2023/02/19 のログ
ご案内:「セレネルの海」にカジャさんが現れました。
カジャ > ――セレネルの海。
王都マグ・メールに近しい場所に存在する白い砂浜。
珊瑚の死骸や波で削れた岩の成れの果てに埋め尽くされた砂浜は流木や人の背丈ほどもある岩などが流れ着き、流木を椅子代わりに腰をかけるカップルや、流れ着いたその岩を割って中に宝石が埋まってやいないかと探す非冒険者の人間がいるくらいには、比較的安全な区画となっている。

ただ此処も『比較的』安全な区画であって、完全に安全が保証されているわけではない。

冒険者がギルドからの依頼で安全確保の為に魔物を定期的に駆逐してはいるだろうが、それも実際に魔物が現れた事が少なく通常のクエストに比べると見入りも少ないために真剣に魔物を探して駆逐する者は少ない為に見逃されてしまう魔物がいる。

稀に、極まれにそうして難を?逃れた魔物が白い砂浜を目当てにやってくる一般人を襲う事例が年に数回、今宵はその数回のうちの1回に当たる――…この寒い時期に砂浜にやってくる人間がミレー族が、魔族や亜人の類がいればだが。

白い砂浜にどんっと転がっているそんな大きな岩。
砂浜の砂が潮風に流されて露になったのか、大波に押されて海岸に転がってきたのかは誰も知らないが、人の腰ほどもある高さでテーブル状に削られた舞台か或いは切り株にも見えないことも無い岩で、そこはまるで演劇の舞台が如く、空から降り注ぐ月明かりに照らされていた。

きらり、きらりと、平面の部分が月明かりを反射しているのは波でその月明かりを受け止める部分が波で磨かれて綺麗に平面状になっているからだけではなく、幾つか宝石に近しいものが埋まっているからである。

けども今夜はそれ以外の理由がある。
そんな滑らかな岩の表面を魔物が這い回っていた。
その名はカジャ、禍々しい蛇と書いてカジャ。
冒険者ギルドから生かしたままの捕獲クエストが随時張られているような有名であるが遭遇実績の少ない魔物であり、一説によれば魔物ではなく邪神の類の下僕や邪神自身の体の一部とも言われている魔物である。

禍蛇(カジャ)、そんな魔物は今夜は月光浴をして魔力を集めているのか、滑らかな岩の平面状にタコの形状をしている事をよい事に大きく体を広げて、体の面積を最大限に活かし、全身で月明かりを浴びている――…比較的穏やかな状態にいるのだが、獲物がその岩に埋まった宝石を目当てに上がってくるか、或いは目敏くカジャの姿を見つけて捕獲しようとするならば別である。

もしくは好奇心に負けて岩にあがる者もいるかもしれない。
その理由は千差万別あるだろうが、今宵はそれはその者の人生に致命的なものを刻むだろう。

さて、いかに。

カジャ > さて、今夜のセレネルの海には来訪者は無いようだ。
カジャは月光浴を一頻り楽しむと、岩の舞台から下りて何処かへと向かう。
近辺にある海底洞窟か或いは自然地帯のほうに行くのか、魔物は気まぐれ、何れの何処に行くかも気分次第である。

ご案内:「セレネルの海」からカジャさんが去りました。