2015/11/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にツバキさんが現れました。
ツバキ > 船着場に一艘の船が辿り着く、港から港へと航海する普通の旅船だ。
この港湾都市を目的とする様々な者達が降りていく、その中に少女は紛れていた。
与えられた任務はこの国の情報収集。
それが実は体のいい厄介払いだとは本人は分かっていない。

期間は決められてないからか、気分的にはかなり観光気分。
船の長旅を終え、ぐーっと大きく伸びをする。
さて、何か面白いものはないか、とさっそく脱線した考えを浮かべながら船着場を後にする。

ツバキ > とりあえず、まずは…ごはんをたべたい。

そんな考えが頭に浮かんだ。
長々と船内食ばかりだったのだ、何かちゃんとしたものを求めて歩みを進める。

きょろりきょろりと辺りを見渡し、少し歩くとまた周りを見渡して。
どう見ても田舎から都会にやってきたような行動である。
というよりも、店の構えの違いもあってか見ただけでは分からない。
頭に?マークを浮かべているような仕草、なかなか食堂は見付からない。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」に『触手ちゃん』さんが現れました。
ツバキ > 頭に浮かぶのは白米に漬物にお味噌汁、和食である。
はたしてここにそんなものがあるかどうか、疑問ではあるが。

しばらくの間歩いているも、どうやら道が外れているのか見付からない。
どうしたものかな、と考えていると、ふと何の関係もない民家らしき建物から美味しそうな匂いが漂ってきた。
自然とふらふらーっと足はそちらへと向いてしまう。

その匂いの元、その建物の中では食事の準備中なのか窓から忙しく動いている女性が見える。
テーブルに並べられているのは湯気のたったシチュー。
和食じゃない、和食じゃないけどこれでも良いかな、と少女は考えた。

『触手ちゃん』 > この辺の港町は治安が悪い。
どれくらい治安が悪いかといえば、
例えば酔っ払いが人を殴ったり。例えばスリや強盗が多発したり。例えば奴隷船が横行したり。
例えば―――。

(…ほう。)
「やぁ、可愛いお姉さん。」

ナンパが横行もしたりも、する。
ふらふらとした、明らかにこの場所になれていない素振りと、
それからこの場所に似つかわしくない多少の幼さを残した女の子。
こうやってフラフラしていると、多分この街で目を付けられるのは必然やもしれない。
此方へと渡海してきた彼女は知る筈もなかろうが、ここは多分そういう場所。
ただ、一つ普通のナンパと違うのは、声をかける側がかーなり幼い見た目と言う点にあろう。
その正体は、ただの魔物で、ちょっと海で自身の一部の魔物を補充した帰りにナンパしに寄った、みたいな感じだそう。

「道に迷って、しまったのかな?」

幼く中性的ながらも何故かキザったらしい声色と、すまし顔。
ふらついてそちらの民家の窓や匂いにと気を取られていよう少女に片手を上げて、
純粋な笑みを作って向けた。

ツバキ > ではさっそく中に入って…と、そんな事を考えていた矢先、横から声がかかった。
可愛いはともかくとして、声の感じからお姉さんは自分も当てはまってる気がする?
くるりと顔をそちらへと向け、その相手を見る。
この場所に似つかわしくない女の子、らしいが…この地に来たばかりの少女にはそれは分からない。
じーっと女の子を見てから、きょろり、きょろりとまた辺りを見渡す。
それらしい人物は居なさそう、そこまで確認してから改めて女の子へと顔を向けた。

