2018/03/17 のログ
ご案内:「セレネルの海」にルルーエンさんが現れました。
ルルーエン > 静かな海の浜辺に一人佇む男がいる。満月を見上げながら煙草を燻らせる男。
その足元には触手がうごめいている。タコや海洋生物に似た触手は男の足の動きと共にゆっくりと
潮の満ち引きの様に引いていけば、ずるりと大きく立ち上がり、男の周りで無数のヒドラ達が
揺れ動きながら男に並んでその月を眺めていた。月が見え、空気が澄んでいる海岸で
ヒドラ達の薄く纏った粘液が光り、時には膨らみ、丸めた紙の様に縮まり、脚として存在する
蛸の様にもウミユリの様にも見える大小さまざまな触手がうごめきながら立っている。

「今日もこの地に魔が降り立ったのですなぁ」
真っ黒な目を細めながら今日の出来事を思い出した。いつもの邪教へのお呼びである。
崇拝する魔との受胎、ソレを取り出したのだった。中にはこの男でなければ取り出せない子供もいる
時には子供を取り出すという前に、魔との受胎を支えたりもする。
受胎には凄い淫行を伴う、それを魔の力の中で支えたりするのである。

特に王国では魔と孕む者は多い。魔族版聖職者など需要が無いものだと思っていたら
邪教を中心に意外とソレを求める声があったというのが驚きであった。

男はつま先で軽く、足元をうろつくヒドラや海魔等を退けながら
海岸を煙草を吸いつつ歩いていた

ご案内:「セレネルの海」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 静かな海の浜辺にひとつの足音が降り立った。
煙草を楽しむ白磁の肌した彼からやや離れた場所、満月の青い灯りをもっても遠く、相手の視界には今はまだ小指の爪の先ほど。小さな人影が歩いてくる。

「夜の寒さも和らいできて、お空に月。
ふふ……、気持ちがいいなあ……」

所属している冒険者ギルドに良いお仕事が見つからなくて、今晩はお散歩ムード。気まぐれに歩いた先に着いた浜辺の清い空気と銀色満月に目尻緩ませ。
相手の姿にも、そして今晩はやけに潮騒の音量が立っている事にも気づかないまま、取り出した笛で気ままな曲を吹く。
春先に、雪溶けの水から緑が芽吹く。そんな爽やかな曲。

「……!
……こ、こんばんは、お兄さん。
誰も、居ないと思って……」

演奏しながら歩いていれば、まず煙草の匂い。
ついで、黒づくめの長身の姿に気づいて慌てて立ち止まる。
睫毛を弾ませつつも、ぺこりと軽く頭を下げて。
もしかしたら彼が楽しんでいたかもしれない、静けさ打ち消す笛の音について言い訳めいた事を呟き。
……そして、彼のまわりに無数の触手が囲んでいる様子にも気がつくと、驚きに軽く息を飲んでその光景を見つめ。

ルルーエン > 「………………………んんっ?…」
何時ものさざ波の音ではない。加えて足音まで聞こえた。しばし邪教以外の関わりもなかった
男が海辺で久々に感じた人の気配に驚く瞬間だ。しかもそれだけではなかった。
聞こえるのは明らかに自然の不確定な音からではない規則の獲れた旋律だった。

旋律の主は少女だ、恐らく16よりも下、滑らかな褐色の肌をした少女であった。
久々に邪教途以外の人間に会った気がする。魔のモノでないならもっと久々だった。

「こんばんは、お嬢さん…夜も深いですな、ギルドへの…」

男が中々ない邂逅にやや不気味な風貌ながら笑いかけていると
少女の柔らかな褐色の肌と肢体に反応したのか、揺らめいていたヒドラが欲望のままに
真っ先に少女に向かって飛んでいった。

飛んでいったが、男は勢いよく小尾の触手を踏みつけるとヒドラは砂浜に叩き付けられ
暫くうごめいたがそのまま男の方に戻っていった

「…ギルドへの帰りで?」

何事も無かったかのように笑いかける男

タピオカ > 月明かりでよく見れば、王都の富裕層を歩く長身の紳士といった身なり。しかし、相手は黒尽くめの衣類と白き肌とオールバックの髪のコントラストもミステリアスな容貌だった。
異世界と現実を行ったり来たりするような雰囲気。
彼を中心に波がざわめいていると思えば、それはほぼ、触手や水棲動物のもの。ヒドラやウミユリが従者のように取り囲んでいる不思議な風景にぱちぱちと何度も目を瞬かせ。

「うん。僕は冒険者で……、今はお仕事が無いから散歩してたんだ。夜の海とお月様見てから、帰ろうと思って。
……わぁっ!?」

幾何学模様で補強されたノーブルハットの奥から笑いかけてくれたら、改めての会釈とばかり、にっこり笑顔を咲かせて応じ。……と、ヒドラが飛ぶ。予想していなかった動きに思わず、砂の上につく尻もち。ワンピースの裾が太腿に広がり。

「お兄さんのまわりに……うねうねがいっぱい……。
お兄さん……、何者なの……?」

触手や海魔の王とばかり、それらを波間に引き連れている様子の相手へ、好奇心と畏怖の混じった表情が見上げる。

ルルーエン > 「いやはや、コレはお恥ずかしい限りですなっ…邪教途の方ではないというのにヒドラが反応を」
男は何だか照れくさそうにヒドラの触手を踏んでいたが、手に持っている瓶の中の赤黒い液体が
ゴポという鈍い音を立てると、瓶の中の液体は増えていき、周りにいたヒドラ達は
血のような赤黒い霧になって消えた。

「私はただの魔の者です。基本的には湿地帯の奥で暮らしていますが…まぁ、助産師の真似事などを」
冒険者と名乗った少女。なのでこちらも仕事を明かした、といってもそれは最近多い仕事というだけだが


「それにしても、今の時期には小気味の良い曲を吹いておられましたな。」
「この半年はいやはや…邪教での儀式の太鼓の音ばかりを聞いていた物で…」

軽やかに笑う男ではあるがどうにも話題は穏やかとは言えない物であった。