2019/09/24 のログ
エルディア >   
「こーげつ、あったかい」

紅を取り戻して僅かに温度が上がったように感じるのは気のせいだろうか。
成り立ち上、こんなに人と近い位置で安心できる覚えている限りでは初めて。
この人の腕の中はまるで陽だまりの中で丸まっているような心地がする。
潮騒の音と温かい温度、お気に入りの香りと感触。
これだけで酷く穏やかな気持ちになれる。

「ぱんつきらい」

関節部分に何かがあるというのがそもそも好きじゃないというのに加えて
移動だけで平気で木に火が付くほどの温度になるのだから
生半可な素材だとあっという間に炭化してしまう。
それらに耐えるというだけで下手な防具よりよほど高級品になる。
服を自作する能力など当然皆無なので今まであまり考えた事もなかった。

「……うったほーが、かいてきだとおもう?」

其れってそこそこいいお値段で売れると思うのよ?と首を傾げる。
王都には珍しい物は多いがそれでもそれらの需要は非常に高い。
それに戦闘モードの時にはボディースーツを纏ったような姿になるのだから
服=防護装備という考え方の幼女はそんなに気にしなくていいのにと思う。
そんなものよりもずっと、こうしていてくれるほうが嬉しいのだ。
……普段は絶対にそんなこと言わないどころか態度にも出さないけれど。

「あんしんする、におい。
 ……おひさまとつきのにおい。」

そう呟くと安心したように首元に顔をうずめたままうつらうつらとし始める。
基本本気で眠る事はないけれど、それでも認識している相手が近くにいる状況で眠るなんて
少なくとも永い眠りから目が覚めてからは初めてかもしれない。

「……すきぃ」

ぽつっと小さな声で囁いて。

紅月 > 「ふふっ、お揃いだねー?」

ぽかぽか、ぬくぬく…
どちらもヒトではないけれど、人肌で温め合う心地よさは…ヒトでないからこそ、よくよくわかる。

「うっ……い、痛いトコ突くねえ…さっすがエルちゃん。
それじゃあ元手がかからない魔石生成と…ついでに、耐火対策で私の髪を編み込んでみるか」

思わず困り顔になるが、それでも嫌な悩みではない。
確かに、出すところに出せば儲けは大きい…けれど、子供を着飾らせる事にはお金では買えない価値があるのだ。
ぷりちーなようじょ、ぷらいすれす。

「それとも……、…あら?」

少しばかり、腕の中の重みが増す。
どうやらおねむの時間らしい。
「そりゃあ、あれだけ張り切ればなぁ…」
なんて笑みを溢し。
…続く、まさかのラブコールに本日一番目を丸くする。

「……紅も、エルちゃんが大好きだぞ~…」

なんて耳許に囁けば…子守唄代わりに一曲、潮騒を伴奏に歌い出す。
まがりなりにも精霊混じり、どうか素敵な夢が見られますようにと祈りを込めて…子供がすっかり寝付いたのを確認すれば、静かに静かに帰路につくのだった。

ご案内:「セレネルの海/小さな入り江」からエルディアさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海/小さな入り江」から紅月さんが去りました。