2018/03/07 のログ
ご案内:「セレネルの海 砂浜」にフラニエータさんが現れました。
■フラニエータ > 何の気なしに訪れた砂浜。暖かくなりつつある海風が、穏やかな水面と女の頬を撫でる。
手ごろな大きさの石に腰をかけ、太股に肘を乗せ、掌で頬を支え…気だるそうに広く黒い海を見つめていた。
「もう少し暖かくなれば…ね…」
暖かくなればどうするのか、女の真意は定かではないが、少なくとも「泳ぐ」とか「日に焼ける」という選択肢は無いだろう。
ため息を落とす女の視界に入ったのは、一組の男女。夜の砂浜で仲睦まじく散歩に興じているのだろう。
女の妬みや羨みを聞かされるのは嫌だ、と言わんばかりに海は一つ、大き目の波を砂浜へ運ぶ。
男女が女の視線から消えると、女は一言、
「…やっぱり屋外は無理みたいね…」
暖かくなればどうするのか、女の真意が垣間見れた。
■フラニエータ > 海、しかも夜。そんなロケーションは置引犯にとって良いロケーションである。
服をほっぽりだして行為に勤しむ男女は格好の餌。決して女に覗きの趣味がある訳では無い事を、今更だが付け加えておく。
勿論海に限らず、こと閨事となればヒトは隙が生まれる。
一夜を共にするフリをしての情報収集、窃盗、暗殺…女はそれを利用して生きてきたのだ。
「でも…良いわね…ああいうのも…憧れちゃうわ。」
しかし結局は羨む女。台無しである。
ご案内:「セレネルの海 砂浜」にグライドさんが現れました。
■グライド > (其れは、例えば恋人達の語らう穏やかな景色とは少々無縁な、無骨さだった。
二人が消えて行った方向とは逆から、ゆっくりと歩みを進めるは大きな盾を担いだ男
全身鎧は兜こそ身に付けていないが、一目で傭兵か、或いは戦士の其れで在ると知れる。
重みで砂へと足が深く埋まり、けれど其れを意にも介せず引き抜きながら進めば
恐らくは、岩場に腰掛ける女の目の前を通り掛る事だろう。)
―――……流石に、この時期に魔物なんざ出て来た日にゃ、逢引どころの騒ぎじゃねェな。
(――独り言だ、誰も聞いていない海へと向けて、時折視線を投げれば
其の向こう側をじっと見据えて、何かを探すよう。
生憎ながら、散歩だ、なんて見た目には到底見えないだろうが
ちらりと、腰元に提げた物入れに使う革袋の存在くらいは
女にも見える、かも、知れない)
■フラニエータ > 海に石の一つでも投げ入れてやろうかと手ごろなものを探していると、ふと月明かりを遮る何かが通る。
デカくてゴツいそれは、女に大きな影を落としながら、砂浜に大きな存在を残していく。
女はほんの少しだけ不機嫌になった。邪魔、と声をかけようとした時、女の目の高さを皮袋が通り過ぎた。
「…どうかしました?」
先ほどの独り言よりも1オクターブ高い、柔らかい口調で、皮袋に…もとい男に声をかけた。
勿論淑女の笑みも忘れずに。
■グライド > (まさか相手の投石の邪魔をしたとは思わない。
居たのか居なかったのか、或いは気付いていて気に留めて居なかったのか
女が声を掛けてくるまでは、相変わらず、海の向こうに目を凝らしていたけれど
