2018/09/20 のログ
■カシオペア > 「ニシャナ……ね、私はカシオペアよ」
異国の者だけあって、この辺りでは聞かない響きの名前だった。彼女と同じ人種の人間の中でも、珍しい方ではなかろうか。
しかし、どこか不思議なツヤが有る、良い響きだとも思った。
「ええ、大きな港町は皆そういう雰囲気だけれど……ダイラスもそう。
大きな歓楽街があってね。王都よりも、水が合うと言う人も多いみたい……。
お酒もきっと、沢山あるわ……。異国のお酒、きっとあなのお郷のものも」
来たばかりでは、懐かしんで呑みたくなるかも分からないけれど。
「ええ、構わないわ? 宿の主人に話を通してあげるわね。
あまり鬱陶しくない程度に、便宜を図ってくれるはずよ……。異国の人間に懐が深い宿だから」
それは自分の様な者にも当てはまる。彼女が歩を進めれば、その後に続き……
迷うほどの分かれ道も無いが、一応先に立って先導するつもりで。
「あら……勘がいいのね。そうよ、貴女の言うあやかしの類。
察して貰えて嬉しい事だけど、人間や他の者に余計なちょっかいはかけない種の」
■姫遮那 > 「かしをぺや …かしお、ぺ…あ。んーむ、こっちの発音ってのァ慣れねえなァ…」
むむむ、と首を傾げて何度か言葉を反芻する。
しばらくすれば納得が行ったのか諦めたのか、ひとまず言葉を羅列するのは止めた。
「歓楽街、歓楽街。なるほどいいねェ……くふふ。
いやァ、流刑の身なれど生きるが勝ち、のんびり過ごさせてもらいますかねーェ。」
そう言って笑いながら、からころと街道を歩く。
「ああ、やっぱりなァ。匂いが違うからサ、そういうの。
まあほぼカン働きで、七割当たるかどうかってとこだがヨ。
…それに、諸人にしちゃァ別嬪すぎるしなァ。アタシは一切気にならねえけど。」
そう言って、またカラカラと笑う。
雰囲気的にもわかりやすいが、この女バイであった。
「おうおう、よろしく頼まァ。何かとありがとな、かしおぺあ殿。
落ち着いたら、港町で一杯どうだい。安酒なら奢るからヨ。」
■カシオペア > 「経験の差ね……この国は色々な雰囲気の名前が有るから、
呼んでいる内に慣れるわ……」
ふふ、と声を漏らしささやかな笑いを。
静かな夜、聞こえて来る潮騒を背中で危機ながら、近くの宿場まで先に立ってひたりひたりと歩いて行く。
「そうね……私も、貴女程すぐにぴんとは来ないけど、
やはり匂い──なのかしらね、そういうので少し素性が分かる事も、あるわ?
そんなに鋭いほうでは、無いけれどね。色々な種族も居るから、少し鍛えられただけで……」
主たるは女であるから、外見で気付かれない事も多いが、此方もまた言うなれば両刀。
実際に、肉体自体が双方の性を兼ね備えた特殊なものであるけれど。
「あとでがっかりさせると悪いから先に言っておくけれど……この国でも、流石に珍しいほうだけれど、
私は一応精神的には女に寄ってると思うけど……体には両方あるの」
伝わるのかしらね……と思いもした、けれど。
「それで、良ければお相手するわ? ニシャナ。私は酒じゃなくても……構わないけれどね」
口持ちに手を当て、少しだけ艶然と、冗談めかして言う。
■姫遮那 > 「そんなもんかねェ。同郷連中も慣れたのかねェこりゃ…」
囁くような笑い声に、少しだけ言葉を弾ませながら夜の街道を歩く。
聞こえるのは風の音、草の声、波の囁き、そして下駄の鳴く音。
「……ここでも経験の差かィ。
東方は閉鎖的な国が案外多いからなァ、確かにそういう経験は少ねえかもなァ。
アタシもいずれは慣れるかねェ…」
そして、少し下世話な話に……移るかと思いきや、その告白に目を丸くする。
額に手を当て、項垂れるように俯く。
「……女で、生えてるってかィ。へェ、なるほど。
そりゃあ、アンタ。…そりゃあヨ。」
…がっかりしたのかと思いきや、顔を跳ね上げる。
そこに浮かんでいたのは落胆などではなく、にこにことした笑顔。
「……もしかしたら相当の相当に、奇遇なんじゃアねえかィ?
