2021/10/28 のログ
メイラ・ダンタリオ > 巨大な船 巨大な帆 全体は金持ちのカジノ船や商船で使われる類の大型船
人員は正規の鎧とカトラスを握る海兵 海軍ではなく 全員が船乗りや護衛と思われる出で立ち
中にはもちろん数を増やす為の雇われ者も多くいる中で、海に慣れた者らが擬態するためにそうしている

冷え切った海の中で、なぜ海路で荷物を運ぶのか それは需要に他ならない
毛皮や炭 樽酒に樽漬け 香辛料に“奴隷”
陸路が災害や雪で閉ざされる場所があったとしても、海の上は自由
暑いか寒いかの違いでしかない メイラは珍しく海上という場所にて
全身は鎧姿ではなく黒の一張羅と腰には一本の分厚い中ほどの獲物を下げている

冷えている大気 凪ぐ海風の強さは上へ行けば行くほど強い
それを帆が捕らえ、風を捕らえて先を進む
逆に弱ければ、速度が欲しければ下半で逞しい者らが帆を用いて漕ぎ始める

「海の上は不思議ですわね 揺れる大地とは言ったものですわ」

その言葉だけで、海に慣れていないと思わせる台詞ながら
狂人と謡われるダンタリオ 脚運びや、大きな揺れをバランスや足の位置
爪先や踵の向きを変えるだけで踏ん張り方も違うそれで耐えている

さて、目的は幽霊船 最近目撃例が増えているそれに対してながら
もちろん商船や奴隷船に化けて襲ってくる海賊 食料が何かの原因で不足し
水の代わりになるだろうエール樽や食料を、奴隷や希少品で交換を申し出る
載積量の少ない船まで、出会いは様々だ。

「幽霊船、楽しみですこと。」

片手には体を温める目的の甘く落としたラム酒とサラミ
ガブリと食いちぎったそれを咀嚼しながら、ラムを流し込む
表面を撫でる風はやわらぎ、余計な装備を身に着ける必要もない
そしてもとより、半魔と蔑まされる体は、それほどの影響にはまだないだろう。

ご案内:「セレネルの海 海上~幽霊船」にグレイスさんが現れました。
グレイス > その少し遠方、三時方向に航海する船二隻あり。
どちらにも翻る王国の海軍旗にずらりと並んだ側面砲列。海軍のフリゲート艦であった。

「ちっ…王国船か…」

その片方、フリゲート艦<デファイアント>の甲板。
メイラの乗る帆船を、それとは知らずに望遠鏡で覗きながら、グレイスはため息をつく。
海賊船か敵国船なら楽しく襲撃できたものを。

「それにしても…幽霊船なんて冒険者か何かにでも任せていればいいでしょうに」

彼女らの今回の任務は、この辺りの海域に跋扈する幽霊船退治。
しかし、そのような魔物退治は海軍軍人にとって実入りはあまりない。
何せロクなものを積んでいないし、船員を奴隷にも出来ない。
つまりそれらを売っての追加収入が無い。
まぁ、国の為ですから、と、長年の付き合いの副長が笑いながら窘める。

「はいはい、分かったわよ…ん?」

肩を竦めながらグレイスが答えた時、見張りが何かを指差しながら声を張り上げる。
グレイスがそちらに望遠鏡を向ければ、そこは不可思議にも、
極地的な嵐となっていた。

「幽霊船…!?」

猛烈な雨と波に紛れた中心部に、グレイスは辛うじてボロボロの船の影を見つける。それも一隻ではない。
噂に聞く幽霊船に違いない。しかも…奴がいるのはあの大型船の進路上だ。

「面舵!あの嵐に向かいなさい!<トライアンフ>にも信号!」

僚艦にも伝えるよう指示を出しながら、グレイスのフリゲートは全速で嵐に向かう。
大型船からも、そろそろ異様な嵐の様子が見えるだろうか。

メイラ・ダンタリオ > 幽霊船 海ではおなじみの 巨大な烏賊や海底神殿 魔の領域などに並ぶだろう
海の物語にでてくる話の一つ
メイラは今回 暴れる一つであり 船の命令権もなければ好き勝手に振舞うつもりもない
暴れる 暴れる ただひたすらに暴れて見せる

そうして王に褒めてもらう 海路の自由が少しは取り戻せるのならば
陸の戦も、海の戦も、メイラは楽しめる 暴れられる

ギザ歯が噛みしめるそれを開き、まるでトラバサミのような口元
赤い瞳と共に口元は三日月を描き、なんとも言えないビースト・スマイルを浮かべた
そんな中で、食べ終えた矢先で船長を含むバンダナ船乗り集団 擬態している水兵諸君らがザワついている