掛けられた声に、くるりと後ろを振り返っては、女の顔を見下ろし。)
……おう? 嗚呼、悪かったな、景色の邪魔したぜぇ。
なに、大したこっちゃ無い、最近海賊がうろついてるって話だから、船でもねぇか見てたのさ。
(暗闇の中、暗い海の向こう側に目を凝らしても、明かりが無ければ何も見えないだろう
だが、もし船があるのなら、もし何らかの明かりを灯しているなら
見えるかもしれない、なんて、そんな程度の目的だ。
女の視界から一度退き、相変わらず海へと視線を投げかけていれば
手を延ばせば届く位の位置を、革袋がふらふらと彷徨う事だろう。
其の中が判りやすく金品かは判るまい、だが決して空では無い。
其れを餌と見るか田舎は、きっと女の判断次第だろう。
無論――狙って、逃げ切れる自信が在れば、だろうが)。
■フラニエータ > 間違いなく女の興味は皮袋にあった。しかしその中身ではない。
戦闘向きの恵まれた体躯、落ち着いた雰囲気、風貌をそなえたこの男から、
如何にしてあの皮袋を奪い取るか…そのスリル、達成感を想像し、女は身震いをした。
そんな女に大して背を向け、海を見つめる男。更に与えられる男の隙、あからさまに目の前にちらつく皮袋。
掴んで、引いて、走って消える。四手で詰む簡単なお仕事。――相手が一般人なら、の話だ。
「えッ…盗賊?…本当なの?…脅かさないで頂戴…怖いわ…」
鎧と盾の重さを差し引いても、何らかの手段で捕まる、そう判断した女は、
さも怯えているかの様に慌てて立ち上がり、早足で自分に背を向ける男の背中に体重を預ける。
■グライド > (――女の事を知る由もないなら、其の見目からは踊り子か
或いは何処かの婦人だろうか、何て程度の印象しか持てぬだろう
海の向こうには生憎ながら今の所、海賊どころか船の気配も見当たらない
流石にそう露骨に姿は見せないかと、魔物探しと大して変わらぬ感覚で双眸細めては
――とん、と、背中に当たる、鎧とは異なる重みに、僅か肩越しに振り返り。)
……はっは! 心配すんな、こんな時間に明かりもなく船を着けんのは難しいからなぁ。
脅かした心算はねぇんだが、気に為ったんなら謝るぜ。
(背中へ顔を寄せられていれば、此方から表情を伺う事は出来ないだろう。
笑い飛ばすかに肩を竦め、海賊の心配は無いと告げるけれど。
其れは其れとしてしがみ付く相手に、悪かった、とのんびり謝っては
――取り合えず、己からは動く事無く、暫し其の背中を女へと貸す事にしよう)。
■フラニエータ > さて、とりあえずは皮袋との距離を一気に縮める事に成功した女。
潮風に冷やされた男の鎧を肌に感じながら、女は一考する。
皮袋を釣込ませているとも感じられる男の行動はあまりにも不自然だ。
この男が己の正体を知っていて、この皮袋が囮であるならばこれは仕組まれた罠。
皮袋の中身だけ奪う事はできないか、その為にはどうすれば良いか…
男が肩越しに振り返り謝辞を述べても、視線を合わさずに震えてみせるだけ。
「…船を着ける…?」
その時、女は先程の己の台詞を思い出す。
――もしかして、海賊を盗賊と言ってしまった?