驚くことに、アタシもそうサ。こっちは血統だがヨ。
…くふふ、ああ、楽しみが増えたなァ。酒も、アンタも。」
■カシオペア > 何事も慣れよ──と、唇に微笑みを湛えたまま。
島国というものは、確かに環境故にやや閉鎖的なきらいがあるのも事実。
しかし、一度海を渡ってしまえば、嫌でもその土地の風土に馴染んでいくもの……。
元から意固地な人間なら時間もかかりそうだが、彼女は然程時間がかからないと思われた。
「ええ。生まれつき、そういう存在なの」
完全な女の姿になる事も出来るが、不自然な気がしてしまい気を抜くと姿が戻ってしまう。
肯定の言葉を返すと、俯く要素が横に見える。
珍しい反応ではないが、少しがっかりさせてしまったかしら……と、残念に思った。
矢先。
「あら……」
跳ねあがる顔に少し、驚いた様子を眼の開き具合で表現し。
続いて聞こえた言葉には、今度こそ驚いた。
「相当に相当、奇遇な話ね。
こんな場所で、そういう者が2人、こうして出くわすなんて。そう多いとは思っていなかったけれど、
実は結構な数が居るのかしら。ふふ──」
冗談を言い、小さな声を立てた。彼女もまた、生まれ付いての……本当に奇しき縁。
「私は余りお酒は嗜まないけれど、肌を合わせるのは……嫌いじゃないわ……?
はしたないと思う人も居るだろうけれど、それも育った風土の違いね……。
私も、楽しみよ……ニシャナ」
■姫遮那 > 「くくっ、面白えなァ。本当にこの巷は面白えなァ。
合縁奇縁にも程があらァ。」
けらけらと笑い、とんとんと櫂で肩を叩く。
あるいは、本当に神の導きなのかもしれない。
あの時、櫂の方向が違っていたら。何も考えずにとりあえず進んでいたら。
…こんな面白い出会いはなかっただろう。
「……アタシも、そういうのは嫌いじゃねえサ。
楽しみだねェ、本当に楽しみだねェ…ふふふふ。
…さて、そろそろ肌寒くなる頃だ。パパっと宿に行くとすっかァ。
いろいろ話してェ事もあるしヨ。」
そういって悪戯っぽく笑顔を向け、また前を見据えて歩き出す。
これから起きるあらゆる事、これから出会うあらゆるモノ。
その全てが、楽しみで仕方ないような顔で。
ご案内:「セレネルの海」からカシオペアさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」から姫遮那さんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > [待ち合わせ待機中です]
ご案内:「セレネルの海」に紅月さんが現れました。
■セイン=ディバン > 「ん~? っ……。
……オソマツサマデシタ」
顔を近づければ、いきなりネクタイをつかまれ、唇を奪われ。
そのまま、相手に体の疲労を回復してもらったのだと気付けば。
男は、視線をそらして、口元を押さえつつ赤面。
いきなりのキスだの。そんな不意打ちには弱い。
「新しい単語だな、それ。
ふ~ん。楽しそうですこと。……恋バナ、ねぇ」
女性同士の会話を想像し、男は苦笑する。
この相手もそうだが、人魚の恋バナなんて想像も付かない。
それに、すごくやかましそうだな、なんて失礼なことを考えつつ。
「そうだな。お紅の頑張り屋なところは美点だが……。
抱え込みすぎるんは、良くねぇよ?」
相手の漏らした言葉に、男はうんうんと頷く。
しかし、続いての相手の言葉に、そして行動に。
男はバツの悪そうな顔になる。
「それこそ詭弁だ。男と女が別れた。そこに別の男が絡んでるなら……。
その責任は、その間男が払うべきだ。
今からでも謝りに行って、いや、あの人にぶん殴られてでも……」
完全に頭に血が上っている男。何とか謝らないと。
この事態を収拾しないと。そうとしか考えられなくなっている。
■紅月 > 口元を押さえてすっかり照れた様子の男を、満足げに視界におさめて…今後の悪戯の方針が決まった、なんて心の中で呟くのだ。
子供の世話をやきたい、大人はからかいたい…此れは最早性分である故、仕方がない。
「うふふっ、楽しいぞ~?
