2020/09/10 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にフルーアさんが現れました。
フルーア > (不意に時間が空いた。…少々遅めではあるが。
ならばと気晴らしに繰り出したものの。繁華街の盛況っぷりなどはどうにも。落ち着けそうになかった。
ふらふらとヒトの群を逸れるような足取りは。今こうして、夜の波止場。
海へと突き出した適当な桟橋に腰を下ろし。履き物を片手の中で揺らしながら、海水の冷たさを、裸足の足先で愉しんでいた)

「あは、つめた――流石にいい加減、風呂じゃんこれ…なんてのも、終わりそう…?」

(季節は移ろい。寝付けもしない熱帯夜が、連日続く事はなくなってきた。
ちゃんと、触れれば冷たいと。そう感じられる程度には、海水温度も下がっている。
ぱちゃぱちゃ、音を鳴らして飛沫を散らす。両脚をぶらつかせて)

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエイガー・クロードさんが現れました。
エイガー・クロード > 海、というのは基本的に静かで、そして見つめると穏やかになれると学者は言っていたのを聞いた
マントを外して、鎧を一部脱ぎ、潮風に当たる
そうして海を見ている間は、どこまでも孤独であると感じられる
それでも……決して冷たくは感じなかった

「…………あら?」

そんな風に考えていると、一人、桟橋で海を楽しんでいるように見える人の姿があるのが見えた
そこまで遠くはないが、近くもない。普段ならあまりこういった場所で声をかけないのだが……

「ごきげんよう。いい風ね」

騎士の鎧はあまりなく、少し自然体のまま接して見ることにした

フルーア > 「………うん…?」

(少しだけ眉根を寄せた。不意に聞こえてきた誰かの声に。
別に、その誰かが悪いわけではない。雑踏喧噪が合わなかっただけで、ニンゲン嫌いという事もない。
不機嫌の理由は単純に。声が届く程接近されるまで、誰かの気配に気が付きもしなかったという、自分自身に呆れての物。

それでも。要するに自分が悪い、それだけでしかないのだから。
振り返ってみせる際には、顔にもおくびにも出さないようにしよう。
両手を背後へ着いたなら。くるんと仰向き、上下逆さの顔が後ろに向いて)

「おや、おやぁ…美人さんだね?
…えぇと挨拶?何て言うんだ、こんばんわ?」

(また考え込んだが、それは一瞬。ちゃんと、ヒトとの会話を思い出す。
体勢的に手を振るなどは出来無い為、仕草ではなく言葉だけ。相手へと)

「ここ、気持ち良いよね?そっちは、良く来るクチ?」

エイガー・クロード > 「あら、美人なんて嬉しいことを言ってくれるじゃない」

おほほ、とマダムのような笑い方と仕草をして、少し歩み寄る
人間観察は職業柄よくしてはいる、だが……ここまで白い人間は、見たことがない
唯一色の灯ったその瞳を見ると、少し不安な気持ちになる
それはここに、自分たち以外がいないからだろうか

「えぇ、気持ちいいわね。よくは来ないけど、偶に、一人でいたいときに来ることはあるわ。
あなたもそうだったらごめんなさいね」

そんな風に思ってることはおくびにも出さない
初対面の人に失礼だし、何より別に嫌われたいわけじゃないし
一瞬、彼女(?)が考えるように黙ったことに気づいたが、指摘するようなことはしない
それにしても……着飾ったら綺麗になるだろうなぁ、と思ってしまうのは自分のサガなのだろうか

フルーア > 「綺麗だし、綺麗になろうと、頑張ってる。…そういうの、判るからさ?」

(自分がしない分もあって。何となく判る。例えば、素肌のままか、其処に白粉等が載っているかいないか。
その唇を彩るのが、健康的な血色なのか、妖艶な紅なのか。等。
特に化粧という代物は。匂いが有るので。自分「達」には気取りやすい。
だから…装う。粧う。そうやって、見た目に気を使っている人物である事は分かる、と)

