2019/06/21 のログ
■アルブム > 「そ、そんなっ、恥ずかしくなんてっ……!」
相手の謙遜の言葉を、アルブムは必死の口調でかき消そうとする。
でもこの言葉はちょっぴり嘘。恥ずかしかった。シチュエーションがではなく、自分の演じた痴態が。
とても甘く、ドキドキする一時だった。それは確かなのだが、自分がその雰囲気に流されすぎたような気がして。
そんな自分を自己嫌悪する節こそあれど、リリトに気を揉ませるつもりはなかった……のだけれど。
「でも、お腹いっぱいになってくれたならよかったよ。うん。
……あっ、待ってリリトさん!」
手足が震え、怒涛のような疲労感で身を起こすことすらできないアルブム。
裏腹にリリトは全身に精気みなぎり、目の前で飛び立つ姿も先程とは違って力強い。
後ろめたさと共に去ろうとするリリトに、アルブムは声を張る。
「大丈夫だから、ぼく大丈夫だから! またお腹が減ったときは、ぼくを吸いに来ていいから!
ぼく、次に会うときはちゃんと……変な気持ちにならずに、精気吸わせてあげられるようになるから。
だから………また………またねっ!!」
力の籠もらぬ右手に懸命に力を注ぎ、手を伸ばしながら気持ちを伝える。伝わったかどうかはわからないけれど。
「……………ううっ」
今度こそ精根尽き果て、砂浜にぐったりと寝そべってしまうアルブム。
食事下手な淫魔を完全復活させるほどにドレインされ、今や指一本すら動かせないほどの疲労を感じる。
加えて、恥ずかしい振る舞いを見せてしまい、最後まですれ違ったままの遭遇ではあったけれど。
……それでもアルブムの気持ちは、消沈半分、高揚半分といった複雑な状態にあった。
愛らしい少年に奉仕できた満足感からか、あるいは精気吸収の倒錯的な被虐に目覚めてしまったのか。
自分自身でもよくわからない。とにかく、またリリトに吸われたとしても全然構わない気持ち。
いや……むしろまた吸われたい、ような。
「………くぅ………んっ…」
そのまま、砂のベッドで意識を失うアルブムであった。
ご案内:「セレネルの海」からアルブムさんが去りました。