2018/09/25 のログ
ご案内:「セレネルの海」にフォークさんが現れました。
フォーク > 柔らかく波が押し寄せる海岸線。
波が大きく動く度に、海面から何かがチラチラと狸女子には見えるだろう。
海藻……ではない。昆布をターバンのように巻いた人の頭だった。
つまりは漂流者である。でかい男だ。

ぼたん > 岩場の近くに浮きのようなものが見える…目を凝らすと夜行性の光が宿る。何か丸いもの…?
「あらー…やだね、だれかおっきいゴミでも…!?」
人だと気づくと飛び上がって慌てて海へとざぶざぶ入り込んで助けようと手を伸ばす「ちょっ…大丈夫かい!?」

フォーク > 「ひ……人か?」
間違いなく誰かの声が聴こえた。こちらも懸命に手を伸ばす。
誰かの手が触れた。周囲が暗いのでよく見えないが女性のようだった。
「頼む、砂浜まで引っ張ってってくれ!」
海水に塗れるのはもう御免だった。

ぼたん > ほとんど足が付かなくなりそうな深さまで入ってからようやく手が触れる。向こうも気づいたようで、大きな手が握り返してくる。
(あらま、たいしたでかぶつだよ…!)
それでも懸命に両手でその手をつかみ、全体重をかけて岸の方へと引っ張る。ゆっくりとだが、波の動きも手伝って何とか浜へ引き上げる。
「………生きてるかい?」荒い息を付きながら、引き上げた相手にそっと手をかける

フォーク > 「身体が重い~」

砂浜に上げられ、仰向けのまま大の字になる。ずっと海中にいたせいか随分と身体が重たい。
男を心配する声が聴こえてきた。優しい声だった。
ゆっくりと上半身を持ち上げれば、昆布のターバンを外してにこやかに笑いかけよう。
「すまねえ、助かったぜ。あんた命の恩人だ」

よく伸びた無精髭を掻きながら、男は女に訊ねる。

「世話になったついでで悪いけど、なんか食い物もってねえか?」

とにかく腹ペコだった。

ぼたん > 「何やってたんだい、まったく…」
ほっとすると、呑気に笑う顔に呆れて軽くにらむ。
さらに呆れたことに食物まで所望してきた。ここまで来ると笑ってしまう
「残念だね、アンタを助けたついでに塩漬けになっちまったよ」
風呂敷で包んで腰にぶら下げていた夜食のおにぎりは、塩水でびしゃびしゃだ

フォーク > 「塩漬けかあ……塩漬けは当分いいかな。あやうくお仲間になりかけたしな」
男は両手をしっかり砂浜に置いて、少しずつ立ち上がろうとする。
健康だけが取り柄だったので脚が萎えてはいなかった。どれくらいぶりの地べただろうか。

「改めて礼を言うぜ。俺はフォーク・ルース、傭兵だ。フォークって呼んでくれ
 実はちょいとしたトラブルで命からがら逃げ出してな。地面に立つのは数ヶ月ぶりだぜ」

頭を下げようとすればつんのめりそうになった。

ぼたん > 相手の言葉にくすくすと笑う。ずぶぬれで、しばらく立ち上がる気分ではなかった。
立ち上がった相手の顔など見えはしなかったが、つんのめりそうな様子に慌てて支えようと身構える。本当に倒れなかったことに少しほっとしながら
「ちょいと、ホント大丈夫かい?
…アタシは『ぼたん』ての。兄さん、船乗りの手伝いでもしてたのかい?」
ずぶぬれでしずくを垂らしたまま、気だるげな様子で尋ねる。

フォーク > 「なーに冒険家の宝探しの手伝いさ。でも航海の途中で戦艦みたいな大きな亀が来て……あれ?」

ここからの記憶がない。気がつけば昆布で編んだターバンを巻いて海面を漂っていた。
急に太い腕が痛んだ。腕の裏側には『オトヒメニツカマルナ』と読める傷ができていた。

「……よく覚えてないけど船から投げ出されたんじゃねえかな」

ぼたんという女は愛嬌のあるキレイな声をしていた。女は濡れている様子だった。無理もない自分を助けるために無理をしたのだ。

「ぼたんさんよ、風邪引くぜ。俺、火打ち石持ってるから焚き火でもしようや。流木集めてくるぜ」

女だけでなく男も濡れ鼠だ。まずは焚き火で人心地つきたい。
女が同意すればすぐに砂浜で乾いた流木を集めて焚き火を作るだろう。

ぼたん > 「……なんか、どっかのだれかさんも同じ目に合ってたきがするねぇ…」目をすがめると瞳は黄緑にちらりと光る。傷の言葉位は読めたかもしれない。
風邪、の言葉に面白そうに笑う。そういう相手だってずぶぬれではないか。
「ありがと…無理しなくていいよ。アタシ風邪はひかないし、アンタだってへとへとだろ?」

