2016/01/31 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にハーディさんが現れました。
ハーディ > 倉庫街の近くに人だかり。屈強な男たちが背中合わせに輪を作り、周囲に目を光らせていた。
それらに守られながら、商人と思われる数人、いや十数人が話をしている。
がっしりとした男、ふくよかな女。揉み手をする老人、あるいは年端もいかぬ少年の姿。その顔触れは人種も民族も、まさに多種多様だ。
──やがて、商談がまとまったのか、指を折りながら、あるいは小袋を手に、めいめい、バラバラの方向へ散ってゆく。何人かは眠らぬ街へ、夢を買いに向かうようだ。

そのうち商人の一人が、護衛を2人連れ、ぶらりと奴隷市場に立ち寄った。
見たところ、頭にターバンを巻いた異国の者のようだ。

「やあ兄弟、景気はどうかね」

ハーディ > 売り子の一人に気さくに声をかけ、指し示す先に所有主を見つけると、今日の品揃えを一通り聞く。
相手は商人の身なりから資金力を判断し、ここぞとばかりに値の張る奴隷を勧めてくる。

「俺か?マァそこそこさ。それより、今日の品を見せてもらえるかい。
……なんだ、出会い頭にずいぶんと吹っ掛けるじゃないか。そんなに飢えているように見えるか?」

相手がちょっと慌てた様子を見せると、手を振ってくっくっと笑う。

「わかったわかった、確かに別嬪だ。正直、買いたいのはやまやまなんだがね。
今のところは荷担ぎをさがしているだけだ。往路の途中で海賊にあっちまってなあ。幸い俺は怪我もなかったが、盾にした奴が何人か使い物にならなくなって。
ま、こればかりはしょうがない。悪いが、手ごろな価格で体力バカは居ないかね、容姿はこの際どうでもいいから」

ハーディが心底残念そうな目で丁寧にことわると、店主はしぶしぶ提示された条件で奴隷をリストアップし始めた。

ハーディ > 「あァそうだ、モヤシと爺婆は除外してくれよ。判ってることをいちいち言うなって? くくく、こりゃあすまん。
じゃあまあ、とりあえず、そうだな。8番と15番、18番を見せてもらえるか」

──繋がれた者たちが鎖をひかれ、引きずられるようにして連行されてくる。少年と青年が一人ずつ、それに少女……いや、よく見れば人間とは違う耳、尻尾が見える。ミレー族というやつか。
皆、一様に表情は暗い。それらを一人ずつ品定めし、時には腕や足に触れて肉付きを確かめている、
ハーディは少しの間、無言で自分の髭を右手で弄っていたが、やがて口を開いた。

「ふうん、少々目つきがよくないが、まあ、許容範囲だろう。
15番は2桁までなら計算もできるのか。それくらいならいいか?あんまり頭回ったり手癖悪いと心配なんだが。
その辺は魔法の首輪でもつけるとするか、よし買った」

金を渡し手続きを続けながら、ふと思い立ち売り子に尋ねる。
しばらくして商人用の宿をいくつか聞きだすと、相手の袖に小金の入った袋を滑り込ませながら、礼を言った。

ハーディ > すると売り手は表情を崩し、宿を決め次第ご連絡ください、品物連れてまいります、と申し出てきた。
それを有難く受け、とりあえずの目的は達したと、一安心をする。

「さて、お次は宿探しといくか。
2人とも、着いたら酒代やるから、それまでよろしくな」

そう、護衛に声をかけると、案内された方角へ、足早に歩いていった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からハーディさんが去りました。