これは非常に不味い…血の気が引く。
男は己の話を聞いていたのか、それとも聞き流してしまったのか…聞いているのに合わせているのか。
女は男に気付かれない様、こっそりと巻きスカートの中にある投げナイフを一本、左掌に忍ばせながら、
「もし何かあったら…守ってくださる?」
甘い声色と共に右手を男の腰へと巻き付け、体を密着させた。
■グライド > (流石に、もっと冬真っ只中であったならば
冷え切ったろう鎧から、直ぐに女を引き剥がしだろうけれど。
今この時期、多少なりと矢張り冷たいとは言え、女自ら身体を寄せるならば
己から態々引き剥がそうとする素振りは見せない事だろう。
女が表情を見せないと言う事は、即ち女もまた、男の表情を見れぬと言う事。
御互いに、何を考えているのか、行動とは裏腹、腹の探り合いめいた様相。
そんな中で、女の掌が片方、己が腰元へと回されるなら
其の掌に、そっと、盾を持っていない方の己が片掌を重ねて、触れて。)
おう、任せて置きなァ。
傭兵は金でしか動かねぇが、美人の頼みとありゃ話は別だ。
(自らを、一介の傭兵で在ると告げたならば、女の言葉に応える台詞。
女の繊細な指先へと触れる、戦士の指は、対照的に堅く、太いだろう。
けれど、まるで愛でる様に、其の掌の甲を柔く指腹が撫ぜては
――次の刹那、きっと、其れまでと全く変わらぬ声音と調子で。
けれど、其れまでとは異なる、明瞭な響きで。)
―――だから、掌の奴は仕舞いなァ。
でなけりゃ、唯の美人、て扱いじゃ済まなく為っちまうからよ。
(其れは、制止の声。
其処までで留めておけと言う、通告。
其れを契機に、女が思い留まるならば其れで良い、が。
もし、其の左手に忍ばせたナイフを振るおうとするならば。
其の時は、振り向き様に両手を戒め――捉えて、仕舞おうとするだろう)。
■フラニエータ > 男が己の失態に気付いていようがいまいが、この男に歯向かう事は宜しくない結果を生みそうだ。
その男の口が傭兵である事をを告げると、非常に大きな隙を作ってしまった己を悔いる。
しかしこんな局面でも、女は青い顔をしていない。
寧ろ頬には紅が点し、心臓を高らかに鳴らしながら高揚している始末。
この困難を乗り越え皮袋の中身を手にすることが出来たら…
もし乗り越えられずに捕まりでもしたら…想像するとたまらない。
文字通りの男の掌が己の項を撫でてくれば、女は刹那の安堵を得る。
この屈強な男でさえも色香で乱して誤魔化す事が出来たのか、と。
しかしその安堵は男の次の一言で戦慄へ変わった。
「フフ…じゃあ…どんな扱いになるのかしら…?」
しかし、男のその脅しとも取れる声を聞いてもなお、何故か女はナイフを隠すことをしなかった。
背中越しでも気付く男の器量、それを測る為でもある。
男がどういう行動に出るのか、知る為でもある。
更なる脅しの言葉はどうなるのか、聞きたい為でもある。
己の甲を柔らかく撫でるその指に己の指を絡ませ、爪先でそれを撫で掻きながら、
好奇心に塗れた妖艶な顔を男の背へ、その鎧に擦り付ける。
■グライド > (――其れは、きっと少々意外だったのだろう。
掌に携えた其のナイフを、振るいこそせずとも、隠す事のない女
ならば男の両手は、ただ女の手の甲を撫ぜるだけ、絡む指先と戯れるだけ
そうして、様子を伺うかに女の出方を待ち、黙した唇が
響いた、まるで己を試しているかの様な女の言葉に、思わず、ふ、と吐息を零して口端を吊り上げ。)
―――……例えば海賊だって考えれば、お約束みたいに身包み剥いでやるのも悪かねぇ。
それか、人様で愉しもう何て悪い女を、躾け直してやるって手も在る。
勿論、素直にふんじばって騎士団の詰め所に放り込むっつー真っ当な手も在るが…。
(――生憎、最後の手段は、少々面白みに欠ける、と。
ただ、何れにしても確かなのは、因果に対して応報が返るだろうという事。
僅かな切欠、ほんの僅か、女が手にしたナイフを煌かせるだけで
この、不思議な均衡は破られるだろうという、そんな宣告めいて