フォーク > 「俺はいい女のためなら海の水も飲み干せるし、空の星だって掴んでみせる男だぜ?」

傭兵なので野営の手際は素早かった。流れるような動きで木片を組み合わせて焚き火台を作っていく。
火打ち石を鳴らすとゆっくりと焚き火の炎が立ち昇っていく。
ようやく女の顔が拝めた。

「へへ、言ったとおりだろ?」

きちんと女の顔を見据えて、もう一度笑ってみせた。

ぼたん > 軽口にまたくすくすと笑う。それからあれよあれよと焚火が出来上がって、目を丸くする
「…おどろいた。兄さん、ただのおっちょこちょいじゃないんだねぇ?」
くすくす笑いながら腰の風呂敷をとる。ようやく少し動く気になって「兄さん、ちょっと向こう向いててもらえる?シャツだけでも絞っちまうからさ…」

フォーク > 「ああ、俺も脱ぐし」

焚き火を挟んで女に背を向ければ男も着ていた革鎧を脱いだ。金属製の鎧でなくて本当に良かった。
そして上着を脱ぐと思い切り絞った。ついでズボンを脱ぐとそれも絞る。
どこで脱ぎ捨てたか下着は履いていなかった。それもまた記憶がない。

(ま~だかな…?)

こっそりと女の方を観ようとする男だった。

ぼたん > 相手が背を向けたことを確認して、シャツを脱いで絞る。その下に付けていたランニングシャツも脱いで絞る。
白い半裸が夜の闇にさらされるが、仕事終わりのせいか、深夜の思わぬ水泳のせいか動作がゆっくりだ。
「塩水でべたべたする…」ぽつりとつぶやく

フォーク > 半裸になった女の姿に、思わず釘付けになってしまった。
命拾いをしたこともあって、無性に催しているのかもしれない。
(誘ってみるか……)
男はそっと女の背後まで忍び寄り、優しく大きく背後から抱きしめようとした。
「ぼたんさん。ありがとう……」
ことがうまく運べば低い声で囁いてみよう。

ぼたん > 正直もう一度着るのは気が進まないが、そうもいかない。えいやとランニングシャツだけでも被ると振り返って
「!?!!ちょっ…!」まさか男の全裸を見ることになるとは!
吃驚して尻もちをついた拍子に、狸の耳がぴょこんと飛び出し「何…なに」目を丸くしたまま口をぱくぱく

フォーク > 「驚かしちまったかな……そんな耳まで出して」
驚いて尻もちをついた女の前で中腰になるとシリアスな顔と声音で語っていたが

(ん、耳?)

女の頭からぴょこんと獣のような耳が出ている。予想外なことにシリアス状態のまま固まってしまった。

(え~とぼたんさんの耳がピョンと出てそれが人じゃなく動物の耳でということはもしかしたらぼたんさんは
 いやでも俺の恩人で、顔立ちも愛嬌があって好ましいし、俺細かいことこだわらない性格だし)

「……驚かせちまったかな」

受け入れた。そっと女の手を取ろうとしてみせ。

ぼたん > 驚いた、の言葉にこくこく頷くと、耳が出ているのに気づいてさっと赤面する。ぐるぐると頭が回るが、相手のシリアスな状態が妙に落ち着きを取り戻させて、ふぅっと一息つく。
「…驚いた。下着位つけなよ。兄さんこそ風邪ひくよ」
顔を反らせる代わりに、相手の目をじっと見つめる。

フォーク > 「どうやら海の女神様は俺のファンのようだ。自分のものにならぬならせめてパンツでもと奪っていったらしい」

男が気にかけていたのは女が耳のことを指摘されてどう行動するか、だ。
若い頃付き合っていた女の正体が鳥だったことがある。女は正体を知られた途端いなくなってしまった。
悲劇は繰り返してはいけない。指摘するのは避けよう。

「そうだな。せめて前くらい隠しておくか」

上着を腰蓑のようにした。

ぼたん > 「そうかもねぇ」海の女神に関わらず、伝説の女神というものは得てして嫉妬深いものだと思う。
素直に上着をまく姿にくすくすと笑って
「兄さん、ずいぶんと身体大きいけど、もともとこの辺の出身かい?」露になってしまった耳を、自分で頭に撫でつけながら訪ねる。

フォーク > 女の隣に腰を下ろせば、焚き火に両手をかざす。冷えた身体に火の温もりが包まれた。
「生まれは別の大陸さ。ガキの頃に義父の傭兵団に参加して数多の海を越え、国を渡り……ここに流れ着いた」
もうすぐ四十になるが、数えきれない戦場を駆け抜け冒険をしてきた。

