2020/07/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 天然の岸壁を利用して、海へ向かって大きく張り出すように作られたテラス。テーブルが並べられ、そこは荒くれ者たちの集う酒場になっていた。
屋根代わりに張られた、どこかの帆船のお下がりだという丈夫そうな布製の天幕。晴れの日には海からの日差しと風をはらんで白く輝いているのだろう。
今は雨に濡れ、ちゃぷちゃぷと水気をフロアの端に滴り落としていた。
「船が出られないなんて、残念。
海賊に備えての護衛依頼、ちょっと拘束期間が伸びちゃったな」
雨音の中、
天幕の内側に垂らされた大きなカンテラの明かりに照らされる小さな人影が椅子に座っている。テーブルの上で頬杖をつく。
悪天候で商船の護衛依頼の出発は少し伸びる事になり、
しけの回復が見込めるまでの待機中だ。
まわりにはちらほら、自分と同じ依頼を受けたパーティがぐうたらと寛いでいる。
「空の神様のご機嫌なおるまで、
僕ものんびりしよっかな」
見れば奥のテーブルで、依頼人自身もワインを傾けていたり。
見習うことにしよう。
背の高い女の子の店員さんに果物ジュースとクラッカーを頼むと、雨粒が天幕叩く音に耳をすませて軽く瞳閉じ。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアシュトンさんが現れました。
■アシュトン > 「ぷえっくし!!」
(酒場の喧噪にまぎれてしまう程度の、それでいて聞き取るにはそう難儀としない程度の音量で。
ややと気の抜けた様にも聞こえるクシャミは、上から下までずぶ濡れコート姿が入り口に現れると同時に鳴り響いた。
顔を指で拭ってから両腕を広げ、ばさばさ。振るう仕草に滴が落ちて。粗方の残りを手の甲で拭い髪を掻き上げると、周囲を見回した)
「まだ人手が足らないってギルドから紹介されてみりゃ、この天気か。
どうにもならん事とはいえ……拘束期間の賃金も貰わないとやってられないな」
(ややと冷えた身体をロングコートの下で摩りつつ。店員らしき女性に声を掛ければ、ウィスキーと簡単なツマミを注文しておき。
さてと、準備が整うまでに何処か座る場所でも決めておきたい所だが。
どうにも、既に組んでいるパーティーの机が多いようだ)
■タピオカ > (船員らしき人影が雨にしっとりとした空気を払拭しようと、戯れにビオラで陽気な曲をかき鳴らす中で聞こえたくしゃみ。人の声とくしゃみはもちろん違うが、どことなく聞き覚えがある気がして閉じていた瞳を開く。
湿気につやつやとなったコートから水気をふるい落とす大柄な姿はよくよく見知った親しい相手のもの。
最近見なかったけれど、港街の雨が彼と彼との縁を運んできてくれたらしい。思わず頬を緩ませて)
「……アシュトン!
こっちの席、空いてるよー!」
(店員さんに何かを注文した様子の彼へ、腰を浮かせて大きく手を振り)
「えへ……、久しぶり!
ダイラスのほうで会えるなんて、予想してなかったよー」
■アシュトン > 「まぁ、何処か適当にカウンターでもいいんだけどな」
(何時もの如く遠出な依頼から帰ったと思ったら、丁度手空きが他に居ないってんで半ば無理やり入れられた仕事だ。
先方に話そのものは行ってるだろうが、誰と組んでいる訳でもなく単独である。
季節外れに冷えた身体を酒で温める事が出来れば十分か、なんて思いつつ。毛先を垂れてきた水滴をピンと弾くの、だけれども)
「あぁん?
っと、なんだ随分……割と本当になんだか随分な気がするな。
元気にしてたかどうかは――聞く必要も無さそうだな」
(くくっと、喉元小さく鳴らす笑い声に合わせれば、片目を閉じて。
上げた口端表情そのままに。分かりやすくと自己主張する少女の方へと、緩い足取りで近づいてゆき)
「商船護衛の依頼が、急ぎで入ってな。シェンヤン帰りでこっちへ直行さ。
見たところ、タピオカも同じ依頼かな? 奇遇な事もあるモンだね」
(パタパタと手を振っていた彼女の側へと寄れば、伸ばした腕。相手の頭を軽くクシャクシャと撫でてから、席に腰を下ろす事にでもしようか)
■タピオカ > 「あは!僕はこの通り!
アシュトンのほうも、なんだか相変わらずっぽいね!
良かった良かった。
しばらく見ない間、どう過ごしてた?
ダークトロールの群れから命からがら逃げ出したり、
森の精霊に手足絡め取られて無理矢理奉仕させられそうになったりしてた?」
(健やかさは取り柄のひとつだ。小さく胸を張って両手を腰にやり、息災をアピールし。戯れまじりに、彼が乗り越えてきそうな冒険譚を並べてみせ)
「ふふ……っ!
――そっかそか。遠いところからおつかれさま!
