘技場での戦いがあるのかもしれないが、少年をこのままステージへと送り出すのは良心が痛む。闘技場の人間に、報酬金の半分でも渡せば上手く済ませてくれるだろう。少なくとも、少年次第だが。提案と共に、片手を差し出して笑みを浮かべ。

レン・レイト > 少年が幼いと思うのであれば、それは正しいだろう。
以前の少年は別人だった。
普段は全てに絶望しすり切れていた少年。
こと闘技場や戦場に向かえば全てを恐れ、憎み、呪い、その憎悪と恐怖をぶつけていた。
その風貌はとても少年のそれとは思えなく、控え室にいる間も…それこそ、闘気にも近い負の感情を発し続け、近寄りがたい様子だった。
今の彼は、まさしく子供である。
ある人が、子供である事を許し、取戻してくれたのである。
それ故、再び闘技場に赴いた。新しい戦いの形を手に入れるため。

「はい…仰る通りだとはおもいますが…!」

先達の言葉に素直に耳を傾けたいのは山々だが、彼女の存在が一番平常心から自分を遠ざけているのだが。
ただ、彼女が稽古を付けると言えば…少し驚いたように。
たしかに、自身が無かった。戦闘のスタイルで言えばある種、自己の喪失とも言える状態なのだ。
ただ、他人を信じていいのか…本当に相手は善意で提案しているのか不安になり一瞬眼をそらす。
しかし、自分はもう一度人を信じる事を決めたのだ。
歩み寄ることも新しい戦いである。
だから。

「その…貴女がよろしければ…よろしくお願いします」
一武人として。顔を覆っていた手をほどき、先達の武人の胸を借りたいと、初めてしっかりと彼女を見上げその手を取るだろう。

デリア > 「良い顔だ。手先の技術や力の強さではない、どれだけ望もうと、手にすることが難しいモノを、君は持っているようだな」

今まで、恥かしがるばかりだった少年が、自分の提案に、少し戸惑いを見せたものの、此方をしっかりと見据えて、返事をした。その瞳には、確かな意志の強さ、覚悟が見て取れる。それは屈強な兵士でもなかなか持つことのできないもの。それをしっかり持っている様子の少年に、思わずこれからが楽しみだと笑みを溢し。


彼女が闘技場で勝利した際に約束されていた報酬は多額だった。もっとも、その金で豪遊する予定も無ければ、何か買いたいものがあったわけでもないが。ともあれ、少年を養うにしても充分過ぎる金額だ。まずは、そのカネを受け取って、食事でもしようと少年を誘い。

「私に用がある時はそこを尋ねてくれ、008号室にしばらく厄介になっているからな」

流石に、少年を鍛えてやるにしても四六時中一緒にいるわけではない。なにか自分が必要になった時のため、自分がとっている安い宿の広告を手渡し。

「では、私は報酬を受け取ってくるよ。また後で会おう」

最後に、再び頭を撫でてやり。軽く手を振りながら控え室からロビーへと続く通路へと歩みを進めていき。

(お先に失礼させていただきますね。もし引き続きお相手をお願いできるなら、私書箱までご連絡お願いします。それでは、ありがとうございました!

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からデリアさんが去りました。
レン・レイト > 「………ありがとうございます」

他人に面と向かって褒められる事には心底慣れていない。
故に先ほどまで見せた強い意志を見せる顔は赤らみ、テレを隠すために下を向いて。

「…わかりました。僕は、普段からダイラスにいる訳ではないけど…定期的に来れるようにします。ですから、何卒よろしくお願いします」

少年自体はミレーの里に住んでいるため、毎日はいられないが。
それでも、王都よりは大分近いため、保護者になんとか頼み、定期的に通えるようにしたいと思う。

彼女の宿の広告を受け取り、頭を撫でられればまた心地良さそうにして。
新しい強さを手に入れる事に、そして新しく人を信じれる事に期待を胸に戴きつつ。
今宵は彼女の後を追い、その後、行ったん商隊にもどることだろう。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からレン・レイトさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にエリックさんが現れました。
エリック > 白熱する闘技場の戦い。
その中央では魔獣と戦士風の男との試合が行われている。

魔獣の牙や爪や牙の攻撃を避けては弾き、獲物の剣を振いその身に傷を負わせていく。
大きく振りかぶる魔獣の一撃を剣で受け止めればそのまま刀身を滑らせ胴にと突きたて刃を捻る。
その一撃で力尽きたか地に崩れる魔獣から剣を引き抜けば刃を振い血を吹き飛ばす。

「次は何が相手だ。早く出せ」

運び出される魔獣の死骸に目もくれず、歓声に沸く客席を一目して次の相手が現れるのを剣を片手に待つ。

エリック > 先程の仕合を追えて待つが次は現れない。
そうする間に係員と思われる男が近づき何かを囁く。

「そうか、今日はもう挑戦者はいないか」

係員から告げられた言葉に肩を落とせば諦め剣をしまう。
そして次の試合がなかったことへのブーイングの中控室へと戻っていく

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からエリックさんが去りました。