2023/06/02 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」に八蛟さんが現れました。
八蛟 >
 うっすらな雨 遠くで見える風雲はこれから強まる事を知らせている。
 こんな日は屋根の内側 熱い酒を飲みながら過ごすのが定石だろうと言えるのに
 鬼は喜々とした表情で、金砕棒を右手に船着き場で乱闘に興じていた。


    「―――う゛ら゛ぁぁぁぁぁっ!!」


 海賊の船やアケローン 持て余す力で行きたい場所で振るう剛腕は、恨みも買いやすい上に
 その首には一定の価値というものが生まれる。
 竜の首を獲るように 村を襲う魔獣を仕留めるように 倒した後の己の立場が上がるならと
 ダイラスに居を構える海の男達の考えた鬼退治。
 それは鬼の機嫌を大層良くした。

 鬼とはこういうもの 避けられるよりも狩られる事
 恐れられることを好む 況してや、首を討ちとろうということは 誇りにしてくれるということだ。
 どんな理由であれそれは、真実で だから鬼は全力で笑みを浮かべて八角型の金砕棒を手に
 カトラスや短筒を構えるそれらに、刃ごと接触させた端から海へと叩き落とすように
 剛腕を振るう度、黒鋼色の鉄塊が赤を刹那的に弾けさせながら打ち込んだ。


   「クハハ 嗚呼、今日は良い酒が飲めそうだァッ!!」


 鬼に心が折れても、始まりがあった以上終わりまで止まらない。
 やがて船着き場に立っているのが鬼唯一人になった頃。
 薄ら雨でしっとりと濡れた鬼は、太い歯を剥き出しに笑みながら、此処に鬼退治に来た事実を噛みしめただろう。


   「―――んぐ ぐっ んごっ。」

 
 左手に携えて居たままの、素焼きの酒壺徳利を傾け、雨が混じるのも構わずに顎に酒を伝えて
 その黄酒を飲み干すのなら、カラカラと笑って遠くで吹く強い風に、金地の長髪が八つの別れてたゆたう。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアイバーニアさんが現れました。
アイバーニア > (ここしばらく、普段は自宅に引きこもりがちなハイエルフの女は珍しく出歩いていた、それから外食して、久方ぶりに外で酒を飲んで、帰宅途中に常時展開している『空間索敵(リサーチ)』に騒動が起こっているらしき人の動きが引っかかり、普段なら興味も見せずに帰宅するのだが。女はなかなかに酔っ払っていた。)

『………んぁれ?……終わってる……ック!?……』

(千鳥足でフラフラと現れた。旅人のような簡素な格好をした、背に大きな杖を背負った小柄な女。おかしなところと言えば、この雨のなか、女の周囲だけ球形に雨が避けているためまったく濡れていないところだろうか。キョロキョロと辺りを見回して、一人笑う大きな女の方に近づき、ジィっと見たあと。海に落とされた被害者たちの様子を覗き込むように海を眺め)

『……おぉ~……まだ生きてる…』

(別に助けようという気はないらしい。気絶して浮かんでいたり、必死に泳いで逃げていたりする男たちを何か珍しい動物を眺めるように見ているという感じで)

八蛟 >
 しっとりと濡れた雨 悪くなっていく天候
 屈強な海の男達の、鬼の激しい凹凸なんて気にしない首だけに価値を求めた欲望に塗れた笑み。
 上にいきたい 強くなりたい 漢を上げたい 有名になりたい。
 売名で殺す 大いに結構だ 鬼はその役目を受け入れるべきである。
 最も 狩られたらの話だ。

 欲望も 貌も 場も、十二分に良かった。
 終わり方は貪るような呆気ないものでも、ただただ嬉しかった。
 でかくて強いは、そんな意思すら向けてくれる者 いやしない。


