2021/04/16 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にラッツィオさんが現れました。
ラッツィオ > ダイラスの倉庫街は、表通りに面している並びこそ、人も多く行き交い、即席の市なども開かれて賑やかだが、いくつか通りを奥へ入ってしまえば別世界が広がっている。
表通りの喧騒も、裏通りには届かない。
それはつまり、裏通りの悲鳴が表通りに届くことは決してないということだ。
遊んでいた子供たちが裏通りに迷い込んだが最後、二度と姿を見せることがなかったという話は、決して低くはない頻度で聞こえている。

そのなかの倉庫のひとつに、男はまさに侵入しようとしていた。
鍵がかかっていて開かないドアを、周囲に人の気配がないことを確認してから、物理的に脚で蹴破る。
やかましい音が響いたが、幸いにしてドアそのものが大きく破損することはなく、閉めておけば近寄られない限りドアが蹴破られたことは分からなさそうであった。

「――――さて、思ったより呆気なく入れたはいいが、ここもハズレじゃねェだろうな」

怪しい免許の船舶から降ろされた積荷を探ってこい、という、いかにも簡単な依頼を安請け合いしたものの、候補となりうる倉庫の数が山のようにあり、完全に虱潰しの状態になっていた。
間違えた時の対処は気にするなということであったので、思い切りやれているのはいいが、何分時間がかかる。

今回の倉庫も外観に反して内部が広く、埃と潮の臭いが混じった室内には数多くの木箱が点在していて、時間がかかりそうだった。
まずは入口付近にあるものからと、慎重な手付きで中身を確認していく。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からラッツィオさんが去りました。