2019/06/07 のログ
ご案内:「セレネルの海/白砂の浜辺」に幻鏡の迷宮さんが現れました。
幻鏡の迷宮 > セレネルの海でも人通りの多い王都に近しい比較的安全な地区、色の抜け白く染まった珊瑚が砕けすり潰され白砂となり、それが積み重なり生まれた浜辺、今も穏やかな波がひいてはよせて、心地良い潮騒が浜辺を歩く者達を楽しませる。

そして空を見上げれば眩く輝く星、それよりも明るく、月もまた凛と冷たく青く輝いていた……何時もと変わらぬセレネルの海の夜……である筈だ。

だが夜空ではなく足元を見よ。
穏やかな波打ち際まで広がる白いそれは何も砂だけではない、その砂に混じり覆うように生温かい霧が広く薄く広がり、今宵はその白砂の浜辺に広がり包み込んでいる。

知識あるモノは温度差に夜自然発生と考え、魔術師はそれは魔力が篭った魔法の産物だというだろう、答えはどちらも否である。

魔力を感じ取ろうとすれば生命力を感じるだろう、自然に発生したと考えるにしては白い砂の広がる砂浜にしか広がっておらず、くらい海の上には広がっていない。

その霧は迷宮である。

薄い霧が薄らと積もり広がる砂浜に人が一歩でも足を踏み入れば、其処は一瞬にして日常が侵食され、非日常の場へと移り変わるだろう、迷宮かそれとも迷宮に近しい何かになるか、踏み込んだ者が何故そこに踏み入れたかによるだろう。

散歩か、それとも誰かと待ち合わせか、海辺に生える特別な草花を求めてか?

不幸中の幸、今は誰の気配も無い、だから白い砂浜は迷宮と化していない、ただただ潮騒の音が奏でられ、潮の香りが周囲に甘く広がっているだけだった。