   「嗚呼、勿体ないなァ もっともっとやりあいたかった。」


 古傷を撫でながら、こうなってくれたら時折思い返して酒の肴にだってしたろうに、と。
 そこまでやったところで、水に濡れても震えもせず鼻もぐずらない
 鬼の体にこの夜の闇と水は相性がいいように、平然としたまま頬に張り付いた金髪
 指先で後ろに払ったところ、見えたのは胡乱げな姿。
 フラフラとした足取り 酔っ払いかと思えば、背中を浮かべる者 海を呑みながら溺れる者
 纏めて叩き落とされたせいで、片腕を砕かれる程度で済んだ者を眺めている。
 どうみても仲間じゃない―――が、鬼の赤い瞳は、人間じゃないな、と笑みを浮かべる。


   「―――よう 雨ン中、躯見物たぁ物好きだね。」


 ガランッ ゴロンッ と蛇の革を彷彿とさせるサンダルの革張り
 下駄歯を鳴らしながら近づいていく、金砕棒を担いだ姿。
 小柄な体と、大柄な体が向き合うと、その差は歴然だろう。

 トン、トン、と軽々と金砕棒で肩を叩きながら、鬼も躯を眺めようか。
 鬼が船着き場にいる以上、誰も上がろうとすらせずむしろ遠のいていく。
 そうなると、雑音な声は消えて風と波と雨の音が耳に良く聞こえる。


   「まさかと思うけど、お仲間ってわけじゃないんだろ?」


 ゴトンと先端を足元に置くように、握りの手のひらを乗せて杖のように体重をかけた姿。
 鬼は余韻がまだ強いのか、笑みを浮かべるままに雨雫が頬や髪へ流伝う。

 

アイバーニア > (しゃがんで海を見ていたが飽きたように立ち上がり両手を組んで背伸びを1つとあくびを1つ)

「……んぁ?……まさか、私はただ人がいっぱい騒いでたからなんだろうって見に来ただけだよ?……というか、君が一人でやったの?」

(話しかけられればぼんやりとした表情のまま相手の方を向く、大きすぎるので腰のあたりを観ることになって、視線は見上げるように顔まで移動)

「君、人間じゃないよね?……私たちみたいな耳してるけど……体格はオークみたい……なに?」

(酔っていて警戒心や人見知りが減衰しているのと、相手が人間じゃないとなれば別にいいだろうと。帽子と髪に隠れた長い耳を見せて。その屈強な女性の種族に興味を持った)

八蛟 >
 怯えず 酔っているまま雨も浴びていない
 雨避けの術を持っているらしい姿
 だからきっと、酒の気も抜けることができていない。

 ぼんやりとした表情でつぶやく姿は、まるで鬼に攫われても陽気で遊び好きな女童のように。
 そう、現実とは未だ噛み合っていないかのようだ。
 よく言われる笹と呼ばれる耳の形 やや長いそれは、化生の耳よりもエルフに近しく見られるらしい。
 同族のようだとアピールするように、耳を見せて呟く姿。
 鬼も、先ほどから人間の匂いが全くせず、且つ大胆な物言い “君”呼ばわりも納得だ。


   「なんだエルフの類かい。私を若造扱いできるわけだ。」


 耳を軽く、大きな掌で頬ごと包んで振れれば耳長のそれ。
 混沌とした街中 エルフだって放浪者や奴隷として珍しくないかもしれないものの
 顔立ちも背も、自身以上に詐欺めいた風貌だ。
 まじまじと鬼も眺めながら素直に明かそうか。


   「私は“鬼”だよ オーガとは似たもんさね。」


 よろしく、とポンと頭に触れてはつかみどころのない空気
 鬼の余韻も消えかけていたものの、別の気は見えかけていた。


   「鬼退治で体が喜んじまってさ さっさと終わったのが残念で仕方ない。
    エルフなら人間の小娘とはまた違ったもんだろ? 攫っちまってもいいかい?」


 ニッと獰猛な笑み というよりも欲めいたそれは、戦いが終わって持て余す体を解消するように
 目の前の見た目が青くても中身は育ち切っているだろうエルフに対して、誘いかける。
 抵抗するなら闘る しないならヤる といった空気だ。
 それもまた、鬼の所業だろう。
 

