2020/05/03 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 日頃から活気賑わう船着き場ではあったが、此処最近の熱気は一際大きなものがあるだろう。
巨大なガレオン船が列を成し、船倉から次々と貨物が吐き出されては、飲み込まれていく。
最早水夫だけでは人手が足りず、奴隷、ゴーレム、低ランクの冒険者まで荷役に駆り出しているともなればその活況たるや凄まじいものがあるだろうか。
「———倉庫が足りない?ダイラスからの物流が滞っているからだろう。そもそも、需要があって卸した荷物だ。此処で滞留させていて金になるものか。
商人達の馬車を待っていては効率が悪い。多少高くなっても構わぬから、此方で御者と馬車を搔き集めろ。どうせ、殆どの荷物はゾス村かアスピダ行だ」
そんな船着き場で異彩を放つ豪奢な礼服の少年が一人。
取り巻く文官や港湾関係者に矢継ぎ早に指示を出し、書類にサインし、檄を飛ばす。
一通りの指示が終わり、己から離れていく者達を眺めながら小さく溜息を零す。
「……足りないのは、現場の者だけでは無いというのは理解しているが…」
懐から咥えた煙草に火をつける。
己の年齢での喫煙は余り褒められた事では無いと理解はしているが、最近は本数が増えるばかり。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 海外に数多生産拠点を持つ己の一族は、今回の王国の争乱を商機と捉え、大々的に商品を売り込み始めた。
食料、鉱石類は勿論。奴隷、武具、嗜好品の類まで。民生品から軍需物資まで、大量の物資が王国へ流入する。その膨大な物流を捌く労働者は勿論の事、取り仕切る者すら足りなく為るほどの好景気。
「…とはいえ、勝ったところで得るものの少ない戦。此方が潤うのは良いが、王国の財務諸表は悲惨な事になるだろな」
人手不足故に、王国側の本丸たるダイラスの担当に嫡男たる己が派遣される程となっては、国外の拠点を飛び回る父親を含め一族の重鎮達は笑いが止まらぬ事だろう。
それは結構な事なのだが、結局これらの物資の最終的な請求先は王国政府という事になる。
つまりは、王城の金庫から金を吸い上げている様なもの。その金の一部は此方が出資しているのだから出来の悪いマッチポンプですらある。
「…何にせよ、終わった後を考える方が頭が痛いな」
深々と吐き出した舶来の煙草の紫煙は甘い。
漸く落ち着きを見せた作業風景を眺めながら、労務に励む冒険者達にも何か餞別が必要かな、と思考を巡らせていた。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 紫煙を煙らせていれば、再び己に駆け寄ってくる人影がちらほらと。彼等が抱えた書類の束に溜息を一つ。
「…まあ、是も仕事。意味の無い晩餐会などに参加するよりはマシというものだろう」
かくして、少年の波止場での一日は続くのであった。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 静けさ漂う、人気のない夜の倉庫街。
立ち並ぶ倉庫の間の路地を、腰に明かりの灯ったランタンを下げながらざしざしと
歩いているのは特徴的な銀色のジャケットを羽織った金髪の男。
「──くーぁぁぁ……」
男は歩を進めながら、誰も見ていないのを良いことに盛大に欠伸をかます。
……いや、この男の場合見てても構わずやるのだが。
男は倉庫街の警備の依頼を受けてこの場におり、今は怪しい人物などがいないかどうか
警邏している最中である。
とはいえ、今の所不審な何かが見つかることもなく、男は暇であった。
「ンン……何もないのは良いことではあるが……うぅむ、屯所に戻って寝てようかなもう」
などとため息混じりにボヤキを漏らし。退屈そうな面を下げたまま、ダラダラとやる気なさそうに巡回を続けてゆく。
「……む?」
そんな男の目の前に、通りの角から躍り出る影があった。
パチクリと軽く瞬きしながら、男は腰からランタンを外して持ち上げ、その影を照らして姿を明かそうとし。