2016/05/15 のログ
フィリオソリス > 「ふむ。くるしゅうない」

自然に手を取ったことに感心しながらもそのまま手を引かれるようについて行く。

見送る商会の人間は何ともいえない顔でかたまっていた。

キルド・ニッヒド >  
連れてきたのは――豪華なレストランな、わけがない。
ちょっとした路地裏に入ったちっちゃな、ちっちゃな
ちょっと小汚い、酒場。人は、まだ昼過ぎだからか少ない――

が――バターのとける良い匂いが狭い店内に広がっていて。

「ますたー、おじゃまする。わいんと、いつもの。おねがい」

入るやいなや、そう声をかけると。

『おや、久しぶりに来たかと思えばガールフレンドか? わかった。いつもの席に居な』

中から声が響き――
席まで手を引き、着けば離して。

「……がーるふれんどって、なんです?」

首を傾げた

フィリオソリス > 「ガールフレンド……言葉を聞くに女友達かのう」

促されるままに席に座るとキョロキョロと店を眺める。
値踏みしているというわけではなく単に物珍しいのだ。

今までは見たとしても露店程度だったので、こういった飲食店というもの自体が初めてに近い。

かぐわしくかおるバターの香りは
つい先ほど食べたキャタピラーのステーキよりもさらにそそるものがあった。

キルド・ニッヒド >  
「……ともだち。ふぃりおそりすさま、ともだちです?」

首をかしげた。どうなんだろうと、また眉を八の字にする。
中もやはり、新しいとはいえないし。ちょっと様式も古い。

が、”良さ”を感じる。そんなお店だ。
そして少しすれば――

『はいよ、鮮魚のポワレだよ』

マスターと呼ばれた翁が、大きな大きな焼き魚を持ってきた。
芳しいバターと、香草の香りがたまらない。
それと一緒に、ワイングラスが2つとボトルが一つ。
よくもなく、悪くもない。二流止まりのものを置いて。

「これ、おおきくて、おいしくて、たべごたえあってすきなんです。おすすめ」

とぽとぽとワインを注ぐ。どうぞ、先に食べてと目で言いつつ。
食べるのを待っているようだった

フィリオソリス > 「うーむ……なんじゃろうのう」

……

悩んでいる打ちに料理が届く。

「ほうこれは……」

思わず悩んでいた内容がどこかに飛んでいってしまった。

期待のまなざしにおもわずそのまま手が伸びる。
なにせいままで食べてきたものが串ものかおかしていどである。

料理を持ってきたマスターがぎょっとした顔をしているのが見て取れるだろう。

キルド・ニッヒド >  
「……なんでしょう」

オウム返し。そしてわしずかみしようとしたのを
やんわりと手を握って、首を横に。

「てでつかまないです。これ、つかいます」

フォークとナイフを示して、そっと手を離す。

「こういうのはじめてでしたっけ。じゃあ……」

かちゃかちゃと、小さく切って。フォークで差し。

「……はい――」

差し出す、ダンジョンでもやったあーんだ。
マスターが今度はほぅっと呟いて自身の顎ひげをなでた

フィリオソリス > 「なるほど。これはそう使うのか」
飾りかと思った、と差し出された切り身をパクリと食べる。

躊躇のないその姿にマスターと言わずまわりの客もなにやらニヤニヤとしながら見ているようである。
顔なじみと言うからには『へーあいつがー』とか『うまくやりやがってー』なんて思っているのかもしれない

「これまたうまいのう」

目を瞑りじっくりと味わう。
ほんのり頬が赤く染まっているようだ。

キルド・ニッヒド >  
「……じぶんでたべますか?」

首をかしげつつ、切り分ける。
魚の旨味がぎゅっと凝縮されて、濃厚なソースはまた旨味がつまってる。
旨味に旨味の掛け合わせ。さらに、皮のザクザク感が魚のふんわりとした食感を際立たせて――

「わいんにぴったり、すごくおいしいですよね」

そのまま自分も、そのフォークでぱくりと食べた

フィリオソリス > 「ふふふ。我をあなどるでないぞ」

見よう見まねでナイフとフォークを使い魚を切り分けてパクり。

少々ぎこちないが問題ないようである。
どやっとした顔を向ける

キルド・ニッヒド >  
うまく使えた姿に、自分のことのように喜んだのか。
目を細めて、小さくぱちぱちと拍手。

「おくちにあって、よかったです」

ほっと一息ついて――

『さぁさぁ、次の品は――』

マスターは、そのほほえましい姿をみて、次々と品を持ってくる。

食べ方を教わったり、逆にいろいろ教わったり。

また一歩、少年と少女は近づいている、そんな気がした

フィリオソリス > 「うむ、満足じゃ」

飲み干したグラスをテーブルに置き食べ終わって一言目である。
少し遠くからマスターの『よかったですー』と言う声が聞こえた。

そして席を立ちながら

「これならまた誘われても良いぞ」

とのたまう。
ご飯に行こうと言いだしたのは自分であるというのに。

ともあれ、エスコートは成功のようであった。

キルド・ニッヒド >  
『今日は出世払いということにしといてやる』

スレ違い時、そんなことをマスターに言われ。

「ありがと、ます―― あ、まって。まってください、ふぃりおそりすさまー!!」

先行く少女を追う。まだ少年の、まるで犬のような追従は終わりそうもなかった

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からキルド・ニッヒドさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からフィリオソリスさんが去りました。