「もしかして、もしかしなくても、その可愛いお姉さんってのは私の事?」

自分を指差し示すようにしながら、女の子に聞いてみた。

『触手ちゃん』 > よく勘違いされるがこやつ、男の娘。ロングスカートなのに。長髪でおさげなのに。
割合チビな『触手ちゃん』としては、彼女が視線が右往左往するのを同じ目線で見る事は出来ず、
暫し見上げてそれを待つのみである。
基本的にナンパをかけた際の反応は完全無視か適当にいなされるかが普通なのだが、
如何せんこの中性的、というよりは女の子らしい格好や立居振舞と声色から、
一般普通のチャラ男の様に突っ撥ねられる事はない。
辺りはやはり、荒くれた海の男や酔っ払い、それとか少々如何わしい人とか。
それくらいしかいない。そして、何より目線はと言えばキッチリとこの国には稀有な真っ黒ストレートヘアに向かっている。
彼女があっちこっちへ目をやる間少々くすりと笑みを溢してその目の行方を追う。
…といって、『触手ちゃん』は本当にその目の先を見ているわけでもないのだが、少なくともそういう仕草を取る。
漸く視線も落ち付いて、互い視線を交えれば。

「うん。もしかしなくてもお姉さん、だよ。」

その指に加えて、自身の指も付け加えて彼女を指差し、頷く。

「ええっと、こんばんは…かな。」

空色はどうやら。何分彼女にと声をかけたことを確認してからやっとの御挨拶。
倫理観が完全に崩壊している『触手ちゃん』ではあるが、こうした常識はちゃんと持ってはいる。
ただ、その目的はと言えば、その辺の所謂チャラ男とか酔っ払いとか変わらないのが悪質。

ツバキ > 女の子…ではないらしいが、少女から見たらあくまでも女の子。
なので気付くまでは女の子としておこう。
その女の子の返答を聞けば、納得したのかうんうんと頷いてにっこりと笑みを浮かべた…浮かべたのは笑み。

「こんばんは…かな?ちょっとお話の前に一つだけ聞いても良い?」

相手の目論見や目的は少女には分かってない。
ただ、別の意味で少女には少しだけ引っ掛かる事があった。
なので、ぽんっと女の子の肩?に手を添えて、少しだけ屈めて視線を合わせるようにして聞いてみた。

「ここって人外の存在が普通に居るの?」

あまりにもかかる声が普通に挨拶としてかけられるような言葉だった。
なので、いきなり行動には移さなかったのだけど…
言葉次第で行動を考えよう、そう思いながら女の子の次の返答を笑顔で見詰めながら待って。

『触手ちゃん』 > 指差した彼女の方をじーっと見遣れば、何やら笑った。
真意はよく分からないが、多分好意的なものだろうと思っておこうか。

「んにゃっ。うん…?どうぞ。」
(距離がッ。…ぁー…やっぱ可愛いなぁ。)

『触手ちゃん』は上を向いたまま。
肩に手を置き据えられれば幼く高い声を漏らして、その目を見つめた。
シチューの匂いが漂う民家は向こう側。肩に手を据えられるなら、多分その距離は近いと思われる。
『触手ちゃん』の可愛い女の子を見分ける目は結構冴えている。無駄に。非常に無駄に。

「うん…?お姉さんの言う人外って何か知らないけどー…。」

質問されたことがよく分からない、と言った風な表情を取り繕って言い淀んで俯く。
自身の顎に手を置き据えて困ったような声色を奏で、首を横にひねる。

「魔物とか、魔族なら普通にいるんじゃないかなぁ?…よく分からないけどね。」
(はいはいはーい!!ボクでーす!!)

『触手ちゃん』は表情はハリボテで、幾等でも取り繕って偽ることが出来る。
基本的には連動しているが、意識一つでそれらしい表情を前面に押し出せる。
例えばこの様に内心でふざけたことを思っていたとしても、
顔はと言えば澄まして笑っている。
例え凝視したとして、ちょっと尖った歯が特徴的な笑顔に、控えめな笑顔を返すだけ。

