2021/06/20 のログ
ご案内:「セレネルの海」に這い寄る粘水さんが現れました。
這い寄る粘水 > 穏やかなる海。
波も荒れることもなく、空は晴天。
街中ならともかく海という場所ではそう悪条件とはならない自然と水浴びの涼を求めやすい暑さ。

ただ、浅瀬や砂浜のある海辺ならば安全かと言われたら決してそういう訳でもないのはこの海の事を知っている者ならば周知の事実であろう。

海賊などの人も恐ろしいが、海には海の魔物もいるのだ。

そして、此処には海に限った海棲系の魔物でこそないが水気があり、涼しく湿ったところを好む魔物が獲物を求めて息を潜めていた。

ぴちゃり、ぴちゃり。
海辺から干潮時であれば徒歩で向かう事ができる洞窟に水が滴る音が響き渡る。

外と違い陽が当たらず薄暗いそこはひんやりと涼しく、人気が無いこともあって涼を求めたり人目を避ける者がやってくる事もあるそこを自分の狩場にすると定めた粘水の魔物は奇襲を仕掛けるのに適した位置である洞窟の天井に張り付きながらじっと獲物を待ち続けて。

ご案内:「セレネルの海」にアルシェさんが現れました。
アルシェ > 潮が引いた海辺は食材の宝庫
多少磯臭くなるのさえ我慢すれば、小魚や貝、海藻といった海の幸を比較的労せず手に入れることができる。
そんなわけだから、腹ペコ少女が王都近郊の海辺に出没する頻度は比較的高かった。

今日も籐で編んだ籠を腰に括り付けて、手頃な大きさの貝を見つけるや否や、放り込んでいく。
小一時間もすれば、籠の中には売るにも十分な量になる。

「このくらいで良いかな。さっそく味見しても良いんだけど……
 さすがにちょっと暑すぎ………」

雲ひとつない青空の下で、日除けに一応は麦わら帽子を被ってはきたものの。
初夏の陽気の日差しに対抗するには、やや物足りなかったらしい。
海水に濡れた足元は当然のこととして、身に着けたシャツも汗で肌に張り付いてしまっている。

ちょっとばかり休憩しようと、もう何度か通っている洞窟の方へと足を延ばす。
薄暗いその中は、外の陽気とは違ってひんやりと涼しく、持ってきた水筒を傾けるとごくごくと一気に煽り。

「ふぅ……生き返るぅ~~
 帰ったら、ご飯の前にお風呂かなぁ……」

べたつく肌を気にして、張り付いた服をつまむとぱたぱたと風を送り込み。

這い寄る粘水 > 海辺での食材確保に慣れていたからこそ、手頃な涼む場所として適している洞窟の存在を知っていたからこそいつものように洞窟に足を踏み入れてしまった少女。

暑さが思考を鈍らせたか、それとも慣れるほど通ったからこそ此処は安全であると誤認してしまったのか。

普段から此処に住み着いているのではなく、今日になって狩り場に定めたこの魔物という異物に気付くことなく無防備に水筒を傾け汗で流れ出た水分を補給する少女。

その煽る為に上げた顔、頬へぴちゃ、と一滴の水が落ちてくる。

海辺の洞窟ということもあり天井から染み出た水が落ちてくることはさして珍しくもないのだが、その水はただの水ではなく、ひんやりと冷たくはあったがぷるん、と触れば弾力があり、粘着質なものであった。

疑問に抱こうとも抱かずとも、ちょうど真下を通りかかった獲物を逃す理由はない。

ずるり、と重い体積の本体を天井に貼り付けていた魔物は音も無く天井から離れて少女一人程度難無く頭から足まで包み込める液状の身体で落下。
不意打ちで抵抗する間もなく体内に取り込もうと試みて。

アルシェ > 「ん……?」

額に落ちる雫
それだけなら、此処に限らず洞窟ではよくあることだから、気にも留めないだろう。
けれど、疑問の声を上げたのは、水にしては何だかねっとりとした感触がしたからで。

ただ、頭上を見上げてみても、ついさっきまで燦燦と降り注ぐ陽光の下に居たものだから、
暗がりに目が慣れずに良く分からない。
とりあえず額に落ちた雫を手の甲で拭い取る。

「なんだろ、ねばねばしてる……?
 ここで魔物に出会ったことなんてないんだけど……きゃぁっ!?」

拭い取ったそれをしげしげと観察していたけれど、不意に当たりが暗くなる。
それとほぼ同時に何かに圧し掛かられる衝撃が襲ってくる。
重量感はある。
けれど、衝撃の割に痛みは全くない。

急な重みを支えきれずに、しゃがみこんでしまって。
それでも腰に差した短刀を引き抜こうとするけれど、身体が重く思ったように動かない。
一拍遅れてひんやりとした弾力に包まれているのに気づき。

「え、な、何これ……ちょ、やだ……退いてっ! このっ!」

全身に泥水でも被ったかのような、ずぶ濡れ状態。
違うのは、それが粘つく液体であり、藻掻けば藻掻くほどに身体中に纏わりついてくることで。

這い寄る粘水 > もし事前に洞窟に潜む魔物について知っていれば事前に火打石を用いて火を起こすだけでもこの魔物はそそくさと逃げ去った可能性もあったが後の祭り。

仮に奇跡的に両手が自由となったとしても火打石に手を伸ばすことを一度纏わり付くことに成功した粘水の魔物は本能的に阻害するであろうし、質によってはもう火打石は水気に湿気って使用不能となっている可能性もあった。