…後、参考になる。
お洒落のしかたとか、生々しいのとか」
乙女達の秘密は、それはもうピンキリで。
キラキラした恋物語から毒々しい魔性の世界まで…陸の飲み物とお菓子を用意するだけで、たくさんの"お伽噺"が聞ける。
人魚の美声をBGMにネタ帳を埋め、それを次回の物々交換の参考にしたり、酒場の流しの弾き語りの歌にしたり…何なら一芸求められた時に吟遊詩人の真似事をしたっていい。
…さざ波の向こうは、未知の宝庫だ。
「うっ…はぁい、気を付ける。
…抱え込んでるつもりは、あんまり無いんだけどなぁ」
あんまり…つまり、ちょびっとはある。
それでも多少は誰かに吐き出せるようになった、つもりなのだ…一応。
実際目の前の彼には隠し事が通用せず、嘘をつこうとしたってすぐバレてしまう。
「……ふぅ、セ・イ・ンっ!!
セインってたまに変な突っ走り方するよね?
…せっかく頭いいんだから、まず落ち着く事!」
掴んだままの袖をぎゅっと握り、一息。
そして…べちん、と。
両手で男の顔を挟むように軽くひっ叩いてやり、そのまま包むように親指で頬を撫でつつに…もしも視線を逸らさないでくれるなら、否、逸らされたとしても真っ直ぐに彼の二つの紅を見詰めるのだろう。
■セイン=ディバン > 自分からキスをしたりする分にはいいのだが。
不意打ちされれば地金をさらけ出すことになる。
もともと、男はこういった防御力のようなものは低いのだ。
「ふむ、そうか。
……オレは、そういうのとは縁が無いからな。
気心知れた相手と酒を飲むことはあるけど……」
たいていは、同業者とのビジネス的な会話ばかりだし。
友人も多い方ではない。……というか、少ない方だ。
少しうらやましいとは思うが、縁が無い以上楽しさを想像できない。
「抱え込んでるやつは、抱え込んでる自覚はねぇの。
まったく……」
相手の性分は、なんとなく理解できた。
少なくとも、その辺り、首尾よく行動するタイプではない、ということも。
「ぎゃふっ!? な、何すんだっ!
……。い、いや。落ち着けったって。
落ち着ける状況かよ……」
べちん、と頬をたたかれ、男は驚き、文句を言うが。
相手の行動で微かに冷静さを取り戻し。
しかし、まっすぐ相手を見ながら言う。落ち着いていられるか、と。
何せ、原因は男自身なのかもしれないのだ。
■紅月 > 「へ、そうなの? …なんか意外。
…じゃあ、今後紅とお茶しにいきましょ?