それは向こうに見える嵐もそうながら、もう一つ フリーゲート艦 ディファイアント
海の手の届く総てを手中に収め続けながら覇道を突き進む海の暴君
メイラが感心を抱くのは、他国船を全て狙うということ

そう、王国側の商い船やカジノ船も奴隷船も 全て王国のものであるならば
それは艦長 グレイス・アル・フォート の手には届かない 伸ばしもしない

それはメイラにとって逆鱗に触れるものではない
王への貢献を低める行いならば喧嘩も有り得たそれは、今起こることは無いのだ

船長らに近づくと、ダンタリオが傍に来ることに少しだけ顔をしかめる
それは狂人 狂犬といういわれのせいだ 王以外などどうでもいいというそれが
全員の顔を少ししかめている。

「海の上にもしわたくしがいたならば、ああなっていてもおかしくはありませんわね。」

海の利益を手に 敵を沈め、王へ捧げる
それもきっと悪くはないだろうと 噂にたがわぬ区別をつけた暴君の在り方
こちらへの意思も全く感じず、船長と共にあれは気にするほどではない そう感じると
改めて嵐を見やるだろうか 黒い雲 降り始めている雨

あの中へと船が入り込むことは本来ならばなかった しかし船長と共に
目の利く船員らが叫ぶ

『―――船長! 嵐の中に船影あり! 船影あり!』

救助か、と皆が一瞬身構えると、遠望を見つめるレンズが示す先
ボロボロの穂 軋みを上げている音が聞こえてきそうな 木肉の無い部分もある船
なにより甲板には見えている いくつもの骨や襤褸を纏う黒い肉の塊が

『目的の幽霊船ですな 帆の色 船首の像 間違いない。
 しかし、まさか複数とは……。』

船長が近づいていくにつれ、はっきりと分かる
一つ船の船長ではなく 複数を従える提督でもいるのかと。

「……大戦ですわねぇ……フフフッ 背中がぞわぞわしてきましたわ。」

こんな感覚、久しぶりだ
新鮮な場所にいるだけに、体が油断せずにいるのだろうか。
腰の一本だけで赴いたものの、また知己の鍛冶師に相談すればよかったか
と惜しいことをしたと思いをはせつつ、唇を嘗めた。

「……ディファイアントも同じ針路ですわね?」

利益の為と思ったが、幽霊船を見て同じ方向になる
周りには少しの怯えがあるのは、船の数だ
しかしそこに、あの名高い船が加わるとなれば 士気も増すというものだろう

「ふむ、中々骨のある艦長ですこと。」

直に互いに旗信号ででも、共闘を申し込みあうだろうか?

グレイス > 近付いてみれば、幽霊船団の全容が見えてくる。
それら一隻一隻は元が海賊船なのか、武装も大きさも海軍のフリゲートより小さく、
ズタボロの状態なのも相まってみすぼらしい船。しかし、数が問題である。
さらに言えば、結界のように纏ったあの嵐と、乗員であろうアンデッドどもも厄介だ。
と、なれば距離を取っての砲撃戦が一番だろうか。
そこまで考えていたグレイスに、メイラの乗る大型船を見ていた水兵が何かを報告する。
そちらに望遠鏡を向ければ、旗、信号旗が上がっている。

「……何考えてんのよ!?」

それは共闘の申し込み。イカれているのか。
幽霊船に遭遇した今、彼らは護衛対象であり、そうでなくとも民間船など無力そのもの。
グレイスは水兵に命じて、こちらも信号旗を掲揚する。

”貴船ノ進路ニ危険アリ。転舵セヨ”

<デファイアント>、<トライアンフ>の二隻は大型船に警告しつつ、嵐の近辺へ到達する。
反航戦。まずはすれ違い様に一斉射撃だ。
左舷の砲門が開き、よく手入れされた16門の大砲が姿を現す。
幽霊船側でも砲門が開いているが、アンデッドらしくもたつき、動きが遅い。

「撃てっ!!」

グレイスの号令で、一斉に砲火が放たれる。
鋼鉄の砲弾が、幽霊船の一隻に次々と突き刺さり、
その腐りかけの木材をへし折り、乗員をなぎ倒し、破壊していく。

メイラ・ダンタリオ > 海域を支配し 王の海へと塗り替えるディファイアント号
同じく大型帆船 擬態していると言えども砲を連ね 全員が持ち場にたどり着く
船に乗り込むのはもちろん、メイラ・ダンタリオが先頭に立つ 短めのカトラスを携えた水兵群

