2018/11/10 のログ
ルヴィエラ > (恐らくは、自分達も楽しむ必要が在るからだろう。
宴の満足度が他者に与える印象を変える、貴族で言えば社交だ
普通に食事を楽しもうと思えば、恐らくは十分に満足出来る筈だ。
惜しむらくは、暖かな内に口に出来なかった事と
散々に酒で舌を染めた後、と言う事かも知れず。

――そんな中、娘が気付いて仕舞うなら。
他の誰もが気付かぬそれを、或いは気にも留めぬ其れを
気付いて、追いかけて仕舞うなら。

其の背中を追い、夜風に吹かれながらに甲板へと駆け上がった、其の末に
きっと、追いつく事は叶う筈だ。 其の背中に、紛う事無き、魔の存在に。)

――――……おや、此れは意外だ。 こんな所で出会うとは…縁、と言う物かな?

(響かせた声音は、この邂逅が決して意図した物では無いと告げるかの。
実際の所、其の言葉が信用に値するかは、娘にとっては怪しい所やも知れぬが。
ゆるりと、振り返り娘の姿を確かめる其の瞳は、紛う事無く
あの日、あの夜、娘に痕を刻み付けた元凶たる、姿だったか)。

ティリア > そうだね。
いや、全く――つくづく不本意な縁、柵、だ。
…流石に此処には、銃の一丁も持ち込めないという事が。
残念で、残念で堪らないよ。

(見間違いではなかった。
宴席の参加者らしからず、駆け上がったその先に佇んでいたのは。
忘れようの無い、人外の存在その物。
僅かな距離を挟み、眉を顰め――だが。対面した後になってから。内心失策を悔やみつつある。

今、娘自身が口にしたように。
こんな場所に、武器の持ち込みなど、赦される筈もなく。
言葉通り、持ち合わせていなかった――身を護る術も。男を狙う手も。
尤も、拳銃弾など、この相手には無意味だという事も。
先日来既に思い知らされてはいるのだが。)

…大体。貴方のような人が。
一体全体何の用事で、こんな所に居るんだい?
人同士の馴れ合いや、騙くらかし合いや…バケモノにも面白いのかな。
それとも…

(また、誰か。毒牙に掛けるつもりでいるのかと。
そういう風に考えてしまうのは当然だろう…実際に、犠牲者となった身としては。
棘ばかりの目立つ言葉と裏腹。足先は、男の方へと進められない。
同時に、引き下がる事も出来無い。
…向かってどうなるのか。退く事が出来るのか。
どちらも判らず決めかねて、それでも、目を離す事だけはせずに。

――――怖い。額に、背中に汗が浮く。)

ルヴィエラ > ―――……嗚呼、成程。 確かに其れは難儀な事だ。
少なくとも携えて居るだけで、多少は心の安寧に繋がる物だからね。

(そんな規則が設けられて居たのかと、紡ぐ声はやはり
この船の、どの乗客とも異なり、何にも縛られて居ない事を示すのだろう
まぁ、武器の持ち込み禁止、等と言う規則が己にとって如何に無意味かは
何よりも彼女自身が良く知って居るだろう。

甲板の上には誰も居ない、元より宴の最中に船を走らせる理由も無く
宴の最中に甲板へ向かうのは、抜け駆け、或いは逃亡と取られかねぬ
互いに互いをけん制し合うからこそ、皆が会場へ留まるのだ。)

―――……人間と言う存在は、愉快な物だ。
愉快で、哀れで、そして愛すべき存在。
だが、其れとは別に、私にも私の生き方と言う物が在る。
其れを踏まえて君の問いに答えるとすれば――秘密、と言う物だ。

(己から、距離を詰めようとはしない。
来るも退くもせぬ娘を、静かに眺めながら声を響かせる。
秘密、と、人差し指を立てて、己が唇に押し当てる仕草を見せれば
薄らと微笑んで、其の指先を娘へと向けて。 ――手招く動作、を)。

ティリア > …悔しいけれど、その通りだ。
相手が貴方じゃなかったら、殊更安心出来ていたんだけどね。
取り分け、相手が同じ人間だったなら――

(宴席で、夜会で、他者に対しマウントを取ろうというのなら。
其処に必要とされる力は、物理的な物では在り得ない…あってはならない。
さもなくば、それは単なる暴力であり、貴族たる者の誇りを自ら投げ出すようなものだ。
だが同時に、そんな無作法が警戒されもする為に。
参列者達が皆、同じ立場で斬り結ぶ為に。物理的な凶器は厳しく管理される。

よしんば侵入者が居たのなら、それに対処するべきは、例えば護衛や衛兵なのだが。
今の場合、相手が相手。己自身以外は、もしかすれば誰一人として、男を認知していない可能性すらもある。
…そんな相手だから、目を離すという事も亦、出来なかった。
一瞬でも目を離したのなら。次の瞬間、己も亦男を見失い。気付けぬ侭に、何をされてもおかしくないと。)