「そうなんだ、いいね、僕は初めて来たけれど――お気に入りとして、覚えておくつもり。
……んん?いいんじゃない?僕の住処って訳でもないし……なんて言うんだ、公共の場?」

(だから、領有権も先住権も主張しない。
気にするなと伝える為にも、また手を振ろうとしたものの。それには矢張り、体勢を変える事が必要だった。

ほ、と小さく声を上げつつ。思い切り仰向いていた背中を戻すと。
かといって肩越しに振り向きっぱなしもしんどいからだろう。
ぺしぺし。自分の座っている、その傍らを叩いてみせる。
おいでなさいと言いたげに)

エイガー・クロード > 「あら、わかっちゃうのかなぁ。そういうの……それとも厚化粧だった?」

少々不安そうに、同時に自信を持っているのか張りのある声で聞いてみる
最も、こうして自身が化粧をしているのは、自身が男であることを自身で判断するためだが……そこはいいだろう

「そう……うん、気に入ってもらえたら嬉しいわ。その分の感じ方はそう間違いじゃないってことになるしね。
……そうねぇ、今は誰もいないけど、もっと昼間とかだとたくさん人がいるしね」

そんな風に語っていると、彼女が傍らをたたくのを見た
意図は伝わったのか、ゆっくりと隣に座り、自身の厚いブーツと靴下を脱いで、海に両足を入れる

「それじゃあ失礼して……んっ、冷た……もうそんなきせつなのねぇ」

しみじみと、その海水の温度がひくくなっているのを感じとり、呟く

フルーア > 「わかるわかる。…ん、どうかなぁ。僕はちょっと、平均値、知らないから」

(ひょっとすると、気付かないヒトも多いくらいの、ナチュラルメイクなのかもしれないし。
ヒトによっては気にしてしまうような感じなのかもしれない…
どちらなのかは。残念ながら、自分には判断出来ないと。少し頭を下げながら)

「昼間は……だろうね。ヒトが多くて当然だと思う。
そういう時は、嫌がる子も多いから、近付かないようにしようかなぁ…」

(隣に腰掛けてくれると。高低差もだいぶ縮まる為、会話し易くなる。
決して大きくはない、さやさやと囁き掛けるような声、といった按配の声量は。
この夜の心地よい静けさを、自分で壊してしまわない為なのだろう)

「良いよね、やっぱり、海とか川とかこうでなくちゃ。
…それで。さっきの話からすると。君は、ひとりになりたくて来たの?
ニンゲン嫌い、という風には…見えないけど」

(落ち着いた時間だから、だろうか。最初の警戒は何処ぞへ放り。
少し横から見上げてみせる視線は、興味深げな物になる)

エイガー・クロード > 「あらそうなの?せっかくそんなに綺麗な顔してるのに、自分でも化粧してみると絶対映えるわよ?
あぁ、別に怒ってるとか失礼に思ってるわけじゃないから心配しないでね」

少し顔を覗くように見て、微笑みかける
最初に感じた不安はもう薄れたのだろうか、その顔は無邪気そうだ

「嫌がる……子……。連れがいるの?」

視線が自然と近くなり、そうなると素が出やすくなるのが人というものだろう
お互いだけが聞こえる程度の声の方が、今のこの雰囲気にちょうどいい

「そうねぇ、暖かいのもいいけど、やっぱり冷たいほうが自然に感じるわよね。
……ん、あぁ……その話ね」

苦笑して、一度視線を外して水平線を見ながら

「そうね、嫌いというわけではないわ。けれどほら……私、化粧して、喋り方も男性としてはおかしいじゃない?
自然と浮いちゃって……それで、視線が少し、集まりやすいのよね」

