2016/11/02 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にカイオクスさんが現れました。
カイオクス > 日没より数刻……ひっきりなしに出入りを繰り返す無数の船とそれにまつわる人間たちで日中あれほど賑やかだった船着場も、この頃になるとすっかりまばらになり、聞こえてくるのは潮騒と海風の音、そして……。

『おおい、若いの、もういいぞ!おかげで助かったよ』

他の船が灯火を落とす中、いまだに未練がましく灯を焚いていた一隻の船、その傍らには荷を満載した荷車がつけられ、そのまた隣では灯火の薄明かりに照らし出された巨漢と、それに話しかけている老人が1人……。

カイオクス > 『いやー、荷降ろしの連中が軒並み食中りとはなあ……けど、お前さんが通りかかってくれて助かったわい。何せこの荷、今日中に降ろしちまわねえと大損するところだったからなあ』
「私もちょうど次の船便まで手空きだったので、なにか仕事がないかと探していましたから……。」

荷車の横に立つ青年は布切れで汗をぬぐいながら、老人の言葉に温和な微笑を浮かべつつ頷き……そして汗を拭き終えたところで荷車を縛る荒縄の結び目と締まり具合をもう一度確かめ……大丈夫、という風に荷物を軽く叩いて見せ。

カイオクス > 『しかし……お前さん、あれだけあった荷物を1人で降ろしちまうとはなあ、いやはや、とんでもねえ強力だ……仕事にあぶれたらいつでも訪ねてきてくんな、お前さんなら大歓迎だよ。……さて、あとはもう驢馬で倉庫まで引いていけばいいから大丈夫だ、世話になったなあ、若いの……こりゃ少ねぇが、今日の礼だ、取っといてくんな』

待たせておいた驢馬に荷車を結わえ付けながら、老人は青年に冗談半分、本気半分といった調子で語り掛け……どう返したらいいものか、と困惑気味の青年の様子を見てひとしきり笑い声を上げ……それが収まったところで懐から小さな袋を取り出すと、それを巨漢に半ば押し付けるようにして渡し、歳の割には身軽な動作で荷車に登ると、青年が何か言おうとする前に荷車を発たせた。

カイオクス > 「行ってしまった……やれやれ、元気なお年寄りです。……って、うわ……!こんなに……!?」

荷車に揺られながら後手でひらひらと手を振る老人を、あっけに取られたように見送った青年だったが、ようやく我に返ったか、押し付けられた小袋の紐を解いて中を改め……たはいいが、そこに入っていたのは数枚の金貨、荷降ろしの日当にしては破格のそれに思わず小さな声が上がり……。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にリュウセンさんが現れました。
リュウセン > 船着き場にこそこそと蠢く影。さっと物陰から物陰へ移動をしていく小さき影。

日も落ちた時間帯の為 ヒトの流れも少なく、死角になる木箱やら倉庫街であるからして
そこを蠢く小さき影は 次なる物陰へと飛び出し― 着地地点を見誤り、そして


どすん  ごろごろ  びたん。


受け身を取り損ねて カイオクスの近くに大の字に転げて止まった。

カイオクス > 「……今更返しに行くわけにもいかないし、取り合えず食事なりなんなりしてから考えよう。」

小袋を懐にしまいながら、荷車が去った方角……もう影さえも見えない老人に小さく頭を下げ。そうして係船柱に立てかけてあった己の獲物、愛用の双剣を背中と腰、それぞれに佩くと外套を羽織り……。そのときだった、青年の近くで轟音が響いたのは。

「……!?」

佩いたばかりの得物に反射的に手が伸び、何が起こっても即応できるようにわずかに身を沈め……そんな警戒態勢の青年の目に映ったのは、石畳を転がる人影。それが何者であるかと考える前に、青年の巨躯はその影に駆け寄り。

「大丈夫ですか?!」

リュウセン > (失敗しました)