「それにしても…どうしてそんな事を聞くの?可愛いお姉さん。」

彼女の服の袖口を摘まんで、クイと力なく引っ張って、俯いた顔を持ち上げて、また首を傾けた。

ツバキ > 女の子の次の返答を聞けば、やはり同じようにうんうんと頷いた。
笑顔は笑顔のままなのだが、どこか質が変わったような…自然な雰囲気を感じるかもしれない。

「ああ、うん、貴女みたいな子が普通に居たみたいだから気になって、ね?」

実は人間じゃないのは女の子を見た時点で何と無く分かった。
説明は難しいのだけど、人間とは違った気配…みたいなもので。
触手ではなくても人間以外ではどんな存在でも引っ掛かったりするのだが、それはまだ知らない。

そして、言葉の感じから大体の事は分かった。
少々ぼかした部分は見え隠れしていたけれど。
つまり、人外は普通に居る、それだけ分かれば十分だった。

「で、道に迷ったかどうか、だったっけ?
迷ってるっていうか、初めての土地だからお食事出来るところも分からなかったの。
貴女は、どこかお食事出来るところを知ってる?」

袖口を引いて首を傾ける女の子に、苦笑混じりに聞いてみた。
この少女に声をかけられなかったら、今の民家の食事が知らぬまに減っていた事だろう。
ある意味、触手に救われたのかもしれない。

『触手ちゃん』 > 作った表情、だったのは互いお互い様だったのかもしれない。
もっとも、人間的感性など欠如している『触手ちゃん』は、彼女の細部の笑みの変化になど気付かないだろうし、
仮に気付いていたとしても、それをわざわざ言葉に出すことはしない。不審そうに勘ぐったりも。

「…ぁー…お姉さん。ボクがそういうのだって分かるんだね。」
(ボクみたいな…ね。)

理由はよく分からないが、此方の正体や内面を見透かされているのだろう。恐らく。
といって、街でその気配を感じ取っていれば、恐らく人外は数がかなり少ないことが分かるだろう。
何せアイオーンだなんだと所謂人界に魔物が寄り付きにくくなっているから。
何処まで見透かされたかは兎も角、彼女の言う「人外」という幅広いジャンルの中の一員であることには間違いなかった。
この事については、あまり多くを言わない方が良いだろうと思う。
しかしながら、人かそうでないかは見分けられるのに、男か女かは見分けられなかったのは、割と初めてかもしれない。
いや実際触手に性別なんてないが。

「ん、ふふ。…ボクちょっと暇してたからね。可愛いお姉さん見かけたんで、つい。」

ついでに声をかけた理由も。随分とまぁおませさんである。何かそれ以上に問題がありそうだが、
見た目相応の幼少の子供が幾等か年上だろう彼女に声をかけたとするなら絵面的にはシュールかもしれない。

「ああ…そうだったんだ。」
(慣れてなさそうなのはすぐ分かったけども。)

『触手ちゃん』の目は人外である。その詳細はここでは控えておくが、少女が行く道に迷うその素振りも普通の人間とは比類にならない程鮮明に捉えていた。

「んー…お食事、かぁ。」
(この辺歓楽には事欠かないんだけどなぁ。…っていうか何普通に案内先考えてるんだボクは。)

向こうの海に海魔の触手仲間を吸収しに来た気まぐれでアテもなくお散歩だったし、
普段は自身の棲み処に引きこもりがちで土地勘もあんまりない。
一つ思いつくものとしては、湾港都市に足を踏み入れたら嫌がおうでも目に着こうあの馬鹿でかい歓楽都市。
非常に如何わしい施設だし、何故にあの人だかりに魔物である自身が参らねばならないのかと思いながら、
また俯いて考え始める。

(さて、どうしよう?)

1ボクの家に直接連れ込む→どう考えても怪しまれて討伐依頼出ます、却下。
2ハイブラゼールにご案内→こんな所に連れて行って、とか言われそうかな?保留。
3マイナーな食事店を探索→これが無難そうだよね。といっても、声をかけた手前うだうだしてるのもなぁ。保留。
4この場でPlay!→いやそれはいくらなんでも駄目だろう。却下。

ぐるりと無駄に高い知能で拙い選択肢を放り出して一周。暫しの沈黙。無意識に彼女の袖を引っ張る。