2018/05/15 のログ
ご案内:「セレネルの海/入り江」にカインさんが現れました。
カイン > 天上に月の輝き始めた頃合い。
ごつごつとした岩が防波堤代わりに連なる場所に、
ザバっと音を立てて海の中から突然に手が伸びてくる。
幽鬼か何かと見まごう程の薄ら白さのそれは、
しかししっかりとした力強さで続く体を引っ張りだした。

「ぐ、は…っ!あ゛ー、凄い久しぶりに死ぬかと思ったぞ…」

げっそりとした表情でボヤいた男の体には赤い触手がまとわりついている。
吸盤のあるそれは紛れもないタコの形をしていた。
とはいえ、その触腕の一巻が人間の下半身を丸々掴んでしまえる大きさとあれば、
それをただタコと呼んでいいのかは甚だ怪しいだろうが。
這う這うの体で少し海面から離れた場所に逃げて漸く腰を下ろし。

カイン > 「完全に油断した、不覚にも程がある。危ないなここ…」

依頼なども含めて殆ど着たことのない場所だから甘く見ていたのは否めない。
だからと行って海を覗き込んで早々、中から現れた巨大タコに水中に引きずり込まれるのは完全に想定外である。
必死の攻防の後に何とか生還したものの、一歩間違えれば確実に死んでいた。
体に巻き付いた、半ばから千切れた触腕を傍らに放り出すと久方ぶりの解放感と全身を包む水の感触が気持ち悪い。

「半分以上、服も使い物にならんだろうなあ…。
 これだから海ってやつは、元々相性が良くないんだな」

手慣れた所作で火を起こせば、石を積み上げて絞った外套と上着を火に翳す。
実に海に対して失礼な文句を口に出しながら、火に当たれば人心地ついた様子で息を吐き。

カイン > 「…よし。ある程度体が温まってきたな。
 元々の仕事は諦めるしかないな…」

この辺りの探索の依頼を受けていたのだが、
この様ではそうもいっていられない。
致し方がないと渋い表情を浮かべながら、
荷物を手に取って去っていくのだった。

ご案内:「セレネルの海/入り江」からカインさんが去りました。