アイバーニア > 「そ、ハイエルフ……長生きなのは認めるけど。あんまり年寄り扱いされるのも好きじゃないかな?」

(頭にポンと乗る手、けれど。雨除けの風魔法を展開しているため、軽く触れた程度だとギリギリさわれないという具合だろうか)

「オニ?……あぁ、東の方の……確かに服装もそっちの方だね……へぇ始めてみた」

(興味深いのか知的好奇心をソソられ、まじまじと見ていれば。お誘いの言葉)

「……え~?……ん~……まぁ……確かに魅力的な筋肉……じゃなくて、初めて会う種族だから興味はあるけど、そっちの意味じゃなくて……てか君、女の子でしょ?……」

(普通に照れたようにモジモジと言い訳しつつ、あと単純に女じゃないのか?と思いつつも)

「てか君、大きすぎるんだよ。無理……」

(フラフラしてる、そんな動きで両手でバツを作ってお誘いはお断りした。襲われるとか攻撃されるとか、そういう気配には全く気づいておらず。普通のナンパくらいに思っている)

八蛟 >

   「へぇ、思ったよりも年食ってんのか。」


 自身も化生 見た目と年の積み重ねは比例しないものながら
 目の前のそれはハイと頭につける類。
 3桁の後半 それ以上なのかと自身の顎を撫でる。
 しかし、年寄扱いされたくない素振りにクハハと笑い。


   「私らの齢なんざ関係ないか。
    皺も一つもないんだ 女を張ってなよ。」


 見た目婆なんざ喰う気にもならないしね、とつぶやき。
 目の前で同性 背丈 色々と自身とは合わないよ、と正論を云いながら腕を×に交差する。
 酔いに任せた恐れ知らず クハハ、とまた笑った。


  「魔羅なら生えてるよ 見せてやってもいいけど、先に攫っちまわないとか。」


 そう言って、グッと背を伸ばすと金砕棒を今一度握り締めようか。


  「勿体ぶってるんだ 闘るのもヤるのも期待できそうだね。」


 そう言っては、遠慮なんてしない 潰れたらそれまでだからと
 鬼は躊躇いもなく両手握りで上段に構える。
 ゆったりとした動作ではない一拍も呼吸の間に、振い上げ、振い落とす
 剛腕と鋼の一撃。


  「―――オッショイッ!!」


 轟、と言葉が付きそうな、上段構えの唐竹振り。
 力に身を任せた単純明快な振り下ろしに対し、雨避けの術を持つ身は、先ほどの手のひらの感触のように
 どこまで防げるのかと、鬼は試した。 

アイバーニア > 「いや生えてるとか生えてないとかじゃなくて……」

(そんなの見せられても困ると酒だけじゃない赤くなった顔の頬を抑えていると)

「――――――!!?」

(振り下ろされた剛腕の一撃。頭の上に不折降ろされたそれだったが。おそらく地面を砕く以外に手応えはないだろう。風の壁が混紡の動きに合わせるように流れを作り、いなしたからだ。同時に地面から風で体を浮かせていれば、威力は関係ないとばかりに、その体が雨粒を弾きながら勢いよく高速回転し宙を舞い、回転を緩めつつふわりと着地し……背を向けて膝をついた)

「っ……ぅぇえええええ……」

(酔っているところにあまりの想定外の膂力と威力に受け流しはしたものの回転しすぎて、目を回して吐いた)


「……ぅ……『水創生魔法~ウォータークリエイト~』……」

(生み出した水で吐瀉物を雨とともに洗い流しうがいをしてから涙目で振り返り)

「………『自動演奏機構』コード☓☓08……『水創生魔法~ウォータークリエイト~』プラス『水流操作魔法』……」

(涙目で振り返りつつ、膝をついたまま。背に背負った杖が輝く。ほとんど詠唱のラグなしに複数の魔法が展開、水流が渦を作り、八蛟に襲いかかる。水が渦を描きながら。絡みつく、水流が蛇のように体の動きを阻害し、特に顔の周り。呼吸器の周りにまとわりつく、砕いてもそこは水、何度も絡みつくように。もちろん狙いは窒息だ)

