2017/01/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にジアさんが現れました。
ジア > (工房見習いならば、工房で武器を作り続けることが大事であるものの、高齢の親方と数人の職工しかいない小さな工房はそもそも連日稼働できるほどの体力もなく。
そんなわけで目下見習い卒業を掲げる少年は、今日も今日とて日は上っているが肌寒い海辺の町を貨物を運んでいた。)

「はい、これ船長が渡してきた伝票です。
まだ港に停泊してるんで、不足とか抜けがあったら直接船長に文句言ってきてください、それじゃ」

(船着き場に出張所を設ける商人に、運んできた香辛料の袋などと一緒に伝票を押し付けた少年は、殆どひったくるように運び賃を受け取っていそいそと袋に仕舞っていく。
変に気を利かせて余計な時間を取られている間にも、積み下ろされた貨物は次々運びに出されてしまう。
それは収入減に直結するため、足早に船まで戻ろうと港町の道を走る少年は、あまり周囲が見えておらず注意散漫となっていた。)

ジア > 「えーっ、もうなくなったの!?」

(港に戻った少年は、さっきついた船の積み荷がすっかり全て運び終わったと知らされてがくりと肩を落とす。
そこまで重くないわりに高価な香辛料は、運び手にも人気であり、事実少年もそれに目をつけて競争を勝ち取ったのだが、さらにもう1回とはいかないことに落胆する。)

「ええっと、道具代はともかく、工房の貸し作業場が1日これだけで、燃料がこれだけ、材料がこれだけ…。
うーん、もうちょっと足りない…」

(昼下がりになれば他に着いた船もなく、荷運びの者たちが散り散りになっているのに合わせて、少年も交易品が立ち並ぶ市場を歩く少年は指折り数えながら必要額の計算をする。
そして得られた結果にまたもがっくりと肩を落として嘆いた。
せめて生活費をもうちょっと節約できればと思う少年も、最近は色々あって道端で寝る日が減ってきていた。
掛かる費用は抑えられれば、あとは儲けが大きくなればいいのにと思うだけならいくらでもできたものの、上手い話がそう転がってもおらず、とぼとぼと少年は市場を歩いてそこに売られているものを遠巻きに見つめていて。)

ジア > 「お、これは……」

(色々と立ち並ぶ露店をぶらぶらと眺めていた少年は、異国のお守りといった装飾品を扱っている交易店に目が留まった。
手先の器用さといった技術面の他に、装飾品のセンスなどを見て盗むことができれば、武器しか作れない鍛冶屋だけでなく、装飾品によって儲けることもできそうに思えた。
早速様々な装飾品の中で、高価な輝石をはめ込んだものは最初から眼中になく、金属細工のものに注目していく。)

「これもいいけど、これも、うーん……」

(他にも客がいるため、じぃと装飾品を眺めている少年を商人は気にすることもなく目下の接客に追われていた。
一方少年も、自分の技術とデザインとを相互にイメージしていき、加工に適した材料などを勘案に入れていく。
工房ではなかなかできない作業であるだけに、熱が入って見つめる表情も真剣になる。)