…貴方を、愉しませる為に。生きているつもりはない、けれど。
他の犠牲者達も…居るのなら。いや、きっと居るんだろうけれど。
少なくとも、貴方の為に生まれた、そんな者は居ないと思いたいね。

……信用、しろと?
魔物が人を堕とさない、淫魔が女を狂わさない―― っは。
魚が泳いでいないのと同じ位に。信用出来ない、な。

(だから。招かれて易々と近付く訳にはいかなかった。
……己も。魔に侵され、犯される、女という生き物なのだという事を。
思い出させたのは、よりにもよって、目の前のこの男なのだから。
それを忘れた訳ではあるまいにと。相手と真逆、ますます表情を顰めつつ。
……歩み寄ったのは、一歩だけ。
寄り添うだのする為ではない。あくまで、より言葉を交わし易くする為の距離。)

ルヴィエラ > ―――同じ人間であったなら。
だが、君に原初の恐怖を刻み付けたのは、私では無い。
同じ人間こそが、君を君足らしめた…違うかな?

(――なれば、果たして恐れるべきは己だろうか。
本当に? まるで、そう問い掛けるかに交わす言葉は、戯れの様に。
銃を携えなければならぬのは、果たして本当に己を相手取る為なのかと
そう一言、添える様に囁きかけては。
ふと、甲板へ続く階段へと僅かに視線を向け。)

……間違い無い、私は勝手に愉しんで居るだけだ。
生きると言う事は、実に愉快で尊い物だ…例え私であってもね。
其処に人と魔の区別など無い、何を愉しみ、何を尊ぶのか、その違いだけだ。

だが、逆に言えばその違いを取り払った時、人と魔の違いとは、何かな?
―――「魚は泳いで居なければならないのか」

(それは、一体誰が決めた事だろうか。
信用するしないの問題であるならば、娘の憂慮は最もな事だ
一度娘を毒牙に掛けた己を、易々と信用する筈も無い。
不機嫌そうに表情強張らせる様子を眺めれば、其れは残念と招く事を止め
けれど、僅か一歩でも、互いの距離を詰めるのを見て、口端に弧を描けば。

――指先で、もう一度、くい、と招く。
僅かに首を傾け、娘の顔を真っ直ぐに見据えては。)

―――……来なさい。

(其れは、其れまでとは違う。 まるで言霊めいた感覚で娘の意識に浸透する、か。
理性を奪う訳では無い、恐怖心や危機感を消失させる訳では無い。

ただ――身体が、本能めいて其の声を、主の命であると、認識する、様に)。

ティリア > あぁそうだ。その通りだよ。
だから僕は力を欲したし…その力が、それ故であるというのなら。
向ける相手は人であって……ったく。効かないのは、仕方がないのかな。

(恐れるべきか否か、より。
大事なのは寧ろ、抗うべきか否か。
その為に欲した力は――確かに、人を相手取る為の物だから。
見透かされた、というよりは。勘違いを見止められたような心持ちに、ますます胸がざわめくばかり。
一瞬、相手の方が先に視線を逸らしたが。
その間に僅かばかり体幹を移し。次の一歩が前にも、後ろにも。向けられるように…気取られぬように。)

ただ、その欲求が。どれだけ他人様に迷惑を掛けるのか、によっては赦されなくなる。
人の世界では――って言ってしまうと、また。其処には人と魔を、区別されてしまうのかな。

――――そう、さ。知らないのかい?魚は、泳ぎ続けなければ死ぬ。
泳ぎ続けて、進み続けて。さもなくば水の中で絶息して息絶える。
だから僕は――僕等に仇為す貴方を、信じられはしない。
人間に迷惑を掛けずに、独り遊びやら自慰行為やらで。満足しているとは。思えないしね?

(こほん、と小さく咳払い。
口元に添えた片手の下、少々頬を染めてしまう。
流石に、台詞に品が無かった事と。言った当人の癖、その内容に。
――それはきっと、微かな揺らぎ。切迫し緊迫していた心の間隙。
だが。その一瞬が恐らくは……致命的だった。)

―――― 。  ぇ…? っ、  …何で…?

(進むか退くか。どちらをも選べるようにしていた、筈。
だが気が付けば…否、気付く事すら出来ぬ内。
次の一歩は脚が、躰が勝手に。前へと踏み出していた。
続く、二歩。三歩。其処に意思など介在しない。糸で繰られる、引き摺られる、如く。
見る間に男との距離は詰まり、手の届く程になり…肩が触れる程に迄。

剰りにも間近。男を見上げさせられてしまう、不本意の眼差しが。
丸く、丸く見開かれた侭で強張っていた。)

ルヴィエラ > 其処については諦めてくれたまえ、例え私でも痛いのは遠慮願うからね。
銃口を向けられて、大人しく鉛玉を受けると言う訳にもいくまい?