そして、其の儘ゆっくりと、もし女が攻撃を仕掛けるならば
十分なほどに猶予を与えながら――後ろを、振り返ろうとする、か)。
■フラニエータ > 男の自信とも取れる言葉を聞けば、ぶるりと身を震わせながら男の指を包み込む様に柔らかく一撫で。
お互いの顔は見えないが、男と同じ様に口端を上げる女。
女の好奇心が、布袋から男本体へと変わった瞬間だった。
「…最後を選ぶような男じゃないでしょう?…違うかしら?」
男がゆっくり振り返ろうとすれば、それまで影になっており、
背を向けていて見えなかった男の顔をじっと見詰めながら、
そっとナイフを砂へと落とし。
「貴方はどれがお好みなの?…その悪い女を前にして…ウフフ…」
己の濡れた唇をナイフを持っていた手、その指先で撫でながら
女は赤い舌をちろりと出して見せ、妖艶な瞳を男に向けた。
■グライド > (振り返った先、暗闇に浮かぶ漆黒の衣装、其処から覗く女の顔は――やはり、美しかった。
誘う様に、惑わせる様に舌先を覗かせながら、戯言を囁く女へと
視線を重ね、泰然自若のままに、手にしていた盾を、同じ様に砂へと落として
ナイフとは違い、深く其の重量だけで砂に沈み、突き刺さるだろう其の巨大な鉄の塊が
きっと、少々肌寒い潮風を、遮ってくれる、筈。)
つまらねぇ女だったら、在り得なくはないぜ。
まぁ、どうやら生憎、そんな事にはなりそうも無いがな。
(自由に為った片腕が、自らの鎧の留め具へと指を掛けた。
――どさ、り。 砂へと落ちて行く重い金属鎧の音。
女の足上に落ちぬよう、周囲へと散っては、其の中が己が領域であるかの様に。
肌を、肌着のみと言う姿で女の前に晒せば、其処に露となるは肉体。
ただ、只管に戦いの中で鍛え上げられて来た、雄、其の物を感じ取らせる体躯で
改めて、腕の中へと女を捕らえようとする、か。)
―――……二度と俺に手を出そうなんざ思えない位に…しつけ直してやる。
(――それは、最早逃れる事の出来ない、確定事項の如くに
女へと紡がれ、そして――濡れた其の唇を、僅か強引な口付けで、奪う、か)。
■フラニエータ > 大きな鉄の塊が一つ、砂に落ちた。同時に女は心の中でほくそ笑む。
怪しく正体の知れない己、男を誘う己、男は後者を選んでくれた様子だったからだ。
強い男、頭の切れる男を己の色香に惑わせ、乱していくのがたまらなく、
「ああ…ッ」とため息にもにた恍惚の声を漏らす。
そして男が鎧を落としその腕へ誘おうとすれば、
己の体重など軽々しく抱えるであろう鍛えられた肉体を両手を伸ばし妖しく微笑んで歓迎する。
「躾けるのは…大変よ…頑張ってね?」
その言葉を遮ったのは男の唇。女は当たり前のようにそれを受けると、
先程伸ばした両手を首に巻きつけ、男の項を両手で撫で掻き始めた。
女の唇は当然の様に割られ、蕩ついた舌先を表して男の唇をなぞる。
一頻り男の味を味わい、女の味を味わわせると、
女はゆっくりと体を離して男の唇に人差し指を立てる。
「…待って…ここから先はビジネス…2つだけ、私の望みを叶えてくれる?」
■グライド > (妖しく美しい女を前に、大抵の男ならば一度は危険を覚え
そして、其の危険さ故に手を伸ばし、奪い、支配しようとして…堕ちて行く。
そうして手玉に取られた男は果たして幾人だろうか、或いは今宵もまた、その数が増えると
―――そんな風に、思われて居るのだろうか。
恍惚めいて甘い吐息を零す女の、吐息ごとを貪るかに口付け。
迎え入れるかに両腕を伸ばす女を、その体躯ごと抱え込んでは
まるで男を手懐ける様な女の掌が項を撫でる頃
おあずけ、の様に口付けを制する人差し指へと――そっと、柔く噛み付く悪戯。)
……クク、何かと思えば、面白い女だ。
……言ってみな、話くらいは聞いてやるぜ。 今の俺は、割合機嫌が良いんでな。
(仕事、だなんて。 思わず笑い声零しそうになるのを堪えつつに、促す先。
何を求めるのか、単純に金か、其れとも己の予想だにしないものか
後者であればより面白いのだが――さて、女の仕掛ける一手は)。