先に開戦を知らせるかのようなディファイアント号の砲撃が連なる音
火薬と鉄砲弾の向こうへと弾け飛ぶ音と共に、メイラは艦の様子を伺った

「……?」

こちらは大型の商船を意識した擬態であれど、海賊船と規模は変わらない
砲撃するための用意は左舷 右舷 両方に備えこうして剣撃の用意もできている
しかし、どうやら艦からしてみれば、大型帆船では役不足だと言わんばかり
二隻を用いての左舷一斉射撃による、素早い一撃を加え、更にもう一撃
それを行うまでの装填速度も速く、練度が行き届いていると言える。

「あら船長 わたくしたち気遣われてますわね。」

クスクスと笑めば、旗による連絡を見た船長が苦い顔をする
幽霊船退治も兼ねた海賊船や、他国の小遣い稼ぎ同然な荒っぽい真似事を沈める
そのための擬態された大型商船だというのに、まるで本当の商船のように気遣われていた

偶然居合わせることになった王都の海の支配者であるディファイアント号に比べれば頼りなかろうと
メイラは邪魔になるだけだろうと納得はしている
そう、砲撃船で対角に位置する瞬間に ああも見事に打ち込んでいるのを見ると
自身らが乗り込もうとしていけば むしろ砲撃の邪魔をすることになってしまうのだ。

「わたくしたちが近づくまででもない……?」

そうして打ち込む様子の跡で、相手の船の片方が使えなくなったのを見やる
しかし一船だけではないのだ
海賊らしく近づいて乗り込んで始末したところで、それは砲撃よりは遅い

『ディファイアント号らと斜線で交わる位置から砲撃用意!
 斜線で挟み込む形で砲撃の連携を取れ!』

船長は進路を変えて舵を切る


              ●●●
      
               ●●

                 ●
                     ↖
         ↗             〇
       〇             〇

互いの砲撃が×で重なるようにして、船を破壊していこうというのだ。
崩せるだけ崩し、向こうは向こうに任せるしかない
なにせ近づくことすら、この戦場では恥になりかねない。

そして向こうは二隻 こちらは一隻 互いに別々に船を相手取り始めるだろう
それはやがてこの雨が降り注ぐ中へと塗り替わっていく。

グレイス > 「離れない…ったく、余計な勇気出さなくていいわよ…」

幽霊船団に向け砲撃戦を始めた大型船を見て、グレイスは舌打ちする。
このセレネルの海で武装していない船は少ない。民間商船も海賊や魔物対策のために砲や護衛を積み込むのが普通だ。
例外といえば王族の所有する豪華ヨットぐらい。それにしても軍艦の護衛が前提である。
そして中には、冒険者ギルド等が所有する海賊退治のための偽装船舶もあるのは知っている。あの船もその手のものだろう。
では、それらと正規の軍艦の違いが何かと言えば、武装と乗員の質だ。

「連中が沈む前にとっとと片付けるわ!焼夷弾用意!」

グレイスが号令をかけると艦内では一斉に、専属の魔術水兵が炎魔法を唱える。
目的は、鋼鉄の砲弾の過熱。直接火で炙るより安全かつ短時間だ。
王国海軍の軍艦のほぼ全てには、王国中から集めた魔術師が数名乗っている。
直接的な魔法攻撃や、魔術を使った雑務、天候操作による操船の補助や、このような海戦の補助。
そんな専属魔術師を乗船させている民間船など、あまり無い。余程裕福な貴族の持ち物ぐらいだ。

「撃て!!」

グレイスの号令で、赤熱した砲弾が幽霊船に向かっていく。
そして、敵船に穴を開け中に転がり込んでいくと、その熱で周囲を燃やし始める。
船を形作るのはほぼ木材。幽霊船であろうとそれは同じ。そして、木材ならば加熱すれば火が付く。
名だたる大魔術師であれば直接火を放つほうが速いだろうが、並の魔術師よりは大砲のほうが長射程で正確だ。
そして、そのような砲弾がもしも、運悪く船の火薬庫などに飛び込んでしまえば…。

轟音とともに、幽霊船の一隻が爆炎を上げ、中央からへし折れた。

「よくやったわ!当てた砲手は後で酒瓶の報酬よ!」

笑顔を浮かべながらグレイスは、己の魔導サーベルを抜き放つ。
そして、幽霊船団の上に浮かぶ雨雲に、その剣先を向けた。
……彼女は、並以上の魔術師でもある。剣先から、魔法が迸る。
それは雨雲の結界に命中すると、それをかき消した。

「もっと近付くわ!手隙の水兵はマスケットを持って射撃用意!」

フリゲート二隻は進路を変え、幽霊船団に近寄っていく。
敵の砲撃も苛烈になるが、それ以上にこちらの砲弾がよく当たる。

メイラ・ダンタリオ > 【継続退室します】
ご案内:「セレネルの海 海上~幽霊船」からグレイスさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 海上~幽霊船」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。