2017/05/20 のログ
ご案内:「セレネルの海」にカインさんが現れました。
カイン > 王都からは少し離れた場所にある海に面した岩場の上。大き目の洞窟の入り口に、
波が寄せては弾ける様を眺めながら釣り針を落として暮れかけの空を眺めている男の姿。
近くに置いた桶の中には海水が満たされているものの中に何もなく、
男の釣果が一切ないことを物語っていた。


「…このまま坊主だったら干し肉でも焼いて食うかね。
 釣りはこの釣れない時間もよいとかいうやつも居るらしいが信じられんな」

浮きもなく、ただ波に揺られるだけの糸を眺めて居れば、
自然と募ってくるのは焦燥と諦観の入り混じった何とも言い難い感情。
視線を後ろに流せばすっかりと野営の準備の整った様子が目に入る。
となれば後は用意すべきは食料くらいの物ではあるが――
どうやらその最後の試練が中々の難関のようだった。

カイン > 「しかしこの辺りの怪物の掃討ねえ。物見遊山の貴族でも来るのかね」

魚を釣ろうとしながらも本来の目的は別にあるようで、海風を受けすっかりくたびれた
羊皮紙を懐から取り出し中を要約して読み上げる。
既に一仕事終えてきたことを如実に示すように返り血をふき取った布を乾かす野営地の
様相に肩を竦めて声を漏らしがてら釣竿を軽く揺らして様子を確かめるも何かが掛かった様子は全くない。
かといって野営の準備を終えてしまった以上狩に出る訳にもいかず、
結局なにも起きない海面を静かに眺め続ける羽目になる。

「いっそ石像か何かにでもなって魚がかかった時に解除されるような魔法がありゃいいのになあ」

とてつもなく使い道の狭い魔法を無意味に考案しながら椅子になりそうな岩の上に腰かけ、
億劫そうに膝の上に肘を置いて頬杖を付く。だからと言って何かが変わる訳ではないのだが。

カイン > 結局しばらくの間釣りを続けていたものの、日がとっぷり暮れた後も全く糸の動かない様子。
いい加減痺れを切らした様子で釣り針を引き上げて、ふと先端を見れば
餌がいつの間にやら奪われていたことに肩を落とす。

「こりゃかからないよな、時間を無駄にしてしまったか」

荷物を片づけながら立ち上がり、野営の準備に入る。
竈に火を入れながら一晩を過ごす用意を続けていくのだった。

ご案内:「セレネルの海」からカインさんが去りました。