特に感情ものせない、自然な声質
だからこそ、忌避しているのだろう、そんな感じがする

フルーア > 「結構…荒れちゃうんだよ、肌。口紅くらいならともかく。
…あは。分かってるよ、君こそ、心配要らないから。……律義だなぁ」

(割と。知っている異性というのを思い浮かべてみると、傍若無人だったり居丈高だったりが大半なのに。
この人物は、初対面の年下に対しても。しゃんとした接し方をしてくれるらしい。
気遣いが嬉しくて。自然、顔も…緊張感も緩むという所)

「まぁね?…大丈夫、暴れさせたりはしないというか。僕の中に引っ込めてるから」

(――――極々一瞬、だけ。無数の羽虫が群れて渦を巻くような。深い水底を甲殻類が這いずるような。くぐもった音がした…かもしれない。
だが、今はそれだけ。もし彼が魔術の類に親しんでいたり。…異形に縁が有るのなら。
どろどろと澱のように沈殿した魔力の兆しくらいは。感じるかもしれないが。

いずれにせよ先言通り。何者か達が姿を現す事は無いだろう。この時間、この雰囲気。壊したくないのは本当だから)

「………ん…ん、そうか。…君にとっては、それが普通でも。
周りのニンゲンにはそれこそ、自然に感じない、って。思われちゃうんだね――――」

(男らしい、というイメージなど。それこそ海水温度と比べれば、霞む程に些細な物でしかないのに。
それでも。この国の歴史、文化、風俗、等が定める「男らしさ」は。彼を認めようとしないのだろう。
…何となく。苦笑混じりに肩を竦めてから)

「僕も時々言われるよ?ほら、普通は僕だなんて言わないんだって。女の子は。
もっとお行儀良くしたり、楚々って感じに一歩退いて、男を支えたりするものなんだって。

……あはは、良かったね?
そういう意味では、僕達、似たもの同士だと思うから――」

(声に出して笑ったあと。体毎向き直り、真っ直ぐに見上げて…こう言おう。

「今日ここで。こうやって。僕達、会えて良かったね?」――と)

エイガー・クロード > 「あぁ、体質なら仕方ないわね。ごめんなさい、つい自分と照らし合わせちゃってたわ。……律儀というよりは、こう……礼には礼を、失礼には失礼を……みたいな、ね?」

そういった事を話すのは初めてなのか、少し、彼の見た目にはそぐわないようにはにかんだ
緊張感が緩んだことに、彼自身も影響されているのだろう

「あなたの中に……」

オウム返しするようにそう呟くと、その一瞬の気配に体を強張らせた
一瞬、自身の装備に手をかけようとするほどのモノを感じて……
……そして、彼女のことを信じることにした
ここまで話して……自身が斃さねばならないような存在ではないと、判断した

もしかしたらそれは誤りかもしれない、けれど
……今目の前にいるこの初対面のヒトを、傷つけたくはないと思うのは、きっと気のせいじゃあない

「えぇ、そうね。人が思うような騎士像と、アタシという騎士は、とても気に入らないみたいでね。
よく突っかかれたり、『家』のことで陰口を聞こえるように言われたりね……」

ちらり、と自身の家紋の描かれた、古いマントを見る
それは家を背負うものとしての重責か、あるいは―――

「あらあら、失礼なことを言っちゃって。別に女の子だからって男の子みたいになってもいいのに。
人間のカタチは多種多様なんだから、そんな古い固定観念なんかいらないと思うのは、異端なのかしらね」

そう、ぼやくように言った後……真っすぐと見上げられて受け取ったその言葉を一瞬、嚙み砕くことはできなかった
けれども――

「――ありがとう。アタシ、初めて今日という日に感謝したかもしれないわ」

少々大袈裟かもしれない、でも、これは本心だ

「…アタシの名前はエイガー。エイガー・クロードよ。あなたのお名前を聞かせてもらえるかしら」

そっと、無意識に彼女の手に自身の手を乗せようとしてしまいながらこちらも、真っすぐと見つめて……