人魚の女子会に連れてってもいいけど…何というか、いきなりアレはハードだろうしなぁ…」
先程の不意打ちの反応を見るに…彼を連れて行けば確実に、人魚達にオモチャにされるだろう。
それはそれで見てみたい気がするけれど、やっぱり普通のお茶会くらいからがいいんだろうな。
お気に入りの菓子屋もカフェもたくさんある…きっと楽しくなるなぁ、なんて笑って。
さて、ばちこーんと男の頬を叩いてやれば…思いっきり困ったお顔。
「いやぁ、だって…踏ん切りついた切っ掛けが偶然セインだったってだけだし。
だから、"私にとって"無関係では無いにしろ…っていうか、私はスッキリしたから間男だの何だのはどうでもいい。
……つっ走るなら、きちんと話聞いてから突っ走りなさいな…ね?」
ちょっとは頭が冷えたらしい彼に、何ともざっくりな説明に加えて…あっさりとどうでもいいとまで言い切る。
気儘な魔族らしいというか、気紛れな精霊らしいというか…こういった気質だけは人為らざる者らしいというか何というか。
■セイン=ディバン > 「あぁ、いいな。たまにはそういうのも……。
女子会? なんだそりゃ」
女子会とは? と。男は聞きなれぬ単語に首を傾げつつも。
相手とカフェに行くくらいなら、と。男はそこについては快諾する。
「いや、だからそれは、オレが原因ってことじゃ……。
……スッキリした、ったって……。
あ~……じゃあまぁ、つまり。お紅的にはもう、解決済みの問題、ってことか?」
男としては内心のモヤモヤは残ったままなのだが。
当事者がこうもあっけらかんとしていれば、これ以上はどう関わっていいのか、という所。
そこで男は、相手にそう確認をする。
■紅月 > 「荒事してる男のヒトって酒好きなイメージあるから、いつもは飯か酒~ってなるんだけど…んぅ?
ん、女子会はほら…男しか居ない飲み会の女版というか……ある種の深淵、かな。
…あー、そうだ、何なら紅のお家に遊びに来てもいいよ?
平民地区と富裕地区の、平によった裏道んトコにあるんだ!」
思い返す、あの光景…見た目だけなら花園なのに、その正体は毒の花の群生地だったりする。
異性なんか連れていけば、良くて餌食、悪くて…こう、トラウマになりそうな。
…うん、やっぱり連れていくのは止そう。
あからさまにならない程度に話題をズラそうと、とりあえず自宅にも誘ってみる。
「ん? …まぁ、そうさねぇ?
今は件の絡繰のせいもあって、魔道具作りに勤しみながらダラダラと独り身満喫中だけど。
……だから、今みたいに気晴らしに付き合ってくれる方が…紅は嬉しい、な?」
そりゃあ、気持ち的には処理しきれていない部分も確かにある。
…ある、が、済んだ事であり割り切るべき事柄。
少なくとも女にとっては、そんなような心境で…だからこそ、しっかりと自分の足で立って笑ってみせる。
ただ…ほんの少し寄り掛からせてくれたら、己は充分嬉しいのだ、と。
■セイン=ディバン > 「まぁ、いつ死んでもおかしくねぇからな。
旨いメシや旨い酒が好きなヤツは多いけど……。
……うへ。そりゃあおっかない。オレは遠慮させてもらおう。
……ん、お紅の家、か……。
そう、だな。まぁ、その内な」
相手の言葉を聞き、女子会というものがどうにも、自分には似つかわしくない場所だと判断し。男は微妙に困ったような表情になる。
そのまま、相手の提案を聞けば。表情、さらに困ったように。
なんというべきか。このお誘いにすぐに乗るのは、非常にマズい気がしたのだ。
「……そう、か。
……気晴らし、ね……。
気晴らしになるかは分からないけどさ」
笑顔はいつもと同じように見える。だが、何も感じていないわけは無かった。
男はその相手の様子に、少し無言になるが……。
相手の手に、そっと自分の手を重ね。まっすぐ相手を見ると。
「……オレと、そういう関係にならないか?」
あの夜。宿で口にした言葉を。
もう一度、相手に投げかけた。
今度は、行為の最中ではない。互いに空気や雰囲気には酔っていないはずだ。