「ぼたんさんは……名前からすると東の生まれかい?」

ぼたん > 「へぇーえ…」
腿を抱えるようにして、膝に顎を載せて視線を男から炎に転じる。
「両親はそうだったみたいだねえ…アタシは覚えてないけど」
ふるっと耳が震える。白い顔が炎の赤に照らされる。
「…いろんな国に行って…ここ、気に入った?」

フォーク > 「気に入ってるよ。色々と理由はあるが……とりあえず今一番真っ先に頭に浮かんだ理由は」
女の方に顔を向ければ、にかっと白い歯を見せて笑う。
「得体の知れない漂流者を形振り構わず助けてくれるいいオンナがいる国だからな」
人の本質はここぞという時にわかるものだ。女の正体がなんでもいい。
とにかく優しい女だ。

ぼたん > こちらを向いた顔を思わず見つめると、軽口にまた吹き出して
「-ぁはは。アタシも、兄さんが守ってるって国なら、悪くないんだと思うよ」
おもむろにもぞもぞと自分の尻の辺りをまさぐると
「ちょっとごめん…」
サルエルズボンの中で丸まっていた尻尾を引っ張り出して
「…中にしまったままだと気持ち悪くて」恥ずかしげに笑う

フォーク > 女がズボンから尻尾を出した。なるほどだから大きめのズボンを履いていたのか。
男は合点がいったように頷く。
「お互い初対面なんだ。取り繕う必要はねえよ。俺なんてほぼ素っ裸だぜ?」
これほど明け透けな初対面もないだろう。
「ぼたんさんは、生業は何を?」
職業について訊いている。

ぼたん > 「あはは、確かにねー」
ころころ笑って尻尾がぱたぱた揺れる。
「アタシ、「たぬきばやし」って居酒屋やってんの。平民地区だけど…」
聞いたことある?と少し首をかしげて

フォーク > 「最近は旅に出てたし、酒場も貧民地区専門だからな。今度お邪魔させてもらうよ」
店名で正体がほぼ推測できた。よく動く尻尾を目で追いながら、必ず顔を出すことを約束する。
「正直、ぼたんさんには色々と興味が湧いたからな。嫌って言っても顔出すぜ?」
ぽふ、と女の肩に手を回そうとするのである。

ぼたん > 「ふふ、待ってるよ」
気を許したらしい、頭を男の肩に擦り付けるような動作をして
「今日食べさせたげられなかったぶんも美味しいごはん用意しておくよ…あ、お酒の方が好きかい?」
眼がきらきらしている。料理が好きらしい。

フォーク > 女が瞳を輝かせながら料理と酒について訊いてくる。やはり世話好きのようだ。
「飯はもちろん大好きだが……酒はしょうしょう……しょうしょうと言っても一升、二升のほうだけどな」
東洋で覚えたジョークを交えて自分が大酒飲みと伝えた。
柔らかな女の頬が素肌の肩に当たる。
思わず、股間を隠していた上着が持ち上がった。

ぼたん > 「迎え甲斐のあるお客になりそうだねぇ」
くすくす笑いながらあれもこれも作ってやろう、と目を細める。男の様子には気付いていないようだ…

フォーク > 「よしよし」
男は女をもふもふ、と可愛がろうとする。
なんのことはない。温もりを覚えておこうというわけだ。
「何度も言うけどよ、あんたは命の恩人だ。困ったことがあったらなんでも言ってくれよな」
フォーク・ルースの命は、軽くはない。

ぼたん > 撫でられるのにはくすぐったそうに笑って
「オオゲサだねぇ…アタシにとったらお得な拾いもんしたみたいだけど」

フォーク > 「あんたが拾ったものが、どれだけ役に立つか……本当はわからねえ方がいいんだけどな」
平穏な時にはびっくりするほど役に立たない男だ。しかし有事となれば少しは使える男でもある。
できれば女にとって一生役に立たない男でありたい。
「ぼたんさんどうする。俺は今夜、服が乾くまで焚き火の側で眠るが」
女はどうするか、と聞いた。夜道の一人は危ないのでできれば一緒にいた方が良いと思うが。

ぼたん > 2、3回瞬くと、気だるげに笑って
「どっちでもいいよ…ひとって、「役に立つ」からって付き合うもんじゃないだろ?」
店はきちん閉めてきた。こうしてしゃべって眠くもなってきた。
「アタシもちょっと眠ってく…」
あくびをすると少し犬歯が目立つ。すぐにころんと寝転がって
「…行く時は、ちゃんと声かけとくれね…」

フォーク > 「そうしてくれ。意外と寂しがり屋なんだ…」
女が寝転がると、男は腰を据えたまま腕を組んで目を閉じる。
野営時は横にならないようにしている。これは傭兵の嗜みだった。

ぼたん > 横にならない男の様子に少し首を傾げるが、
「じゃぁいっしょだね…」すぐに寝息が聞こえてくる…

ご案内:「セレネルの海」からぼたんさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」からフォークさんが去りました。