2017/02/20 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にウェーバーさんが現れました。
ウェーバー > 「どうした旦那、酔いは醒めたか?そら、帰り道はあっちだ」

夜も更けた頃、見慣れない船を見咎めて興味本位で近づいた酔っ払いの前に、大きな影が落とされる。
赤ら顔の酔っ払いの前にその巨躯で立ちはだかっている男は、低くドスの効いた声で問うていく。
すっかり気圧されて酔いが醒めたらしい様子を厳めしい表情で睨みつけながら、その肩を押して酒場のある方向へと向かわせていく。
その酔っ払いが慌てて去っていくのを見届ければ、男は咥えていたパイプの煙を吹かして大きく息を吐いた。

さる貴族が取引のために、港に停泊している船に出入りする間の警備を依頼された男は、今もこうしてその船の周りの港を巡回するように歩き回って、近づく者を追い返していた。
船の周りには自分の他に、何名かのゴロツキもいいところな護衛たちがうろついているが、内部は流石に騎士などが詰めているのが遠目に見えた。

「人手が足りないと言うよりは、大っぴらに話せないことでもあるってことか」

わざわざ、男を含めてお世辞にも行儀の良いとは言えない連中に人払いをさせている貴族の意図が薄々察することができた男は、再び仄かな灯りに照らされている港を見渡していく。
近づく者は誰であれ追い払えと言われていたが、これがもし何か後ろ暗い取引の現場で、騎士団でも押しかけてきたらと考える男は、それほど真面目にこの依頼を完遂する気はなかった。
何も知らせる気は雇い主にもなかったようであり、それは男にとっても好都合なこと。
パイプから燻る煙草の煙が、港を照らす灯りで姿を見せて、すぐ夜の闇に溶け込んでいく。