轟音といかなくても派手に音を撒き散らして落下し、色々と激突をし転がった小さい影は
暫く動かなかったが むくっと起きようと体に力を籠め顔を上げ首を動かし

「あたたたっっ  え、はい。大丈夫です??」

上半身を起こそうとしたら 巨躯の青年が駆けよってきた、声をかけてきたので条件反射的に声をかえそう。
あれだけ転がったのに狐面は割れていないし、拵も手に握られたまま。
見た目はどう見られようがいいが、此方はまじまじと青年の姿を見たと。

(大きいね。 うん…)

カイオクス > 木箱や樽、あるいは解き捨てられた荒縄や麻布、そういったものが散らばる中を転がる人影。取りも取り合えず駆け寄り、膝を折ったところで、青年はその人影の異装に気づき。

「それならよかった。……なにやら深い事情がおありのようですが、ひとまずは……。」

獣の面を着け、片手には短刀と思しき武器……それだけでも剣呑だが、仮面越しに聞こえてきた声は明らかに妙齢の女性のもの。青年の脳裏で危険を告げる警報が鳴り響くが、青年の取った行動は、起き上がろうとする狐面の女性に手を差し出すことだった。

リュウセン > 久方振りに人に化けて 一寸したお仕事をした後の移動の矢先だった。
…辺りをさっと見渡した、木箱 樽 荒縄 麻布 他雑貨の残骸。色々な意味で散らばり壊してしまった。
そして 日も落ちているので明かりもめぼしいから、夜目が利かないと見えずらいのでは。
此方は暗がりでもはっきり見えるとある能力があるので 彼の風貌はくっきり見えているが。

「  いつものことです。…ちょっと ええ、 お仕事の帰りです…あ、どうも。」

シェンヤンとは違う東の果てに伝わる服装に身を包んでいるのだ、珍しい方とは思う。
仮面はしてはいるが形状、大きさ的に口元は見える。仮面越しに彼の行動を見ていたが、手を差し出されれば
その手の上からやんわりとほっそりとした手を重ねて立ち上がろう。

(…仮面越しは 失礼か。流石になぁ)

立ち上がるのを手伝って貰ってから 先ずしたのは 仮面をずらして素顔をさらすことだった。

「手助け感謝申し上げます。名も存ぜぬ殿方。」

右手を左胸に宛がい、鮮麗された動きでもって 会釈をするかのようなお辞儀を。

カイオクス > それにしても、だ……あれだけの音を立てて石畳にぶつかり、派手に転がっていながら、その声からはさほど動揺も、あるいは苦痛の響きも感じ取れないことに内心で驚き。普通ならば大の男でも立ち上がるどころか、まともに口も利けないであろう……それをこんなほっそりとした手の女性が、である。目の前の人物の事情はわからずとも、少なくとも並ではない。そんな内心の驚きを隠しつつ、青年は女性の言葉に笑顔を返して。

「いえ……私はむしろ余計なことをしたかもしれません、そのお姿、人の目につけば面倒なことになりかねないでしょうから。」

顔を隠し、得物を持って夜の港にいる……夜盗か、それとも暗殺者か。どちらにせよ誰かに見られてはまずい事情がありそうだ、にもかかわらず獣の面をずらし、自分に素顔を晒す……その感謝を微笑で受け入れつつも、青年は「いざ」というときへの備えを身体にとって。そんなあるかなしかの微かな機微が、青年の巨躯に動いて。

リュウセン > 特に問題がない。その正体が人の轍を超えし存在であり、人を欲の坩堝へと誘う魔の囁きにして魔王が一柱。
それが今現在 ヒトの姿をその身に纏い蠢く小さき影。今の状態は外面は完璧に人に繕い、気配もヒトそのもの。
ただし頑丈さだけはヒト非ず。…怪しまれただろうか。当初から既にその辺破綻している気がする。

「……姿は見られても左程 問題にはならないのです。…今宵の事は一抹の夢物語の一幕と思って頂ければ。
 そう、貴方様次第ですね。……今宵の事は。お口は堅い方ですか??」

一寸した闇のお仕事も確かにしている。暗殺者としての腕前は此処最近仕事を引き受けていなかったので鈍いかも知れないが、
顔を見られても左程問題ではないのは。  覚えられても問題はない。
覚えて恐怖を抱かれても、忠実に「お仕事」には支障がないという自信のあらわれよう。