(くすりと、可笑しそうに笑みながら、そんな主張をば。
そうして、再び階段から視線を戻し、娘の顔を見詰めたが
果たして、其の頃には気付けるだろうか。 階下の喧騒が、静まっているのを。
アレだけの騒ぎである筈だと言うに、其の気配すらも、いまはもう、気取れない。)

――魚は生きるが故に泳ぐ。 人も同じだ、生きるが故に魚を食らう。
其れは、生まれ持った業と言う物だ。 そうしなければ、自らを保つ事すら出来ぬ。
人と魔が対立するのは、ただ単純に、魔が人にとって都合の悪い存在だからだ。
何せ指摘の通り私は、誰かを愛し、愛で、貪って生きて居る。 其れは否定せぬよ。

だが、ね。 ……此れでも私は、君のミカタ、の心算では在るのだがね。

(自分で口にしながら、頬を染める様子に思わず小さく笑みを零し。
そうして――己が元へ、其の意識や想定に反して、歩み寄ってくるその姿を見守ろう。
一歩づつ詰まる距離、困惑か驚愕か、見開かれる娘の瞳へと、穏やかな紫色を映しながら
其の身が己が眼前へと、距離を完全に詰めて仕舞えば。 ――両腕が、伸ばされる。
其の身体を絡め取り、自らの腕の中へ、胸板へと抱き寄せ、抱擁を為して。
背へと回る腕に力が籠り、夜風に冷える其の身体に、自らの体温すら伝えては。)

―――……覚えて居てくれたかな、私を。
私が、深く愛でた、あの記憶を。

(――其れは、娘が誰にも明かさぬ記憶。
空白の数日、何も無かった期間。 けれど、其の言葉を切っ掛けに、其の脳裏に濁流めいて記憶が蘇るだろうか
この腕に囚われながら、余りにも深く、狂おしく、愛でられ続けた記憶、が。

そして、其れは記憶だけに留まらない。 堕落を刻まれた、其の身体すらもが
この腕に抱かれる事の意味を、思い出して仕舞うだろうか)。

ティリア > 普通なら、心臓を打ち貫かれていた筈なのに。
傷一つ無かった…そんな、貴方が。痛いとか、痛かったとか。
言うとは思えないんだけどね。

(思わず、嘆息。あの時。正しく実体が無かった、としか言えない透過を見せた男の躰。
だが、今こうして再び、触れさせられてしまったなら。其処には確かに、肉体の存在が在る。
何が本当か。何が真実か。この相手には、常に判らなくなりそうだ――
気付けば、まるで宴が終わったかの如く、誰もが眠りに落ちたかの如く…
いや。今回、切り離されたのは。己の側なのかもしれないが。)

魔が、人を害すのは。それと同じ程の摂理なんだと、思っているよ。
……いや、貴方のせいで、そう思うようになったという方が。適切だけれども。
害なら。敵なら。抗わずには居られない。それも亦、生きる為だから。

――――ふ、っはは。もう言った筈だよ?
僕に……私に、貴方の力を借りるつもりは。無いんだって。

(それを忘れて貰っては困る。
人だから、魔だから。両者は本質的に敵対関係だから、等という言葉は。
正直を言えば、たった一つの事実と比べれば…
己が、彼の力を。魔に堕ちて得られる力を望まなかった、という事実に比べれば。
所詮、会話の流れに浮かんだ戯れ言でしかないのだから。

だが。今となっては、言葉という物それ自体が、本筋ではなくなりつつあるのかもしれない。
引き寄せられた。触れてしまった。そして――抱き締められた。
男の温もり。異性の大きさ。……牡の、存在その物。
困惑は不安に、そして今にも…恐怖に。揺れる片瞳の中で、煮詰められてしまいそう。
辛うじて。唇を退き結び、…結びきれず震わせて。)

忘れられる訳がないじゃないか。
私が、あんなにも狂い壊された、あの記憶を。

(――其れを。決して、形にしようと、他者に知られまいとしただけであって。
娘自身が忘れている筈も…封じ切れている筈もない。
彼の者に、どれだけ狂わされたか。溺れさせられたか。
人の身に収まりきらず、受け止め切れない、正しく魔の悦に蕩かされた――その結果を。

忘れられない、何よりの証は。
抱かれた膚の戦きと……やっと消えつつあった筈の、呪わしい印。
それを刻みつけた張本人との邂逅が。
どくん、と。如実に胎を炙り始めていた。)

ティリア > 【後日継続予定】
ご案内:「セレネルの海 船上パーティー」からティリアさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 船上パーティー」からルヴィエラさんが去りました。