籠の中身は倒れた衝撃で転がることはなく、代わりに粘水に浸かり、じわじわと採りたての食材はこれから行う自己増殖の繁殖行動の栄養として消化されていく。
空腹の相手からしたら折角汗水垂らして採取した食べ物を横取りされることとなり立腹案件であろうが、勿論食べ物の恨みを晴らしている余裕などなく。

身動ぎしようと振り解けず、寧ろどんどん少女の身体を包み、粘着質な液状の魔物は汗で張り付くシャツの襟から、裾からとその下にある未成熟な肌に迄這いずり回り、にちゃり、ぐちゅりと重く湿った音を立て少女の柔肌を嬲り始め。

次第に、ひんやり冷たい液体の温度と感触に反し、効率よく繁殖行動を取るために進化した証である発情作用を齎す成分が皮膚からじわりじわりと浸透。
藻掻き、足掻くほど血流も良くなり浸透した媚薬に等しい効果も早く回ることとなり、冷たさに反した内から湧き上がる熱に襲われることとなるであろう。

アルシェ > 重たい身体をどうにか支えながら、せめて息だけは確保しようと顔を拭う。
べっとりと粘液が纏わりついた手の平を振り回すけれど、それは剥がれてはくれず。
代わりに指の間に入り込むように蠢いてくる。

「や、やだ……まさか、これってスライム…なの?
 うそっ……服の中、入って……ひゃっ!? んぅ……どこ、触って……!」

普通スライムと言えば、どれほど大きくても手の平サイズ。
ぷるんとしたそれは見ているだけなら魔物とは言え癒されるもの。
仮に襲ってきたとしても、踏んづけるだけでも倒してしまえる雑魚モンスターのはず。

それなのに、転がった取れたての貝がじゅくじゅくと溶かされていくのを見てゾッとしてしまう。
直接肌に纏わりついてくるソレを少しでも拭い取ろうとするのだけれど、出来たのはせいぜいが露出している部分くらい。
それも結局手から腕を伝って、また戻って来てしまう。
そうでなくても服の中へと入り込んでしまった粘液生物を取り除くことなどできなくて。

「やだ……やめッ……ひゃんッ………あっ、ふぁ……なんで、こんな、の……」

肌を這いまわられる悍ましい感覚―――それは悪寒であるはず。
それなのに、ゾクッとしたそれはどこか痺れるような甘さを孕んでいて。
しかもそれが後に残ってしまう。余韻が冷めやらぬうちに、漣のように次の悪寒が身を苛んでくる。

じりじりと上昇してくる体温。
涼しいはずの洞窟の中で、ひんやりとした粘液に包まれているはずなのに、身体が熱く火照って仕方がない。
このままじゃおかしくなると分かってはいても、身体に力が入らず、足元の潮だまりにべちゃりと腰を落としてしまって。

這い寄る粘水 > 個体にもよりけりだが、此処にいる粘水の魔物は明らかに相手が想像している弱小種のそれより厄介な性質を複数有している魔物であった。
物理的攻撃手段に対しては衝撃で四散する事があったとしても特に問題とせずに再集結するのみで解決し、まともな有効手段は魔術的な要素か液状生物故に火や蒸発に滅法弱いという弱点はあるのだが魔術に対しても詠唱をさせまいと本能的に魔力の昂ぶりを検知して妨害する等容易い問題ではない。

採れたての貝等わざわざ犯されに来ただけでなく繁殖行動に役立つ食糧まで提供するという見上げた苗床精神の持主だと自我があるなら勝手な誤解をしていたかもしれないが、言語を介さず淡々と雌を無力化し犯す準備を整える魔物にそんな茶目っ気のあるやり取りは訪れず。

衣服がぐっしょりと濡れ張り付く感触、粘液に這い回られる感触、その双方が産毛が逆立ち余韻すら残す程の鋭敏な快感へと変換されていくのはそう時間がかかることもなく。

相手の声が必死に振り解こうとする切羽詰まったものから次第に雌の甘い悦楽の証明たる甘さを孕み始める。

やがて抵抗する力さえ入らなくなった相手がかくんと膝から力が抜け腰を落とせば、足首に巻き付く形で液状の身体の一部を変化させ両足を広げながらふくらはぎ、太腿、スカートの内にもじわじわと包み込む粘体が這い上がり、小振りな臀部や鼠径部等にまで纏わり付き。襟や袖などからも入り込んだ魔物の粘体と合わせ相手の全身は全身の神経が快楽に置き換えられたうえで剥き出しにされたかの如く鋭敏になっていき。

ぬるり、と相手の目の前にも翳される数多の水の触手。先端が丸みを帯びた形状のそれが如何なる用途であり、何故今模ったのか。

その答えを相手は次の瞬間には知る事となるであろう──

ご案内:「セレネルの海」から這い寄る粘水さんが去りました。
アルシェ > 潮が満ち、入り口の閉じてしまった洞窟の中で、何が起きたのか。
それを知るものは、少女とその魔物以外には誰一人としておらず―――

ご案内:「セレネルの海」からアルシェさんが去りました。