2017/10/28 のログ
ご案内:「セレネルの海/洞窟」にクトゥワールさんが現れました。
クトゥワール > 波打ち返す音は、地上にあって遠雷のようだった。
水の叩きつけられる音よりも、引いていく音の方が轟音めいて響く。
まして今、己が居るのは岩肌も剥き出しの海岸沿い、その洞窟群。率直に言ってうるさいほどだ。

海に伝承はつきものであり、海と繋がる洞窟にもついて回る逸話は一つ二つではない。
海岸沿いに蟻の巣のように広がり繋がる洞窟達の、深奥に至って還ったものは居ないとも言われていた。
その入口にて光の灯るステッキを掲げて見た所で、奥深い闇を覗き見ることなど出来はしない。せいぜい足元が確かになる程度のもの。

「――……。」
「確かにこれは、ほとんど迷宮だな。」

何しろ洞窟の入り口が既にして無数なのだ。
その奥でどのように絡み合いどう行き止まって或いは広がっているのか。人々が想像し語り継ぐのも無理のないことだろう。
興味を惹かれて訪れてはみたが、噂通りだ。そしてこの入口の、波打たれ荒れた様子も気に入った。
中に入ってみるつもりで来たが、もう少しこの情緒を堪能していくとしよう。