2018/08/05 のログ
ご案内:「セレネルの海/海岸」に空木さんが現れました。
■空木 > 水着を着て海岸のパーティーの護衛をしてくれれば給料を弾む。
などと言われて、やれ酒は飲めるのかだのやれ自由時間はあるのかだのあれこれ注文を付けて参加したわけであるが、女は早速飽きていた。
「下らぬ催し物でございますね……」
デジャブというのだろうか。なにやら最近も似たようなパーティーで似たようなことがあった気がする。
時刻は夜というのに、あたりにはかがり火と魔術を用いた明かりが煌々とともされており、岩場近くにあるその会場は眩いばかりだった。
その、光が入らぬ影。死角に身を置いているのが女だった。
黒い仕立てのよい水着に鍛え抜かれた体を包み、けれど外套をかぶって全てを台無しにしている。
正々堂々ともらってきた酒を傾けながら焚き火を囲んで退廃的なことに猛る男女を涼しい瞳で見ていた。
「はあ」
こっそりと岩場に消えていく男女の数といったら、数えるのも馬鹿馬鹿しい。
ため息を吐きつつ、腕を組んで体重を柱に預けながら天を仰ぐ。
■空木 > 酒でも飲まねばやっていられぬ。
かぱかぱと酒を空けつつ、異端の神に捧げているらしい化粧をして淫らな装束で着飾った少女が男共に犯されているのを見た。
哀れだと思うし、可哀想だとも思う。しかし、残念ながら女は主催者側だったので少なくとも給料が貰えるまでは手を出すつもりはなかった。
「はあ」
ため息と酒の数だけが増える。あとは、こちらが女だとわかるや手を出してこようとする不届き者が物陰で静かに眠る数であろうか。
いるのだ。護衛が女だと舐め腐った態度をとるような輩が。そうした輩は大抵みぞおちに一発もらってパーティーで酔いつぶれた脱落者のように偽装される。
「酒だけはおいしいのが救いでございますね」
酒はうまい。それだけだった。
強者もいないし、そそる男も女もいない。そそられないことだらけで詰まらなすぎて衝動的に切腹したくなるくらいだった。
■空木 > 「おや、あれは?」
女が興味深そうに音に注意を傾けた。
歩き方だ。武術を嗜んでいるであろう独特の歩調。そして風に漂い感じる香り。
酒を取りに行くついでに、それがどんな者であるかを確かめに行こう。
わずかばかりに得ることができた好奇心を頼りにゆらりと砂を踏みしめていく――。
ご案内:「セレネルの海/海岸」から空木さんが去りました。