「乱暴するなら、捕まえて躾けて、調べるからね?」

(怒っているというより、未だに悪ガキを懲らしめる程度の声のトーンで)

八蛟 >
 雨の舞台 八角棒 八つの八角鋲
 振われる一撃が、スカした感触というよりも、真っ直ぐに振り下ろしてはいた。
 ―――が、期待した感触は何もない 防ぐでも躱すでもない


   「いなしやがったか。」


 音と衝撃 水場が円を用いて衝撃を思い描く。
 バラバラと降り注ぎ直る雨粒と水気。
 両手で握りしめていたそれを片手振りで一度振りぬくと、鬼の笑みは深まった。


   「闘り慣れてやがる。
    なんだい こんな一撃を受けた経験があるのかい。」


 いなすというのは、鍛練とイメージで描いて初めて実現できる。
 ただ受け流そうとするだけなら、極限でもない限り、その腕ごと粉砕する自身があった。
 魔術で壁をつくろうものなら、力でねじ伏せて見せたかった。
 だが実際は、自身を廻して水で滑らせ、この力みを利用したものと化す。

 その御釣りが酔いと廻しからくる嘔吐でも、鬼が冷めることはない。


   「―――おや。」


 術式 水気を使ってめぐる蛇のような筒型と軌道
 しかし、水で縛ろうとしても、鬼の力に叶うとは思っていないはず。
 物理一発 それが叶うのは強いもののみ、と思っていると。


   「ゴ、ボ。」


 慌てることもない 口廻りを覆う水
 水術師が良くやる手口の一つ わかりやすいのは球体水で顔面を覆い、なにもできなくさせること
 触れることはできても掴むことは叶わない。 水の代表的な戦術だ。


   「ぼおじぇえ。」


 溺れながら、ニィッと笑みを浮かべた鬼。
 発音は濁り、笑みを浮かべる。


   「―――喝ァッ!!」


 バンッ!と弾けた水
 鬼の気合を込めた咆哮は、水故に 掴めぬ しかし維持することは叶わない状況へと追い込んだ。


   「水なら私も馴染むもんでね。」


 ペッと地面に吐き捨てながら、握りしめる金砕棒
 腕は力みと瘤で、血管を浮かせ、鬼の気合を高めている。


   「サァ おっぱじめようじゃないさ。」


 言うや、獲物を片手に、一蹴飛びによる間合い詰め
 互いの一撃と術 水滴る雨夜の中 鬼とエルフは剛と柔と言った具合で
 この夜 決め手に欠ける様子ながらも、雨を弾き散らす破裂音と砕く破砕音が何度も響いていたとか。
  

アイバーニア > 「内緒……」

(自分で訓練して反射的に出したものではない。最初から雨粒を弾いている風魔法。これがそもそも、外からの衝撃に自動で流れを作り受け流すように予めインプットされている。そもそも戦場での不意打ちにも対応でき、かつ通常は最小限の魔力消費で使用できるようにしたプログラムだ。自動演奏機構の真骨頂、そもそもオートで対応するのでミスしようがない。仕組みはもちろん秘密だ)

「はぁ!?……気合だけで操作された私の水はじくとかどういう理屈よ?」

(いやでも、圧倒的な圧力をかければ?とか考えはするのだけれど追撃が来る。逃げてしまえば話は早そうだけれど、それにして少しは足を止めなければそれも危険となれば)

「……いや、私はそもそも決闘とかタイマンって苦手で、あぁもう!」

(そもそも魔法使いは集団の集まる組織的な戦場でこその最強戦力。万能兵器だ。こんな近接戦は燃費も悪くなるし得意じゃない。魔力消費は増えるが、風障壁に水流の障壁も合わせて、すっ飛ばされないように打撃をいなしていく。にしてもこんな町中でこの実力の鬼をどうやって止めたものか、気化熱を利用して熱を奪っての氷漬けなど、様々な方法を試すが。数百年ぶりに限定的ではあるが思考と魔力を振り絞ったとか)

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」から八蛟さんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアイバーニアさんが去りました。