そうだよー、商船護衛だね!アシュトンと偶然依頼がかぶるなんて、今日の僕は運が良いや。
この雨にも感謝しなきゃ」
(銀色の短い髪が気持ちよさそうに、相手の手指の中できまぐれにはねる。くすぐったそうに肩震わせると瞳を細め。いきさつを聞いて頷く。偶然の再会を連れてきた外の雨に向かって軽く手を合わせてみせ)
「この雨しばらく続くみたいなんだー。
アシュトンにはちょうどいいかもね。
船出の前に休めるし。
……それに、僕にとってもちょうどいいかも。
依頼の前に、……アシュトンと……。その、ゆっくり、過ごせるし」
(やがてテーブルに運ばれてくる飲み物と軽食。
自分のグラスを口につけながら、天幕を流れる雫を見上げ。
そしてどこかうつむき加減で頬をほの赤く、彼を見上げ)
■アシュトン > 「相変わらずにも相変わらずさ、ご覧の通りしぶとく生き延びてるよ。
キノコの一件もあって、植物やら集団にはなるべく気をつけてはいたんだが……そうだな。
ばかでっかい怪物にパーティーごと丸のみにされてな。体内の寄生虫と戦いつつ、命からがらケツから逃げ出した――って、位かな。面白い話と言えば」
(ため息交じりに、肩を竦める。
面白い話とは言ってみたものの、本人達にとってはたまったモノではなかったらしい。暫くの間、生臭さが体から取れなかったそうな)
「話に聞くには、まだかかるらしいな。晴れるまで。
じとじとしてるのはどうにも嫌だが。ま、出航までのんびりと待つとするさ。
お互い、会わなかった間の思い出話でもするかい? それとも――……」
(やってきたグラスをウィンク一つに受け取れば、口をつけ。
度数の強い酒をチビチビとやりながら、何か含みを持たせるような言い方で、双眸を細めてみるのだが)
「どうにも、雨で体が冷えて困ったモンだ。酒の一杯でも飲めば温まるかと思ったが、芯から凍えて堪らない」
(わざとらしく己の体を両腕で抱くと、身体を震わせてみせ。
腰を浮かせれば前屈み。うつむく彼女の顔を覗き込むように、そうして)
「仕事前に風邪でもひいちゃ大事だ。
タピオカの身体で、俺の事、温めてくれないかい?」
(伸ばした指先、彼女の頬へと。
ややと冷えたそれで、ゆっくりと誘うようになぞっていくとしよう)
■タピオカ > 「……っ、あはははっ……!
あー……そういうのって、おとぎ話だけの事かと思ってた……!
本当に経験しちゃう事ってあるんだね。
大変だっただろうけど……、っぷ、……ふふっ……!」
(小人の王子が巨大な化け物に飲み込まれて、中からその化け物をやっつけた。的な物語なら耳にした事がある。そういえば魚のお腹の中で神に祈った人の話も。どちらも寓話の域にとどまるだけだったのに、彼の口から生々しい体験談を聞くと思わず笑い出してしまう。大冒険と表現しても差し支えない、そんな顛末だっただろうが、お尻から逃げ出すあたりがリアルで、再び口元から笑気がこぼれ)
「僕のほうも、吟遊詩人に聞かせたらお金が貰えるぐらい色んな思い出話はあるけど……。
――それよりも、冷たい雨でこごえちゃったアシュトンをぬくめるほうが先だね。
僕が、アシュトンのこと……。えへ、……あっためてあげる。
……向こうに、……行こ?」
(頬に手がかけられて、甘い目つきになる。
小首をかたむけるようにして笑みかけると、立ち上がって。
相手の手を引いて誘うのは、酒場のすぐ先。
岸壁の屋根で雨をしのぎながら、船着き場に停泊している護衛対象の大きな船だ。
木張りの板を渡って乗り込むと、船倉のひとつ、
ロープや予備の帆、修繕道具を置くための倉庫へ入ろうと)
■アシュトン > 「結局逃げ出した後も、離れるのに精いっぱいでどんなヤツか確認も出来ずじまいさ。
ありゃぁ何だったんだろうな、本当に。
ん~……はは、仕方ないだろ。脱出するってなったら、やっぱりソッチになっちまうじゃねぇか」
(それこそ英雄か何かなら、体内から攻撃して倒してしまったり、なんて事もあるのだろうが。
残念、自分達ではそれこそ木の枝で人間を突くより意味のない攻撃しか、出来ない。そんな存在だ。
彼女の笑みに合わせて、此方は微かに乾いた笑い声。
脱出直前の地獄絵図とか、間違っても口にはしたくない。特に、食べ物関係の場所では)
「そうだなぁ、タピオカがどんなモノを見て、どんな経験をしたかってのは興味があるが。
船旅の仕事だ、話す時間は後で沢山あるだろうさ。
そのためにも、仕事に支障をきたさないように、ちゃんと身体を温めて……な?
それじゃ、お願いするとしようか」
(グラスの残りをくいと飲み干せば、酒気を帯びた息が漏れ出し。
一呼吸付けば、ゆっくりと腰を持ち上げて。
引く手を軽く握り返せば、誘われるままについてゆく後姿。
たどり着いた船は……なるほど、これだけ護衛を集めるだけはある。
状況が状況だ。残っているのはハズレくじを引いてしまった、一部の船員位のモノだろうか。
小さく足音鳴らしながら。メンテナンスようの油の匂いが微かに香る、一室に――)
■タピオカ > (雨降りダイラスの何気ない一日は続いていく――)
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアシュトンさんが去りました。