■フラニエータ > 人差し指を食まれれば、妖艶な笑みは更に色濃くなる。
ゾクゾクと背筋が震えるのを味わいながら、濡れた指で男の唇をゆっくり撫でた。
女は男の耳元へと唇を近づけると、己の体を逞しい体へ艶かしく擦り付けながら
一言一言をゆっくりと、囁くような声で告げる。
「一つ目は…もし私が困難な状況に陥っているのを見かけたら…必ず助ける事。どんな状況でも、1度だけ…ね?」
二つ目は…――ここじゃ寒いの…別の場所で…たぁっぷり…躾けてくれる…?」
言葉と言葉の間には、ちゅ、ちゅ、と男の耳を食む音が鳴っていた。
■グライド > (――其れは、何処か感心すら覚える言葉だった。
成る程、と、納得した上で理解出来る。
安っぽい誘惑の台詞ではなく――寧ろ其れは、己の性格に近い
其の一言で、女は自らを守る鎧と盾を、手に入れるのだから。)
―――気に入ったぜ。 嗚呼、助けてやる。 男に二言無く、だ。
但し、そう言ったからにゃ――俺の知らねぇ所で、詰まらなくくたばるなよ。
(――己が、女の助けを求める声を知らねば、助け様が無いのだから。
だから、せめて其の時は、頑張って己に助けを求めて来い、と。
己が耳を食む女へ、代わりに其の鼓膜へと流し込む様に約をひとつ交わせば
其の身体を一度擁き、それから、散ばった鎧と盾を片腕で拾い集め、脇に抱えて
――己が宿まで、攫って行こうとする、か)。
■フラニエータ > 一瞬で女の言葉を理解した男。その器量に女は一際大きく震えた。
己に似た価値観、そして付け加えられるくたばるな、の台詞。これは良い駒を手に入れた、と。
「フフ、頭の良い男は嫌いじゃないわ…安心して、私、声が大きいのよ…きっと貴方に聞こえるわ。」
そう答えれば、女は男が盾、鎧を拾うのを待った後、
男に導かれるままに足を運んだ。勿論道中、体を擦り付け、耳元で囁くといった扇情も忘れない。
ご案内:「セレネルの海 砂浜」からグライドさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 砂浜」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」にアルベルタさんが現れました。
■アルベルタ > 夜風と波の音が響く海岸に、厳つい男が数人歩く。
この辺りに魔物による被害が出たとの報告があり、然るべき機関が差し向けた者達だった。
その中でただ1人、白衣の女性は見るからに肉体派ではなく。
白衣のポケットに両手を突っこみ、海辺の洞窟を覗いている。
ここが怪しいと男達が入り、しばらく経つので痺れを切らしつつあるといった状態。
「何かいたー?」
『……………』
奥に声をかけてみるが返事なし。
等間隔で焚かれた炎が洞窟を照らしてはいるものの、明るさ十分とは言えない。
声の反響からして結構奥まで続いていそうだ。
「どんな子かな。ここを寝床にしてるなら、渡した薬剤注射できれば高確率で効くと思うんだけど」
■アルベルタ > 待機していると洞窟の奥より男達が歩いてくる。
見るからに手ぶらであり、一様に狐に化かされたような顔をしながら首を横に振る。
中での詳細を聞いた女性は眉を寄せ、計画通り運ばないことに唇を尖らせて。
「んー…幻術使う子なのかもね。これじゃあ警戒しちゃってしばらく出てこないか…」
ならばと帰宅できるわけもない男達は次の手を相談し始める。
女性はと言えば、もともと彼らの捕獲した魔物を研究するのが仕事であり、ここを訪れたのは興味本位でしかない。
彼らの仕事は彼らの仕事、己の仕事は己の仕事。
「長引くようなんでアタシはそろそろ。これ、魔族が好みやすい匂いを放つアイテムね。
ここに火をつけると煙が出て――――…」
余計な口出しはしないが、役に立ちそうな物は渡しておく。
挨拶を交わし、白衣の女性は鼻歌混じりに洞窟を出ていった。
近日中に捕まるであろう新たな研究対象を楽しみにしているようで。
ご案内:「セレネルの海」からアルベルタさんが去りました。