少し微笑んで見せたが、何気ない言葉の裏は 下に悍ましい代物。

「面倒な事に成りましても 辺りに 気づかれぬ様に 「お仕事」致しますから。」

まだ 少女の形をした何かは にこやかに 微笑んでいるのだ。

カイオクス > 「……私はこんななりをしているのでよく誤解されるのですが、とんでもない臆病者なんです。荒事は避けたいほうですから……。」

問答無用で口封じ、とならないのなら、少なくとも交渉の余地はある。ましてやその選択肢を此方に与えてくれているのだから、自分の出方次第ではことは荒立たないだろう……そう思案をめぐらせた青年。その巨躯からあるか無しか、といった緊張が、完全に消え……。

「……とりあえず、この場を離れませんか?人気がないとはいえ、あれだけの大きな音がしたら、物好きがひょっこり顔を出すかもしれませんし……。」

リュウセン > 「それが策略でしょうか? 見た目と中身が違う点で誤解させて ズドン はよくありうるお話なのですが」

いえ、問答無用で口封じなら もうとっくに行動をしている。姿をあんな風に見られている時点で 拙ければ即断殺なのだ。
それを致さないのは ヒトになりきっている現状 少しでも交渉をして有利な形で折半したい、だった。
正体が正体なので 極力 血と殺戮と悍ましい光景は晒したくはない。

笑顔で彼を見上げていた少女の形をした何かは 提案に笑顔が消え 真面目?な顔に戻すと

「そうですね、離れると致しましょうか。どちらに移動をするのです??  どちらでも構いませんよ?」

お決めになるのは そちらさんですよ、とひらりと手を振って。

カイオクス > 「仮にそうだとしても、そう簡単に裏をかかせてくれるような方ではなさそうですし。」

人によっては首筋に白刃が押し当てられているかのように感じるかもしれない少女の言葉。しかしそれを受けた青年は、というと、そういうやり取りを楽しむように笑みを浮かべたまま。

「……こんな時間にこんなところにいたのも、実は先程までそこで荷物の積み下ろしをしていたからで……どこかで腹ごしらえをしたいところなのですが、あいにくこの町には詳しくなくて。……美味しい魚料理を出してくれる店など、ご存じないですか?」

場所を移そう、という青年の言葉に対し、笑みを消して答えを返す少女。が……巨躯の青年はちら、と先程まで荷下ろしをしていた船に視線を向けてから、それを今度は少女へと向ける。そして続いた言葉は、なんともまあ色気のないもので。

リュウセン > 「そうですね この姿も仮初の姿ですから 私の裏をかける方は貴重ですわ。」

言葉遊びは楽しんでこその言葉の駆け引き。暫しこの殿方との言葉の遊びに付き合おう。
少女の形をした何かは今はまだ何もしない。そちら、と彼の示す方を見てゆっくりと視線を戻し

「ああ。夜間の積み下ろしは難しいですからね。日が落ちるまでにやらねば。
 …仕方ないですね、私のシマの店に案内しましょう。此方ですよ」

すっごく間が空いた。考えた。一応 表立っての仕事は此処にも拠点がある。拠点の一つにしている店へと案内すべく
彼を魚と酒とが楽しめる漁師飯が出そうな小料理屋へと案内していっただろう。

カイオクス > 「……この国に来てまだ浅いのですが、本当にいろいろな方がいらっしゃいますね……。そんな方が案内してくださる店、どんなお店か楽しみです。『当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください、ことに肥ったお方や若いお方は、大歓迎いたします』とかでなければ……。」

自分で自分を「仮初」といって憚らない、そんな謎めいた少女に対し、青年は怖気づくどころかむしろ興味津々、といった様子で冗談交じりに言葉を返す。そうしてひときわひんやりとした夜の海風に外套をたなびかせながら、少女の後ろを大きな人影がついていくのだった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からカイオクスさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からリュウセンさんが去りました。